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死ねない怪物の私は、もう祈らない~私の心はもう死にました。なのにどうしてあなたは私を探しているのですか?~  作者: 紫乃てふ


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国の為に

夢の中に入るために何をすればいいか、一回考える。

とりあえず、寝てるか確認かな……。

そう思って国王陛下に向かって、聖力を流してみる。

でも、やっぱり上手くいかない。


なぜか毎回、教会の中庭に似たところに辿り着く。

「やっぱり人の思考に入り込むのって難しいのかな」

もしくは、寝てない?

たしかに夜ご飯が下げられてすぐに聖力を合わせてたけど、時間が早かった可能性はあるよね。


でも、ここに居たら何時間経ったか分からないんだよね。

こうしてる間にも西側の湖の毒を聖力を流して、中和できないかと試す。

ただ調合されてるようで、無毒にできない。

蓄積を少なくすることはできてるから、症状が出るのを遅らせることはできているはず。

でも、湖から水を汲んで暮らしてる地域は広い。

いくら聖力があっても、みんなを癒すことはできないのだと今回初めて知った……。


「あぁ、私はなんて無力なんだろう……」

解毒できてない毒を解毒するための薬草とかは、教会にいる頃に嫌という程勉強させられたから知ってる。

それだけでも伝えることができれば……、きっと国王陛下ならなんとかしてくださるはず。


そんなある日、遅い時間に聖力を流したらいつもの教会の中庭の中に、小さい頃の陛下が現れた。

何かを言ってるけど、声は聞こえないし、私の声も届いてないみたい。

『オーシー』と彼に呼んで欲しいと言われた名前で呼びかけても返事はなかった。

そして、しばらくすると彼は消えていった。


でも、たしかに彼と繋がることはできた。

なら、きっと寝てる時なら話はできるはず。

そう、信じてやるしかない。


少し前進した翌日、二度のよく自我過ぎたころに教皇猊下が、私を訪ねてきた。

「どこにも外に出た様子はないな」

扉から一歩入ったところに立って、後ろには聖騎士が二人立っている。

どちらも見たことが無い騎士だから、新人なのだろう。

私に対して、警戒をしていないのが丸わかりだ。

理由は、分かってる……。

聖力は、攻撃に転用することができないのだ。


私にできることは、幸せを祈ることだけ。


人の不幸を願うと、私に返ってくる反動がある。

これも繰り返す中で試して初めて知ったこと。

数えるのが嫌になったころに、国王陛下を、王妃を、教皇猊下を呪った。

ただ、呪いは私に返ってきた。

でも、彼らが何かをしている様子はなかった。

呪った翌日から足の先から肌が黒ずんでいき、その黒い肌が私の身体を覆っていった。

最初は、肌が黒ずんだだけだと思っていた。

でも、違った……。

段々と身体が動かなくなっていき、息が苦しくなっていった。

私が聖女としてやってはいけないことをした代償を払わされたのだ。

そして、私が息を引き取るのと同時刻。


しかしこの時にもう一人不幸になった人がいた。

それは、国王陛下。

彼は隣国に外交に行っている最中に、友を失い。

そして隣国の王家と繋がっていた騎士団長に、後ろから刺されて亡くなった。


「聞いてるのか! ルル!」

私が過去の事を思い出していたら、顔の横にドンッと音がした。

重たそうな大剣が私の顔の横にたたきつけられていた。

「聞いてますよ。教皇猊下」

「お前は、何をしたのだ。何も育たないと言っていた土地ですら、草木が生え始めたぞ」

「良いことではないですか。私は言われた通りに幸せを願っているだけです」

……国民とこの国のだけれど。


そんなことを胸の中で思いながら、ただ天井を見つめながら返事をする。

「きっと教会の威厳も王妃陛下の威光も高まる事でしょう」

「むむ……。確かにそうだな」

「それにそのような土地に新しい教会を建てれば、きっと教皇猊下の元にたくさんの貴族がやってきて、寄付をしてくださいますよ」

この人、お金に執着がすごいから、こういう風に言えばきっと気分よく帰るだろう。

「そうだな。この前のような過剰な演出は避けろ。エリス様を聖女として宣伝するのに同じことをしろと言われたら困るからな」

「私から心ばかりのお二人への祝福です。もうあんなことはしません」

「それならいい」

何をしに来たのか、満足げに帰っていった。


その日の夕食時。

昼に教皇猊下と一緒に来ていた聖騎士が、夕食を運んできた。


「逃げないのですか? あなた様が聖女なのにこんなところに縛り付けられて……」

「そんなことを言うと、教会で出世できないですよ」

「でも……」

「長生きしたいなら、私には関わらないことです」

それだけ言って、手早く持って来てくれた夕食を食べると、自分から石碑の上に寝転がる。

「しかし……」

まだ粘る彼に、私はため息を吐く。

「そんなに何かをしたいのなら、深夜になったら扉を叩いてくれる?」

私は、彼を時計代わりにすることにした。

「えっ? 深夜になったらですか?」

「えぇ、国王陛下が寝られてから私の祝福を授ける方が、良いみたいなの」

そう伝えると、彼は目を輝かせる。

「わかりました。日付が変わる頃には陛下も寝られると思いますので扉を三度剣で叩きます」

「よろしくお願いします」

できることがあって、嬉しかったのか彼は目を輝かせていた。

彼が少し緩く鎖を巻こうとしたのは、指摘して直させた。

明日の朝、朝食を持ってきた人が気がついたら彼は処分されてしまう。


その日の夜、耳を澄ませていると、

トンッ、トンッ、トンッ

三回扉が叩かれた。


私はその音の合図に、目を閉じて必死に祈る。

国王陛下……、あなたにどうしても伝えたいの……。

あなたの愛する国が国民が、これから不幸になるかもしれないこの危機を。


いつもの教会の中庭。

でも、そこに居たのは大人の陛下。

中庭が見える塔に幽閉されていたころ、遠めに見た彼と同じ面影だわ。


「へいか……ヘリオスこくおうへいかですよね」

私は、自分のつたない言葉に驚く。

それで、私の身体を見ると五歳くらいの身体。

彼に初めて会った時の年齢。

これくらいの方が、私の正体を知られなくて済むからいいかな。


私が、国王陛下に近づいていくと、彼は振り返る。

「君は……誰だい?」

「わ、わたしは……ルルです」

「ルルか。可愛い響きだね」

私の声が届いた!!

その感動に、胸がいっぱいになった。

本当に、夢に入ることができたんだ!


最後までお読みいただきありがとうございます!

本作は「ネトコン14」エントリー予定です。

少しでも「気になる」と思っていただけたら、ページ下の評価やブクマ登録をしていただけると、執筆の励みになります!

明日も更新しますので、またお会いしましょう!

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