参
「あのワンピースは」「そういう"服"だからな。普通の手足に見えただろう」
"彼女"さんは「ノロワレシモノ」という存在だそうです。
「"魔"に身体を奪われた存在で、代償として凄まじい力を持つ」
"彼"は「そういえば言ってなかったな」と愉しそうです。"聞かなかったしな"と補足しましたが、絶対驚かせるつもりだったと想います。
"彼"と"組長"さんは何処からか『椰子の木の実』というものを持ってきて、ジュースにして飲んでいます。
"彼女"さんと"委員長"さんがヤシガニという巨大な生き物を焼いて今日のご飯にするとのことです。
「いいところだな。"委員長"」
そういって"彼"は"委員長"さんに微笑みかけます。
ガッシ! と正面から右手同士を合わせています。 男の友情が生まれた瞬間です。
ちょっと興奮します。ええ。この世界は暑いだけではなくて、熱いです。鼻血でそうです。
……??!
股間に違和感を感じた"私"は、少し席を外しました。
「ついて……いる……」女性の証が、ついていました。
慌てて胸をめくってみます。わずかながら、ふくらみがありました。
「こんなので、女になっちゃうなんて」
自分でも、男性女性の区別が身体にないのは気がついていましたが、
"私"の性的嗜好に自信が持てなくなりました。
そういえば考え方とかも変わっているかも……。
"彼"に書けといわれて書いている『日記』を見ると明らかに文体が変わっているようです。
ううう。全て『忘れてしまいたい』
この『記憶』は、『消えていい』です。『書きません』よ。絶対に!
えっと……『ちょっとスタイルが良くなった。綺麗になって嬉しい』と……。コレでよしっ!
あと"彼女"さんのことと"委員長"さんの事を書いて……この世界の事も書いて。
よっしっ! 完璧ですっ! 『"私"が疑う余地のない』『日記』の完成です!
「何をしている? 」"彼"がやってきて、私の手元を覗き込みました。「『日記』か」
です。欠かさずつけていますよ?
「……」日記の一文を見た"彼"は不思議そうに言いました。
「お前、女だったのか? 」「失礼ですよっ??!!! 」
いえ、さっきまで性別ありませんでしたけど、今日から女性ですっ!
あと、ちょっとハイテンションですっ! 男性が隣にいるのはよくありませんっ! 心臓にっ!
ドッキドキッ! ですっ! ドッキドキッ!
「……前のキチガイ状態のほうが大人しかったな」「それは言わないでください」
失礼な男性ですね。