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異世界冒険奇譚 月狂の歌  作者: 鴉野 兄貴
第三章。機械世界の"呪術師"

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35/65

 "神"に至るまでの道は『拳で語る世界』以上に困難であったが、仔細は省略する。

そもそも"塔"だらけと言うのはどうかと思うのだ。ビル風も酷いし。


 "私"達は勝った。「ギャー」

さぁ。帰ろう。


……何? そんな手抜きの説明で納得がいくか。だと?

仕方ない。正直話したくないほど激戦だったのだが。


……。

 「あれが"神"の"塔"か」

さがすのに手間取った。凄く手間取った。

「ああ。あの『きどうえれべーた』ってのの上に奴はいる」

天の更に上に物を運ぶことが出来る塔らしいが。


 「……愉しみじゃのう。"神"殺し。ゾクゾクするわい」

"組長"は危険人物だと思う。悪いヤツではないが。

"委員長"はニコリと笑って拳を握りなおす。

彼の武器は素手だ。手足を保護する皮の手袋と靴は彼の唯一の防具である。


 「道中は大変じゃった」

"私"たちはウンザリして今までを振り返る。

"呪術師"曰く、「死んでも我らが慈愛深き創造神アークメイ様がクローンを5体用意してくれる」とのことだが、反逆者でもその扱い。この世界の"神"の『頭のネジ』はまことに緩みきっている。


 もっとも、身内を告発する人間が毎日後を立たないからであるが。

この世界の"神"にとって、反逆者は「存在しているもの」であり、疑問を挟むことは許されないらしい。


 「追っ手がくるぞい? 」

「正直、つらいねぇ。僕は素手だし 」

その素手が恐ろしいのを皆痛感しているが。


 ZAP! ZAP!

飛び交うレーザーを反射鏡や対レーザー反射チャフを用いて防ぐ"彼"。

"道具"の扱いは一流らしい。

何処かに潜んでいる"彼女"の雷降ライフルが鳴る。

パタパタと倒れる男たち。

"呪術師"曰くクローンが何体も残っている連中しか追ってこないらしいので、遠慮は要らないらしい。

 「拙者にも残して欲しいのじゃが」

不満を言う"組長"が右手を振り上げると、背後に火縄銃を持った組員さんたちが不意に現れる。

 「ぇ!!!!!!!! 」

背後から対レーザー装甲の効かない火縄銃で打ち抜かれて大混乱に陥った兵士達に殴りかかる"委員長"。


 凄まじいタックルで組み付き、首に腕を絡めて地面に落とす。

華麗な後ろ蹴りが決まり、鮮やかな回し蹴りも決まる。


 その後ろできらめく白刃。組長である。

同士討ちを恐れてレーザーを撃てない兵士達を翻弄する二人。本当に頼りになる。

 「キリがないっ! "塔"に逃げるぞっ! 」

もちろん愚策なのだが、"私"達は"彼"の指示に従った。"彼"がヒネクレ者なのは既に承知している。

"私"達は"塔"を目指す。"神"を討つ。其の為に。

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