初めての出来事
12月19日から始まる「ネトコン14」にエントリー作品です。
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明日15日から更新時間を変更させていただきます。
変更時間は、【21時】になります!!
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朝食が終わって、また石碑に縛り付けられる。
もう諦めて自分から横たわってるのに、縛り付けられている。
という表現もおかしい気がしてきた。
まぁ、そんなことはどうでもいいか。
天井を見ながら、ゆっくり石碑の魔法陣に聖力を流す。
ゆっくり、ゆっくり……。
なじませるように流していくと、少し背中が温かくなる。
目を閉じて、瞼に映像を映す。
そこには、先ほど陛下と一緒に来ていた男性だけが映っていて……。
何本か細い瓶のようなものに水を入れながら振っている。
色が変わらなかったものは、捨てて粉のようなものをまた瓶に入れて振る。
毒を吸い込まない為なのだろう。
口元を布で覆っている。
いくつか色が変わったものを見ながら、持ってきている荷物を漁っている。
その中から出てきたのは、私が解毒できなかった毒を中和する為に必要な材料のようだった。
そこまで見て、ほっと胸を撫でおろす。
これで、危機は去ったはず。
私にできるのは、中和薬の効果を早める為に補助的に聖力を流すことだけ。
一旦、湖から意識を途切れさせる。
強い毒から順番に解毒していって、その中でどうしても解毒できなかった毒について、考えを巡らせる。
理由は、なんとなくわかっている。
蓄積型の毒だから、強さ的には無毒に近いのだと思う。
だから、どんなに私が毒だと思っていても、聖力が効きにくいのだと思う。
これも過去にやったことがある。
陛下達が結婚して、初めての冬。
寒いのに体力が落ちない私の事を不審に思ったのか、食事に今回使われたのと同じ毒が使われていた。
ある程度蓄積されてから、聖力での解毒ができた。
だから湖に希釈されて、毒を解毒しきれなかった。
中和薬の効果を高める方であれば、力になれるはず……。
教会では、貴族に売る用の薬に聖力を籠めていた。
何倍もの金額で売られていたみたい。
しばらく聖力を溜めることに集中する。
身体に溜まってきたのを感じて、また湖に意識を戻す。
さっきの青年ともう一人男性が立っていた。
青年が中和薬の説明をもう一人の男性にしているようだ。
遠慮なく聖力を使って状況を見ることができないから、声までは聞こえない……。
でも、見るからに少し不穏な雰囲気なのを感じる。
『領主……怪しいの』
また、あの声が聞こえてくる。
『あいつ……悪いやつ。眼鏡の人のこと止めてる』
男性はここの領主で……悪い人だと。
地方の領主までもが、陛下の敵なのね……。
「私に何ができる?」
頭の中の声に呼びかけると、声が返ってくる。
『レウシア! レウシアが、聖力を流してくれたら、僕たちがそれを何倍にも強くするから!』
呼びかけると、凄く喜んでくれたように返事が返ってくる。
僕らってことは、複数いるのかな?
でも、今はそれどころじゃない……。
私は、言われた通りにゆっくりと聖力を湖に向かって送る。
――ジャラ……。
私の身体がふわりと浮いたことで、鎖が音を立てる。
慌てて聖力を流すのをやめる。
扉が開いて、朝の聖騎士が入ってくる。
「今の音はなんだ」
「少し身体を動かそうとしたら、鳴っただけです」
「……嘘ではなさそうだな」
そう言って、部屋の中を一周回って外に出て行った。
また、入ってくる様子もないので、私は聖力を集中して流す。
身体が浮かないように、慎重に……。
しばらくするとまた湖の映像が、流れてくる。
湖では、領主が……、青年を突き落とそうとしていた。
彼は、中和薬を取られたのかそれを取り返そうと手を伸ばしていて不安定な体勢。
『レウシア! 早く!!』
声に急かされて、聖力を流し込む。
そうすると湖面がいきなりうねりだし、作り出された波が青年を越えて領主に襲い掛かる。
そのまま、大量の水を浴びた領主は、顔を青くさせながら逃げて行った。
青年は、全く濡れておらず、湖を見つめてぽかんとしている。
私も今見た光景にぽかんとしているのだけれど……。
『レウシア! ありがとう! やっつけられた!!』
嬉しそうな声が複数頭の中に流れてくる。
頭痛が来ることもないので、とりあえずこれでよかったのだろう。
私は、ゆっくりと頭の中に声をかける。
「あなた達は誰なの?」
『僕たちは、この湖の精霊だよ! やっとレウシアとお話しできた!』
「やっと? それってどういう事?」
『僕たち一回目の時からずっとレウシアに声を届けてたの!』
『魔法陣から……話しかけてた』
「でも、今までは聞こえなかったのに、なんで今回は聞こえたの?」
『それはね、レウシア僕たちに聖力を流してくれたからだよぉ』
そう言われて考える。
確かに、今までは国王陛下の身体に聖力を纏わせるようにだけ流していた。
だから、彼らの声を聞くことができなかったのではないだろうか。
『レウシア! あの子が何か入れようとしてる』
そう聞こえてきて、また湖のほとりに目をやる。
青年が、またいくつかの薬草を調合して湖の中に流し込む。
その光景を見て、湖の中に流されたものを調べる。
それは、中和薬。
もちろん、湖を解毒するには全然足りない。
私は、集中して中和薬にゆっくりゆっくりと聖力を流していく。
少しずつ中和薬が溶けるように、溶けた薬が全体に広がるように聖力を湖全体に流していく。
「えっ!! な、なんで……湖が光ってるの?」
青年が驚いて、湖から離れるのが見える。
それでも彼以外には、人が居ないので流し続ける。
彼は奇怪な物を見るように、湖を見つめている。
「もしかして……これが賢者様が言っていた聖女の力?」
彼が何を言っているのか分からないけれど、まずは中和薬の効能をあげることに集中することにした。
最後までお読みいただきありがとうございます!
本作は「ネトコン14」エントリー予定です。
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