肆
「月影♪ 落ちて 鈴虫鳴く♪」
"彼"と"組長"さんが愉しそうに歌っています。
愉しそうに蛇味線という三絃のリュートを奏でる"委員長"さん。
この世界の皆さんはとっても朗らかで何かあれば直に楽器を取り出し、踊りだします。
主に漁業で生計を立てているとのことですが、サトウキビという甘い甘い茎も取れるそうです。
本当は委員長さんたちも歌いたいらしいのですが。
「ぼかっ! 」「ぼかっ! 」「ぼかっ! 」
いきなり殴られました。
『(ぽかっ )あほな 子供は 裁きを嫌がり♪
(ぼこっ )竜の海を 泳いで 進む♪
(どか )たどり着いたら 頭が不思議
(ばき )そっとおばけに どっとびっと不気味!
(すいーつ )おかえり 母ちゃん♪
(ぼこ )ただいま 子供っ♪
(ぺき )腹減った 不思議っ♪』
はっ! はっ! はっ! はっ!
この世界の『歌』はリズムのある殴り合いなのでお勧めしかねます。
陽気な歌は愚かな少年が禁忌を破って竜の住まう海を泳いでわたり、
死んだはずの人々に出会い、最後に母を蘇らせる物語。
まぁそんなことはどうでもいいのです。
私達はさとうきび酒を呑んだ状態で殴り合い、いつしかダウンしていましたから。