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死ねない怪物の私は、もう祈らない~私の心はもう死にました。なのにどうしてあなたは私を探しているのですか?~  作者: 紫乃てふ


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彼は一体……

いつもお読みいただきありがとうございます!

リアクション・ブックマークをいただき本当にありがとうございます。

いつもいつも本当に励みになっています。


 私が少し気の抜けた状態で、天井を見ていると扉がノックされる。

 私のいる地下室の扉をノックしてくれるのは、ミケだけだから私は入室を許可した。

 許可なんてしなくても勝手に入っていいのに……。

 他の騎士たちは勝手に入ってきて私に早くご飯を食べるように急かしてくるのに、ミケだけが私の事を急かしたりすることが無い。

 今日はいつもより笑顔で夕食を乗せたトレーを机に置く。

 いつものように優しく私を縛っていた鎖を解いて、ケガをしていないかを確認する。

 以前、擦り傷ができていた時には、すぐに手当てをしてくれた。


「ルル様。今日は少し豪華な夕食ですよ」

「珍しいわね。なにかあったの?」

 私がそう聞くととても嬉しそうにミケが話始める。

「それが、いつも王妃殿下をぞんざいに扱っていた国王陛下が一時間だけですけど一緒にお茶をされたんです」

「そう……」

 チクッと胸が痛んだ気がした。

 そんなわけないのに……。

「それで、王妃殿下の機嫌がよかったみたいで、ルル様のお食事が豪華になりました」

「そうなのね……仲が良いことは国にとってもいいことよ」

「その様子を見たというメイドの方に聞いたのですが、とても絵になる光景だったそうです」

「そうなのね……」

 聞きたくない。

 王妃殿下と国王陛下が仲が良い話なんて……今は聞きたくないのよ。

 だって私の信じられる人は、国王陛下とミケしかいないのだから……。

 私がそう思って俯いていると急に人の体温を感じて驚く。


「ルル様……そんな辛そうな顔をされないでください」

 ミケが私のことを抱きしめてきたのだ。

「ミ、ミケ……何をしているの? 離れて」

 私が抵抗するように身体を動かしたところで相手は、騎士だ。

 びくともしない。

 それに、顔を上げて正面にあるミケの顔を見るとすごく切なそうな顔をしていて、言葉が出てこなくなる。

 なんで、ミケがそんなにつらそうな顔をしているの?

「ルル様は、国王陛下がお好きなのですか?」

「そういうわけではないわ。ただ、幼い頃にお会いしたことが……」

 真剣に答えなければとミケの目を見ながら答えていたら、段々と思い出せなくなる。

 あれ?

 私、国王陛下に会ったことがあるわよね?

 幼い頃だから忘れてしまっただけ?

 国王陛下に会ったことに自信が持てない……。


「そんなはずありません。だって、ルル様の傍にはいつも僕がいたじゃないですか!」

「何言ってるの? ミケとはあなたがここに配属されるまで知り合いじゃないわ」

 私がそう言うとミケの力が緩んで離れる。

「もう! いきなり抱き着くなんて驚くじゃない」

 止まっていた手を動かして、食事の続きをする。

 その間いつもおしゃべりなミケはとても静かだった。


「ミケ、食べ終わったからいつものように縛ってくれる?」

「なぜですか? いいじゃないですか……ルル様が祈らなくてもきっとこの国は滅びたりしません」

「そんなことはないわ。この国では色々起きているの」

 そう……だから私はこの国の為に祈るのよ。

 神が信じられなくても、育ててくれた教会が信じられなくても……。

 そんなことに一切関係ない国民の幸せの為に祈ると決めたのだ。


 それに……ティア様や天使が言っていた。

 一人の為に祈っていたから歪みが生じたのだと。

 それは、仕組まれていたのだと……。

 もう私に残された道はこの国に祈ることしかないのだ。


「それでも! 急に国王陛下がルル様を探していたり、ルル様だけが振り回されているじゃないですか!」

「陛下が私を探しているの?」

「前回教会に来たときのことです……。先輩に聞いたらルル様を探しに来ていたんだと聞かされました」

「そうなのね……きっと何か確認されたいことがあったんでしょう」

 ここにいることをやっぱり国王陛下は知らないのね。

 それにしても何の用だったのかしら……。


「では、僕の事をルル様の慰めにしてください。僕は何があってもルル様を支えます」

「ふふふ。ありがとう。ミケがいてくれてとても助かっているわ」

「そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます」

「それじゃあ、私のことはいつも通りお願いするわね」

「はい……でも逃げたくなったらいつでも言ってくださいね。ルル様が快適に過ごせる場所をご用意していますから」

 そう言って、ミケがいつものように鎖を巻いていく。

 そのままか空の食器を持って出て行った。


 魔法陣からゆっくりとティア様の聖力を感じていたら思考がスッキリしてきた。

 私……なんでミケと話していた時に陛下との記憶があいまいになったんだろう?

 そう言えば、抱きしめられたとき……人のぬくもりだと思っていたけど……。

 この魔法陣から聖力を感じるときも同じくらい温かい気がする。


 でも、そんなわけないわよね。

 大体、もし今私が考えていることが本当なら……こんな回りくどいことをしている意味が分からない。

 だって、私はあくまでティア様の生まれ変わりなのだ。

 アスラム様は神なのだから私よりも強いはず……。

 そう……よね?


 私は今感じた違和感が頭の中でぐるぐる回っていた。

 混乱しているといえばそうだ。

 よく考えれば、今までの人生には出てこなかったミケという人物が私の周りに現れた。

 これっておかしなことだと思う。

 もちろん、これが私が正しい祈りを捧げて、世界の歪みを直せるようになったからと言われれば納得はできる。

 でも……今の私に優しくしてくれるのはミケだけなのだ。

 彼にもし裏切られたら……私は耐えられない。


 そうだとすると不可解なことはたくさんある。

 だって、彼は私を無理やり連れ出そうとしたらできるのだ。

 なのに、無理やり連れ出そうとはしない。

 なら、やっぱり私のきっと味方なはず……。


 そう考えて、ゆっくりと眠る。

 考えすぎたからか、知らない力に触れそうになったからか……。

 凄く疲れてしまった。

 私は一体誰を信じたらいいのだろう?


 結局……私は世界で独りぼっちなのだ。


最後までお読みいただきありがとうございます!

本作は「ネトコン14」エントリー作品です。

少しでも「気になる」と思っていただけたら、ページ下の評価やブクマ登録をしていただけると、執筆の励みになります!

明日も更新しますので、またお会いしましょう!

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