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異世界冒険奇譚 月狂の歌  作者: 鴉野 兄貴
第三章。機械世界の"呪術師"

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42/65

第三章。『機械世界の"呪術師"』了

 私たちは『追放』という名目で罪を問われることはなかった。

最初に出会った神官に「すまなかった」というと彼は『いつか誰かが成さなければならなかったんです』と答えた。


 『追放』だろうと、なんだろうと。

……私達は『夢を追う者達ドリームチェイサーズ』。

誰かの願いを助けるために、『世界』を巡るのが定め。


 "彼"が神殿の祭壇に不思議な形の鍵を掲げる。

「ただいま。といって開けるは我が家の温もり」


 "彼女"も華やかな指輪を取り出す。

「我を支えるは喪われし貴方の思い出、貴方との約束」


 "組長"もだ。変わった懐中時計を取り出して。

「約束の時。動け」


 古ぼけたミサンガを祭壇に捧げる"委員長"。

「切れろ。因縁! 拓けっ! 未来っ!!」


 "私"はアイテムを持たない。

「我。友と共に」


 そして。

「お前も旅立つのだな」

"彼女"が微笑むと、その視線の先には"呪術師"がいた。さびしそうに微笑んでいる。


 「女として女の胎から生まれて自ら男になり、最後は……冒険者になる。か。

……私は結局何者なんだろうな。母を殺し、神を殺し。

……いかなる姿も取れるミュータントの身は自らが人間なのかすらわからなくなる」


 「お前は。人間さ」

"私"は微笑みを彼に……いや、彼女に向けた。


 「一緒にくるかい? 」

あ、これは冗談だからな。別にこなくても問題ないぜ。

そういって強がる"彼"のわき腹を"彼女"がひじでつつく。


 「拙者は別に男でも問題ないが、まだ『報酬』はもらっておらんぞ? 」

そういって微笑む"組長"。苦笑いする"呪術師"。

「てっきり忘れているのだろうと思っていたのだが」


 「いや、忘れていませんよ。"呪術師"さ……いでででっ??! 」

"私"は、思いっきり"委員長"の足の小指部分をブーツで踏みつけた。


 「『報酬』は。まぁさておき。……一緒に行こう」

"彼女"は"呪術師"に手を伸ばした。その手を掴む"呪術師"。

"呪術師"。その娘の瞳からは暖かい涙が見えた。


 「……母よ。あなたの思い出。永久とわに。

私とあなたの願い。『世界』を満たせ」


 "呪術師"が首から古ぼけたカメオを取り出す。

その中には"呪術師"と思われる赤子と母親の姿が描かれていた。


……。

 ……。


 「ところで、貴様らは何を願った?」

"呪術師"に問いかけられて"私"と"委員長"は苦笑した。


 「愛が共にあるように」

"私"がそういうと。


 「素敵な恋が見つかるように」

"委員長"も続けた。"呪術師"は「そんな曖昧な願いを……」と苦笑い。

私たちはあえて誰が、とは願わなかった。あえて言うなら。『世界』すべて。


 「"彼女"さんは? 」

そういえば。聞いてなかったが。


 「私の願いは。ひとつだ」

そう、"彼女"は言い切った。

そう、"彼女"の願いは。いつでもたった一つ。

その瞳の先には。"彼"


 「さっさと行くぞ。ゲートは開いているんだ」

"彼"が仏頂面をしている。はいはい。"私"たちは"彼"と"呪術師"の前に歩み寄り。

「……なぜ、俺の手を皆握っている? 」ぷぷ。

「ははははっ???????!!!!!!!! 」「何笑っているんだっ??!! 」

笑い出す、"私"たちを穏やかな笑みで見つめている神官さん。


 急に、私たちの身体に帯が巻きついた。?????!!

『な、なにをするっ? 』抗議する私たちに神官は穏やかな笑みを崩さない。

「ゆれが激しいのです。……では、旅の無事を祈っています」


ががが。どどどど。


 神官が姿を消すと、建物が激しく揺れだした。

「逃げないとっ??! 」"私"が叫び、"組長"と"委員長"が激しく帯を切ろうとするが。

「ほっとけ。危ないからおとなしくしてろ。あと、Gに注意な」はいっ??!

落ち着いている"彼"と仏頂面を崩さない"彼女"。そして微笑む"呪術師"。


 「そろそろ発射する。お前達も衝撃に備えろ」?????????????

どっど~~~~~~~~ん!!!!!!!!!!!!!!


 激しい衝撃にパニックに陥りそうになる私たちに、"呪術師"は告げた。

「次な世界は。『ロケットで突き抜ける世界』だ」


"私"たちを乗せたロケットは、大空を駆け、天にとび。

はるかかなた、大空すら越えて飛んでいく。

次回予告。

"私"たちを載せたロケットは、星のかなたの不思議な世界に到達した。

天の川のミルクを口に。惑星の輪に座り、天の川の魚を釣る平穏な日々。

しかし、その平和は長く続かない。

次回、『ロケットで突き抜ける世界』。


お楽しみに。

(書き溜め終わるまでまた完結扱いです。エタってたらごめんなさい)

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