過去の思い出と国の危機
アップが遅くなり申し訳ありませんでした。
明日以降予約をちゃんと確認します。
12月19日から始まる「ネトコン14」にエントリー作品です。
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私が過去に思いを巡らせて、天井を眺める。
――ドンッ。
急に重たい扉が開く音がする。
扉の方を見るように首を持ち上げた時には、すでに王妃が私の頭の横まで歩み寄ってきていた。
彼女は怒りを露わにして、私を見下ろしている。。
「昨日のあの光は何! 勝手なことをして許されると思っているの!」
人の頭の横で地団駄を踏むのはどうかと思うけれど、彼女ともある意味長い付き合いだ。
何を言っても聞かないのはよく知っている。
「何を黙ってるのよ!」
黙っているとそれも気に食わないらしい。
「良いではないですか。昨日、私は国全土の為に祈りました。これで、王妃陛下は聖女として、さらに名を馳せられますよ」
私の言葉に、目を丸くしながら何かを考えるようにしている。
背後に控えていた侍女が、王妃にそっと耳打ちをする。
「そうね。新聞でも『私の祝福』として大々的に宣伝されたみたいですし、今回は大目に見てあげるわ」
満足のいく結果が出ていたみたいで、私はそっと息を吐く。
縛り付けられている人間の横で、荒れ狂う彼女を何度も見てきた。
一番嫌だったのは、彼女の父親である公爵まで来て、二人で暴れた時……。
何で暴れていたのかは、もう覚えていない。
そんなことを考えていると、ずいっと私の方に近づいてくる。
そのまま持っていた扇子で私の顎をくいっと持ち上げてきた。
「今回は、馬鹿な平民たちが勘違いしたからいいけれど、次からはこんな目立つ行動は控えなさい」
そう吐き捨てて、彼女は去っていくのを見送る。
彼女にとって国民とはなんなのだろうか。
かつて、彼女は私に言ったのだ。
『皆から尊敬される国母になりたい』と。。
そう、初めてここに来た日までは、彼女は、純粋だ……と思っていた。
「私が王妃になる時に、ルルみたいな聖女が居てくれて嬉しいわ」
そう言って、手を握ってくれた彼女と次に会ったのは、前国王陛下が急逝され、葬儀を終えた後。
教皇猊下に、これからはここで祈るようにとこの部屋に連れてこられたときだった。
部屋の中には、成長した彼女がいた。
直接会うのは幼い頃以来で、私は彼女に近づこうとして、動くと両脇を聖騎士に拘束された。
驚いた顔で、彼女と教皇猊下を見つめる。
彼女は、真っ赤な豪華なドレスを身にまとっていて、私を見ると蔑むようなまなざしで見つめてきた。
「ふふふ。はははははっ。これで私はこの国の歴史で一番尊敬される王妃になれるわ」
狂ったように笑う彼女。
そんな彼女を見ていると、急に引きずられて、床の上に寝かされる。
必死に抵抗をするけど聖騎士たちは、もちろんびくともしない。
「やだ! やだなに!!? なんでこんなことするの! 教皇様! エリー! 助けて!!」
必死に二人に手を伸ばすけれど、二人は私を汚いものを見るような目で見つめてくる。
足元から鎖で拘束されていく恐怖に叫び、暴れていると、王妃がヒールで私の手を踏みつけてきた。
「あんたみたいなたまたま女神の生まれ変わりになっただけの平民が、私に気安く話しかけるんじゃないわよ」
急な彼女の態度に、面食らう。
「えっ……、エリー。あなたはいつも私に一緒に国を良くしようって……、手紙に書いて……」
「手紙? 手紙……手紙……。あぁ、うちの召使いに代筆させてたあれね。私があんたなんかとやり取りするわけないでしょう」
代筆……?
じゃ、じゃあ、私がエリーだと思って手紙をやり取りしてた人は、誰?
私の疑問が顔に出ていたのか、手の甲をヒールで踏みつけながら、口の端を上げて冷酷な笑みを浮かべる。
「残念ね。気が合ったかもしれないけど、あれはもう昨日処分したわ」
グッと力を込めて手の甲を踏んだ後に足を外すと、私の手を踏んでいた靴を投げ捨てる。
「はぁ、平民に触れた靴なんてもう履けないわ。新しいのを早く持ってきなさい」
そう言って、靴を履き替えると扉の方に歩いていく。
私が、王妃と話してる間に鎖は肩まで巻かれ……、身体は拘束されていた。
「それじゃあ、これからも私の為に王の幸せを祈りなさい。全部、私が活用してあげるから」
そう言って、笑いながら扉を出ていく王妃を力なく見つめていた。
今度は、私の顔の前で教皇猊下がしゃがんでこちらを見る。
「教皇様……、なんでこんなことするんですか?」
「ああ、お前の力を発揮するための装置じゃよ」
「な、何で縛るんですか! わ、私ちゃんと祈ります」
「そんなの決まってるだろう。お前に逃げられたら困るからだよ。せいぜい、王妃エリス様の為に祈り続けろ」
それだけ言うと、教皇猊下も部屋から出て行く。
――、そして、意識が現在に戻ってくる。
はあ、なんでこんなことを思い出したんだろう。
きっと、今までにないことが起きたからね……。
「でも、今回はゆっくりできそう。国で何か問題が起きない限りは、私が警戒する必要もないし」
王妃エリスが出て行った扉を見つめて、独り言を吐き捨てる。
今まではずっとずっと、国王陛下の周りにある聖力から入る情報に、神経を巡らせていた。
でも今は、国中の情報を危険・悪意があるものに絞った。
初期の頃は、全く問題は起きなかったと思う。
国王陛下に関する問題といえば、きっと王妃エリスが新婚旅行に行きたいと駄々を捏ねるのに対応するのが大変なくらいだった。
そうして、しばらくゆったりとした時間を過ごしていた。
ずっと地下にいるから、季節も何も分からない。
食事のタイミングや入ってくる兵士達で、何となく時間は分かる。
そんなある日、私の頭に急に映像が流れてきた。
それは、西部の地方……、綺麗な水が売りの田舎のあたりの湖。
黒いフードを被った複数人の人が、瓶に入った何かを湖に流しいれている。
湖に流した聖力から情報を取るとそれは……。
蓄積すると体調が悪くなる『毒』だった。
ど、どうしよう。
これを陛下に伝えないといけないのに……。
何か伝える方法はないだろうか。
私が悩んでいると夕食を持ってくる担当の兵士が中に入ってきた。
とりあえず、ご飯を食べながら考える……。
教会で教皇猊下と仲が悪かった教師が、一人いた。
そう言えば彼が、聖力を使って女神さまは人の夢に姿を現したことがあるって言っていた。
……やれるか分からないけど。
やってみよう。
思い立ったら即行動。
それが私の信条だ。
今回の私が願うのは、『この国』と『国民』の幸せ。
魔法陣から少し聖力をもらって、国王陛下の周りに聖力を纏わせる。
そして、彼が寝たのを見計らって夢に入るように試行錯誤を始めた。
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本作は「ネトコン14」エントリー予定です。
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