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死ねない怪物の私は、もう祈らない~私の心はもう死にました。なのにどうしてあなたは私を探しているのですか?~  作者: 紫乃てふ


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久しぶりの再会

私の名前を何度か呟きながら、首を傾げる国王陛下。

私も夢に入ることができた嬉しさに、浸っている暇はなかったことを思い出した。


「こくおうへいか。わたしは、めがみさまのつかいなんです」

私がそう伝えると、子どもの戯言だと思われたのか優しい笑みだけを向けられる。

生まれ変わりだから、間違いじゃないんだけどな……。


でも国王陛下が、私の頭を撫でようと手を私の頭に伸ばしてきた。

しかし、その手は私の身体をすり抜ける。

きっと、私が国王陛下に向けて流している聖力が、私の形を作っているだけなのだろう。

そんなことを冷静に考えていると、何度も腕が目の前に伸びている。


「これで、しんじてくれますか?」

これを利用しないわけにはいかない。

私が一生懸命伝えると、さすがに彼も疑う余地がないらしい。

「あぁ、信じよう。それで、可愛い女神の使いは俺に何を伝えに来たんだい?」

私の背丈に合わせて、座ってくれる。

「はい。めがみさまが、にしのほうのみずうみがまがまがしいっていってました」

女神さまじゃなくて、私の聖力が察知したんだけど……自分を女神って言ってるみたいで嫌だな。


「女神ティア様が……」

「えぇ、めがみさまから、へいかへつたえるようにいわれました。にしがあぶないと」

私の言葉を聞いてから、ぶつぶつと何かつぶやいている。

少しすると私の方を真剣な目で見る。

「西ってどのあたりかティア様から、聞いているかい?」

「このくにで、いちばんおおきいみずうみ」

「一番大きな湖という事は、シャトレ湖か」

それからまたしばらく、考えている。

「その湖がなんで禍々しいんだい?」

「ふくすうのどくがみずうみにながされているの」

「……毒か」

「そう。いくつかまざっていて、めがみさまでもげどくがまにあわないの」

「まずいな。シャトレ湖は、西の街や村の住民たちの大切な水源だ」

「のこっているどくは、ふくつうをおこすもの」

「腹痛を起こす程度の毒、ということか。それなら種類は絞られるな」

そう言って国王陛下が立ち上がると、世界が揺れる。

それに驚いていると、景色が霧散して目が覚める。


「国王陛下が、目覚めたのね……」

遠くにある天井を見ながら、ぼそっと呟くと扉が開く。

夕食を持ってきた聖騎士が、入ってきた。


「あ、あの。さっき数分間出ていた光は何ですか?」

えっ……、この前みたいに派手に聖力が溢れてしまったのかな。

そんなことになったら、王妃エリス様や教皇猊下に突撃されるんじゃないかと、げんなりした気分になる。

私の表情を見て察したのか、彼は慌てたように手を自分の顔の前で振って否定していた。


「いいえ、外には漏れていません。ただ、この地下室いっぱいに聖力が満ちているようでした」

彼の言い方に、少し不思議に思う。

聖力は、特殊な力だから聖女しか使えない。

だけど、人によって感じやすさは違うけれど、聖力を感じることはできると聞いている。

「あなたは、聖力を感じやすい体質なの?」

「はい。それで今の聖女様に仕えたいと思って、聖騎士になったんです」

「そう……なんかごめんなさいね。こんな情けない人間だと思わなかったでしょう」

私が自嘲気味に言うと、彼は悲しそうな表情をする。

「そんなこと言われないでください。聖女様は、教会で会った誰よりも素晴らしい方です」

「そうかしら……。ここで、国の為に捧げものになっているような人が、素晴らしい?」

「はい。誰にもできないです。それをされている聖女様は、素晴らしいお方です」

彼のキラキラした目に、やっぱり国と国民の幸せを願うことを決めたことに誇りを持てた。


「そういえば、あなたの名前を聞いていなかったわね」

「自分、ミケといいます」

「ミケ、あなたは私の監視に配属されたの?」

「はい。正直今の教会は居心地が悪いので、聖女様のお傍に入れる今の方が幸せです」

「じゃあ、ミケこれからあなたが夜いるときには、深夜に合図をしてくれない?」

「もちろんです」

「あ、あとさっきのことは……」

「もちろん。教皇猊下にはお伝えしません。深夜の監視は一人なので、このことは俺しか知りません」

「そうなのね。教えてくれてありがとう。でも、そろそろ扉を閉めて、戻りなさい」

私は、そう伝えながらあくびをしていた。


久しぶりの事に驚く。

ミケは、そんな私を見て慌てたように外に出ると

「ゆっくりお休みください」

と言った。

「おやすみなさい……」

私も小さくそうミケに伝えると、そのまま目を閉じた。


久しぶりにゆっくり眠れた。

鎖を巻かれてるから、寝返りうてないし身体が痛むけど……。


「はぁ……眠れることが不便だと思うなんてな」

朝食を持って、ミケとは違う兵士が入ってくる。

食事中も見張られているけど、ちょっと身体を捻ったりする。


「おいっ! さっさと飯を食え!」

上からものを言う兵士に目をやると、聖騎士とは違う鎧を身にまとっている。

王妃エリスの家の者なのだろう。


「少しくらいいいじゃない。ずっと同じ体勢ってすごく辛いんだから」

「そんなのは知らない! お前はただエリスお嬢様の役に立ちさえすればいいんだ」

「エリス王妃陛下のお役に立つには私が居なくなったら困るでしょう?」

そう言うと悔しそうに顔を歪めたけど、何も言わなくなったからもう少し伸びをしたりする。

朝食を食べ終わって、鎖に巻かれていると慌てた様子で、別の兵士が入ってきた。


「大変だ! エリス様がお前をお呼びだ!」

「エリス様が! すまないが残りを頼む」

そう言って、彼らは入れ替わる。

呼びに来た兵士も、エリス王妃の実家の兵士のようだ。

鎖を巻くと外に出て行ったので、彼の周りに聖力を纏わせた。


しばらく集中していると、さっきの兵士が帰ってきたようで二人が話しているのが聞こえてくる。

この能力も、近くに対象がいないといけないのが不便なのよね。


「すまない、戻った」

「エリス様は、大丈夫だったか?」

「あぁ、国王が急に西の方へ行くと言い出したらしい」

「なんで、急に」

「分からない……」

「お疲れ様です。交代の時間です」

別の兵士が来て、彼らが離れていき、肝心なことが聞けなかった……。


西の方へか、国王陛下が動いてくださるならきっと今までのように国で病気が蔓延することはないはず……。

そう思って、ほっと胸を撫で下ろした。



最後までお読みいただきありがとうございます!

本作は「ネトコン14」エントリー予定です。

少しでも「気になる」と思っていただけたら、ページ下の評価やブクマ登録をしていただけると、執筆の励みになります!

明日も更新しますので、またお会いしましょう!

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