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第43話 麻雀宇宙一決定戦、開幕!


1月3日。


決戦の日。

東京都港区、Mリーグスタジオ。


普段は日本最高峰の麻雀リーグが開催されるこの聖地に、

今日は地球外からの視線も注がれていた。


競技が麻雀ということもあり、

過去の対戦と同じように直接みることは出来ない。


いつものように銀河中・世界中で放送が始まり、

地球に集まった宇宙人は、

スタジオがある建物の上空から配信を眺めていた。


「今回はMリーグ放送と同じように地球側主導で配信するらしい」

「直接見れないのか残念」

「ここがMリーグスタジオ」

「俺達も配信にコメントしていいのかな?」

「普段は銀河規定で禁止されているけど、大丈夫らしい」

「それは嬉しい」


そして、そのMリーグスタジオの控室では

シャケ、スズカ、鳥越が既に待機していた。


レディーススーツを着こなした対策本部の鳥越は、

腕を組みながら歩き回り、不安を隠しきれない。


「鳥越さん、落ち着きましょうよ」


「私に出来ることはないのに対戦前は緊張しますね、

 三好さんはもう慣れた感じですか」


「慣れてはいませんけど、2人を信じるだけです」


「その2人がまだですが……」


鳥越が言うと同時に、控室のドアが勢いよく開かれた。


「昨日、会場前に集合って言ったじゃないですか」


「ちょうど、タバコを切らしてな」


軽快な様子で入ってきた地球代表二名。


一人は煌びやかなMリーグ公式ユニフォームを袖に通した神宮司。


もう一人は、派手な柄シャツに白スーツ、

そしてノーネクタイの赤井。


麻雀の過去と現在。

闇と光。


本来なら決して交わることのない二人が、

今、同じ舞台に立とうとしている。


「ギリギリです、時間がありません」


スズカが冷静に告げると

シャケは、二人に声を掛けた。


「昨日も会っていたんですか? 作戦会議とか?」


チーム戦において連携は必要だ。

しかし、シャケが知る限り、

この二人が麻雀卓を囲んで練習している姿を見ていない。


シャケの問いに、神宮司が明るく笑い飛ばす。


「はっはっは!心配性だね~シャケくん。

 準備なら完璧だよ。二人で何回も飲みにいったからね。

 昨日も……う、思い出すと吐きそうになる」


「は?飲み……ですか」


麻雀の特訓ではなく、飲んでいたという言葉に

シャケとスズカ、鳥越は目を丸くすることしか出来ない。


「……ああ、コイツとの酒は悪くなかった」


赤井がポケットからガムを取り出しながらニヤリと笑う。

スタジオ内は完全禁煙。


ヘビースモーカーの彼にとって地獄のような環境だが、

今は噛むことで代用している。


「それに……コイツ。

 メディアじゃ明るい素振りしか見せないが、

 意外と悪い男だぞ?」


「心外ですね~、赤井さんこそ、意外と情に厚い人でしたよ」


神宮司が眼鏡の位置を直しながら、不敵に言い返す。


再会した直後は、赤井に対して警戒していた神宮司。

それが今では軽口を叩き合い、対等のパートナーとして肩を並べている。


「そろそろ時間です!」


放送スタッフから声がかかる。

2人はゆっくりと会場へと歩き出す。


シャケたちがその背中を見送ろうとした、その時だった。


「……おい、シャケ」


赤井が足を止めた。


振り返ったその瞳は、シャケを真っすぐと射抜く。


「最後に、いつものアレ……俺にもくれよ」


「……え?」


シャケが困惑していると、隣で神宮司も振り返る。


「そういえば、柄にもなくアレ欲しいって言ってましたね」


「……ああ」


「ほら、シャケくん。この赤井さんがここまで素直なことなんてないよ~」


(……ああ、そうか)


シャケがここまで、案内人として代表選手に送ってきた言葉。

確かに赤井には告げていない。


シャケが深呼吸をして、背筋を伸ばす。


彼の前に揃った最強の二人へ最後の言葉を贈る。


「……赤井さん、神宮司さん。

 俺達が愛する麻雀で……宇宙一を決めないか?」


その言葉を聞いた瞬間。

赤井は満足そうに微笑んだ。


「……ふっ、人生何があるか分からんな。

 宇宙一の称号……奪いにいこうか」


「そっそっそ、僕は麻雀星人の座を守らないとね」


二人が前を向き、歩き出す。


その背中は、眩い光と漆黒の闇に満ちていた。



◆ ◆ ◆



『さあ!地球の存続を賭けた最終決戦!

 舞台はここ、Mリーグスタジオから全宇宙へお届けします!』


銀河アナウンサーの絶叫がスタジオ、銀河中に響き渡る。

シャケとスズカも、その実況席に座っていた。


『今回は特別ゲストとして、地球代表選手案内人、三好鮭さん。

 そして宇宙人のスズカさんにお越しいただきました!』


「よ、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします。ここの空調は素晴らしいですね、合法です」


ガチガチのシャケと、マイペースなスズカ。

それとは裏腹に、放送を眺めるコメント欄のボルテージは最高潮だ。


・おおおお、最終決戦か!!

・神宮司頼むぜええええ

・スズカ様、終わっても地球にいてほしい

・赤井って誰?

・これが地球のコメント欄

・また世界中に巨大なモニター浮いてるのか

・いや、この配信みないとコメントできない

・Mリーグin宇宙www

・麻雀よくわかんね

・役名や点数は雰囲気でいい、勝負所は実況でわかる

・麻雀警察の用意は出来ています

・コメント楽しい!地球最高!

・草っていつ使えばいいの?

・お前、宇宙人か?好きな時に使え

・wwww


『まずは改めて今回のルール説明を行います。

 ルールはMリーグ準拠。

 詳しく知りたい方はネットで検索してください。

 そして、勝敗は非常にシンプル。1半荘の勝負。

 1着を取った側の勝利となります。他の順位は一切関係ありません』


ルール説明が終わると、

大音量のBGMが流れ始める。


それは、Mリーグの選手入場音楽。


『さあ、それではまもなく選手入場です!!』


いよいよ始まる地球対宇宙。

その最終戦、麻雀。


――地球で最も長い1日が始まる。




20時過ぎ 不定期更新

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