拳(こぶし)で語る世界
『拳で語る世界』「撲殺委員会の島」
季候 極めて温暖 冬場でも泳げる。
政治形態 直接民主主義
特記事項 一般人の武装は法律で禁止。素手の戦闘術が発展。
『独自の言語』能力を住民すべてが持つ。
『世界』の規模 縦横10キロメートルに満たない小さな島と周辺の海。
特産品 サトウキビ、およびその酒。蛇味線。
「船」がずるずるぎしぎしと不吉な音を立てている。
「どうしたっ?! 」「流砂?? 」
砂が大きく渦を巻き、私たちの船を飲み込もうとしている。
「あはは。だんながた。気になさらず」
船長さんは朗らかに微笑んだ。
「次の世界への『扉』のようです」
『扉』の渦の中に自ら進んでいく私たちの船。
その渦の真ん中に、青い青い海と、珊瑚礁、楽器を鳴らして踊る陽気な人々の姿が見える。
「わぁ……」"私"が歓声を上げると、"組長"さんが肩を抱いてくれた。
「役得 役得じゃ」という言葉が少々気になったが。
砂上船はゆっくりと渦の中心の『蜃気楼』に触れる。
優しい光が私たちを包み。そして。光が破裂した。
気がつくと。
私たちは不思議な神殿の中にいた。
「ここ……は? 」
私が小首をかしげていると"組長"さんが「『神殿』じゃ」と応えた。
「ゲートがある神殿さ。大抵の世界にはある。
祠程度のしょっぱいのしかない『世界』は下手に飛ぶと帰りの神殿を見つけるのに苦労するがね」
"彼"も無事。あとは。
「"私"もいるわよ」無表情な女性。"彼女"もいたようだ。
「異世界からのさすらいびと達よ。我らが世界にようこそ」
僧侶の服を身にまとった青年が私たちに礼をする。
「どうも」"私"もお辞儀をした。
「警告しておきます」「「「「?? 」」」
神官だか僧侶だかわからない青年は苦笑いした。
「外を出たら、絶対、傷薬の準備を」
「「「は? 」」」"私"たちは、この言葉の意味を。文字通り『痛感』することになる。
「綺麗な国だな」
「ほぅ~わたぁぁっぁぁっ??!! 」 ??
ぼか。
「! な?! 」"彼"が剣を抜こうとする。
が、それより早く襲撃者の一撃が"彼"の足元を薙いだ。
銃を構える"彼女"はマガジンがいつの間にか抜かれたことを知り驚愕する。
「しんせ……"組長"さんが『組員さんたち』を召喚ぶ前に、組長さんの顎に華麗なアッパーカットが決まる。
悶絶する"私"たちの脳裏に、「ようこそ。我らの国! 『撲殺委員会の島』へ! 」という『言葉』が流れた。




