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ペルソナオンライン   作者: ヒキニパー
1章
15/15

10話

メイリンさんのところで鑑定を終え、私はクエストの発注者であるNPCの村長のもとへ向かった。


「おぉ、森のモンスターを倒してくれたようじゃな、ありがとう!」


そう言って、これは報酬じゃ!と5kのマニーと少量の経験値を受け取った。


ぶっちゃけるとこのクエストはあまりおいしくない。


理由としては、出てくるモンスターの前情報が提示されておらず、


さらに弱い敵は絶対に出ず、中級もしくは上級モブが必ず出てくるからだ。


しかしこのクエストを受けてモンスターを討伐しないでいると、


村、もしくは町襲撃イベントが発生してしまうためである。


このイベントの出現条件は、特殊モブ…


その地域には出現しないであろうモブが一定数にまで達すると発生するらしく、


その町にいるプレイヤー全員が強制参加するというものであった。


基本HPを全損しても最後に立ち寄った街や村にLPを1つ消費して戻るだけなのだが、


このイベントの場合、村などにモブが入り込む為に安全剣という場所がなく、


HPは全快だろうが、精神的疲労は蓄積されたまま、戦うこととなるために


死者が出てしまうことがある。


…この村では他の種族に『なり損ねた』プレイヤーが多く引きこもっていたために


死者が多数出たのだ…。


その中にも知り合いの人は少なくない数がいたが、ほとんどがガラスを割ったような音を出し、


ポリゴン片となって消えていった…。


感傷的になってしまったが、このクエストは村での安全を保証するという意味で


報酬が安いのだろう…と思う。


そう思わないとこのクエストを受けようとは思わない。


誰も死にたくはないのだから…。




とりあえず報酬を受け取った私は、しばらくは大丈夫だろう…と思い。


久々に中央都市に向かおうと思った。


そこには幼馴染であるけーくんことケージもいるし、他にも知り合いがいる。


そろそろ顔を見せないと心配されそうだ。


そう考えた私は早速準備に取り掛かる…といっても消耗品を補充して武器を修理するだけなのだが。







準備を終えた私はエルフの村を出て草原に出た。


半年前までは草原イノシシは少しトラウマものであったが、今では絶好の的である。


矢を2・・番え放つと、それぞれ眉間と鼻先に突き刺さり、断末魔を上げた。


うむ!今日も絶好調だ!


弓を2本同時に放つことは武器からのスキル習得によるものである。


ちょうど1週間前に草原の遺跡に入り、たまたまレアの宝箱を開けたら出たものがそれであったため


今でも愛用している。


2本同時に放っても1本と同じように放てるのはかなり嬉しい。


単純計算だと2倍のダメージだ。うまうま。


だけど、まだこのスキルを極めていないために、


この弓なしに2本発射はできない。なかなか埋まらないなぁ…と思うけどしかたがない。


まぁぼちぼち埋めればそのうち習得できるはず!


そう思いながら見かけた草原イノシシに向かって片っ端から矢を射かける。





しばらく草原を突き進み、ようやく城壁が見えた。


中央都市である。


中央都市はほかの街や村よりもはるかに規模がでかい、


そして一番目を引くのは街の中央に建てられた巨大な城であろう。


前にエルフの村の小高い丘から見えた城はきっとあれだろうと思っている。


それとあの街にはかなりのプレイヤーがいる。


引きこもりの生産職からトップレベルの戦闘職プレイヤーまで、幅広く駐屯している。


今現在ログアウト条件がいまいち明かされていないのだ。


まとまって安全をはかろうとするのは当たり前のことである。


ログアウトの方法はゲームをクリアーすること…そうアナウンスでは言っていたが


正直、クリアーとは何を指すのかがわからない。


ラスボスを倒すのか?それともいまだ判明していないストーリクエストでもあるのだろうか?


まだすべてが手探りのまま、私たちは過ごしていた…。



そう考えているうちに中央都市の門前についた。


そして私は、


「いやぁ~やっぱりここはデッカイねぇ~」


と、つい声に出してしまっていた。


だってしょうがないと思う。


本当にでかい、無駄にでかいと思ったんだもん。


ここで駐屯している人も、いまだに迷子になる人もいるくらいだ、


私なんかが迷ったらきっと表には出れらないだろう。


それほどにでかかった。


大きい宿が外周区に8つ、内側に4つもある。


小さい宿は数える気にもならない。


そんなにあってどうするんだ…と思うが、これでようやく足りているらしい。


そこまで考えて、私の泊る場所があるかどうか心配になてきた…


さすがに野宿は嫌だ!断固遠慮しておきたい。


都市についた私は早速宿探しに駆け回った。




ついたときは昼過ぎだったのだが、宿が取れたのは日が沈んだ頃であった。


…もう嫌だ…やっぱり来るべきではなかった…


そう思っているとメッセージが届いた。


む?けーくんからだ。


なになに…?


『お前まだ生きてるか?


しばらく連絡がないけど一応は心配してるんだぞ?


わかったなら返事の一つくらいよこせよ?


まぁ引きこもりにはあんまり期待しないけどな!


悔しかったらいっぺんこっち来い。


その時は引きこもりの称号を取り消してやるよ。』


むっかぁ~…、誰が引きこもりかぁっ!


ちゃんと私だって拠点を持って(といっても仮宿だが)ちゃんと狩りしてレベル上げしてるんだぞ!


それを引きこもりというとは…、これは一度ゆっくりお話する必要があるかな…?


そう思い私はメッセージを打ち込んでいった…。










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