壱拾壱
「終わった……か? 」"彼"が苦笑する。
「今回は『楽』じゃったな」"組長"がため息をつく。
「……"神"が協力的だったからな」"彼女"はこの状況でも表情が変わらない。
「『偽りを口にすることが叶う世界』確かに了承した」
"神"は優しい笑みを"私"達に向けている。
"神"は偽りを嫌った。がそれは間違いだ。
偽りは時として真実以上の働きをする。
そして。
「♪ ♪ 」
蛇味線を取り出し、あの「唄」を歌いだす"委員長"。
其の身を挺して母を蘇らせ、一度は母を殺した偽りを禁じた"神"を称える歌だったのだ。あれは。
「"委員長"よ。汝には二つの道がある。
我の後継者となり、この世界の"神"として永遠を生きる道。
そして、願いを持つ者を助ける冒険者となり、この世界を去る道だ」
「冒険者になります。この者達と共に」
"委員長"の答えは既に決まっていた。
「俺は認めていないぞ」"彼"が苦言を挟むのを"組長"がニヤリと笑って受け流す。
「旅は道連れ、世は情けと言うではないか。"委員長"殿なら愉しい旅になりそうじゃ」うししと下品な笑みを見せて"組長"は"委員長"と手を握り合わせる。
「だいたい、お前と一緒にいるのは、別にお前と馴れ合うつもりがあるわけでは」
「……そうね。親友だものね」"彼女"が無表情で呟く。
「ちがう」「違うんじゃが」
「『敵に回すのが面倒なだけ』と書いて親友と呼ぶ。かしら」
"彼女"の表情からはそこまで臭い台詞を言っているのにも関わらず、
なお感情をうかがい知ることができない。
「これからもよろしく! 」
"委員長"は朗らかな笑みを浮かべた。歳相応の優しい笑みからはあの戦士の表情は感じられない。
「ちがうじゃろ」"組長"は"委員長"の右肩をガッチリ抱いた。
「うむ。違うな」"彼"も"組長"に習うように"委員長"の左肩を掴む。
「まったくだ」何故か"彼女"は銃を逆手に握っている。手袋がじゅうじゅうと焼ける音をまったく意に介さずに。
「そうですよ。"委員長"さん」私もニッコリ笑った。
"神"は愉しそうに頷いている。
"彼女"の銃の柄が"委員長"さんの腹を激しく打ち、すかさず"私"の平手うちが"委員長"の頬を打つ。
手を離した"彼"と"組長"の蹴りが"委員長"の背中と腹を打つ。
『 大 歓 迎 っ !!!!!!!! 今 日 か ら よ ろ し く !!! 』
私達の偽りざる気持ちが脳裏に響いた。




