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プロローグ
自サイトに掲載していた物語のうつしです。
暗い闇の中、その『モノ』は目を覚ました。
暗い。暗い。なにも解らない。
混沌と闇が心と身体を満たしていた。
身体が疼く。胸の奥で『ぴしっ』。心底震えあがるような不吉なナニかがひび割れる音。
追われていた。追われていた。追われていた。……追われていたの?
にげなきゃならない。にげなきゃならない。にげなくば……どうなる?
わからない。わからない。わからない。
こわい、こわい、こわい。
こわい。こわい。こわい。でも何故?
わからない。わからない。わからない。わからない。
恐怖? 肌が泡立つ? 不安? なにが?
わからないわからないワカラナイワカラナイワカラナイヨ…。
目が覚めた。
『ここは……どこ?』
辺りを見まわした。暗い。暗い室内。
ほのかに腐った海草の香りがする。
何気なく扉に手を伸ばした…。
そして気がついた。
扉が開かないことに。
作品イメージソング
ZABADAK「遠い音楽」