第三章。『機械世界の"呪術師"』了
私たちは『追放』という名目で罪を問われることはなかった。
最初に出会った神官に「すまなかった」というと彼は『いつか誰かが成さなければならなかったんです』と答えた。
『追放』だろうと、なんだろうと。
……私達は『夢を追う者達』。
誰かの願いを助けるために、『世界』を巡るのが定め。
"彼"が神殿の祭壇に不思議な形の鍵を掲げる。
「ただいま。といって開けるは我が家の温もり」
"彼女"も華やかな指輪を取り出す。
「我を支えるは喪われし貴方の思い出、貴方との約束」
"組長"もだ。変わった懐中時計を取り出して。
「約束の時。動け」
古ぼけたミサンガを祭壇に捧げる"委員長"。
「切れろ。因縁! 拓けっ! 未来っ!!」
"私"はアイテムを持たない。
「我。友と共に」
そして。
「お前も旅立つのだな」
"彼女"が微笑むと、その視線の先には"呪術師"がいた。さびしそうに微笑んでいる。
「女として女の胎から生まれて自ら男になり、最後は……冒険者になる。か。
……私は結局何者なんだろうな。母を殺し、神を殺し。
……いかなる姿も取れるミュータントの身は自らが人間なのかすらわからなくなる」
「お前は。人間さ」
"私"は微笑みを彼に……いや、彼女に向けた。
「一緒にくるかい? 」
あ、これは冗談だからな。別にこなくても問題ないぜ。
そういって強がる"彼"のわき腹を"彼女"が肘でつつく。
「拙者は別に男でも問題ないが、まだ『報酬』はもらっておらんぞ? 」
そういって微笑む"組長"。苦笑いする"呪術師"。
「てっきり忘れているのだろうと思っていたのだが」
「いや、忘れていませんよ。"呪術師"さ……いでででっ??! 」
"私"は、思いっきり"委員長"の足の小指部分をブーツで踏みつけた。
「『報酬』は。まぁさておき。……一緒に行こう」
"彼女"は"呪術師"に手を伸ばした。その手を掴む"呪術師"。
"呪術師"。その娘の瞳からは暖かい涙が見えた。
「……母よ。あなたの思い出。永久に。
私とあなたの願い。『世界』を満たせ」
"呪術師"が首から古ぼけたカメオを取り出す。
その中には"呪術師"と思われる赤子と母親の姿が描かれていた。
……。
……。
「ところで、貴様らは何を願った?」
"呪術師"に問いかけられて"私"と"委員長"は苦笑した。
「愛が共にあるように」
"私"がそういうと。
「素敵な恋が見つかるように」
"委員長"も続けた。"呪術師"は「そんな曖昧な願いを……」と苦笑い。
私たちはあえて誰が、とは願わなかった。あえて言うなら。『世界』すべて。
「"彼女"さんは? 」
そういえば。聞いてなかったが。
「私の願いは。ひとつだ」
そう、"彼女"は言い切った。
そう、"彼女"の願いは。いつでもたった一つ。
その瞳の先には。"彼"
「さっさと行くぞ。ゲートは開いているんだ」
"彼"が仏頂面をしている。はいはい。"私"たちは"彼"と"呪術師"の前に歩み寄り。
「……なぜ、俺の手を皆握っている? 」ぷぷ。
「ははははっ???????!!!!!!!! 」「何笑っているんだっ??!! 」
笑い出す、"私"たちを穏やかな笑みで見つめている神官さん。
急に、私たちの身体に帯が巻きついた。?????!!
『な、なにをするっ? 』抗議する私たちに神官は穏やかな笑みを崩さない。
「ゆれが激しいのです。……では、旅の無事を祈っています」
ががが。どどどど。
神官が姿を消すと、建物が激しく揺れだした。
「逃げないとっ??! 」"私"が叫び、"組長"と"委員長"が激しく帯を切ろうとするが。
「ほっとけ。危ないからおとなしくしてろ。あと、Gに注意な」はいっ??!
落ち着いている"彼"と仏頂面を崩さない"彼女"。そして微笑む"呪術師"。
「そろそろ発射する。お前達も衝撃に備えろ」?????????????
どっど~~~~~~~~ん!!!!!!!!!!!!!!
激しい衝撃にパニックに陥りそうになる私たちに、"呪術師"は告げた。
「次な世界は。『ロケットで突き抜ける世界』だ」
"私"たちを乗せたロケットは、大空を駆け、天にとび。
はるかかなた、大空すら越えて飛んでいく。
次回予告。
"私"たちを載せたロケットは、星のかなたの不思議な世界に到達した。
天の川のミルクを口に。惑星の輪に座り、天の川の魚を釣る平穏な日々。
しかし、その平和は長く続かない。
次回、『ロケットで突き抜ける世界』。
お楽しみに。
(書き溜め終わるまでまた完結扱いです。エタってたらごめんなさい)




