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異世界冒険奇譚 月狂の歌  作者: 鴉野 兄貴
第二章。"委員長"との出会い

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23/65

壱拾壱

 「終わった……か? 」"彼"が苦笑する。

「今回は『楽』じゃったな」"組長"がため息をつく。

「……"神"が協力的だったからな」"彼女"はこの状況でも表情が変わらない。


 「『偽りを口にすることが叶う世界』確かに了承した」

"神"は優しい笑みを"私"達に向けている。


 "神"は偽りを嫌った。がそれは間違いだ。

偽りは時として真実以上の働きをする。

そして。


 「♪ ♪ 」

蛇味線じゃみせんを取り出し、あの「唄」を歌いだす"委員長"。

其の身を挺して母を蘇らせ、一度は母を殺した偽りを禁じた"神"を称える歌だったのだ。あれは。


 「"委員長"よ。汝には二つの道がある。

我の後継者となり、この世界の"神"として永遠を生きる道。

そして、願いを持つ者を助ける冒険者ドリームチェイサーズとなり、この世界を去る道だ」


 「冒険者ドリームチェイサーズになります。この者達と共に」

"委員長"の答えは既に決まっていた。

「俺は認めていないぞ」"彼"が苦言を挟むのを"組長"がニヤリと笑って受け流す。

「旅は道連れ、世は情けと言うではないか。"委員長"殿なら愉しい旅になりそうじゃ」うししと下品な笑みを見せて"組長"は"委員長"と手を握り合わせる。


 「だいたい、お前と一緒にいるのは、別にお前と馴れ合うつもりがあるわけでは」

「……そうね。親友だものね」"彼女"が無表情で呟く。


 「ちがう」「違うんじゃが」

「『敵に回すのが面倒なだけ』と書いて親友と呼ぶ。かしら」

"彼女"の表情からはそこまで臭い台詞を言っているのにも関わらず、

なお感情をうかがい知ることができない。


 「これからもよろしく! 」

"委員長"は朗らかな笑みを浮かべた。歳相応の優しい笑みからはあの戦士の表情は感じられない。


 「ちがうじゃろ」"組長"は"委員長"の右肩をガッチリ抱いた。

「うむ。違うな」"彼"も"組長"に習うように"委員長"の左肩を掴む。

「まったくだ」何故か"彼女"は銃を逆手に握っている。手袋がじゅうじゅうと焼ける音をまったく意に介さずに。

「そうですよ。"委員長"さん」私もニッコリ笑った。


"神"は愉しそうに頷いている。


 "彼女"の銃の柄が"委員長"さんの腹を激しく打ち、すかさず"私"の平手うちが"委員長"の頬を打つ。

手を離した"彼"と"組長"の蹴りが"委員長"の背中と腹を打つ。


 『 大 歓 迎 っ !!!!!!!! 今 日 か ら よ ろ し く !!! 』

私達の偽りざる気持ちが脳裏に響いた。

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