変化……~国王陛下side~
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あの聖騎士が来た翌日からエリスの様子がおかしくなった。
今までは俺のことなどいないかのように、過ごしていたのに今ではどこにでもついてくるようになった。
「エリス。俺はこれから仕事だ。お前もいつも通りお茶会でも何でも好きにしていたらいいだろう」
「そんなっ! ヘリオス様酷いですわ!」
朝食だって今までは自分はいらないからと断っていたのに、毎朝律儀に顔を出す。
そして、毎日のように同じようなやり取りをする羽目になっている。
「いい加減にしてくれないか。俺は暇じゃないんだ」
俺の腕にしがみつくエリスを引き離すと近くに立っていたアストンに押し付ける。
新婚の夫婦がこれでいいのかと言われそうだが、正直政略結婚なのだからこんなものだろう。
部下にエリスの事を任せたらしいアストンが俺に駆け寄ってくる。
「おい。ヘリオスどうしたんだ? 結婚式をする前までは、あんなに邪険にしていなかったじゃないか!」
アストンに言われて、ふと足を止める。
確かに、今はエリスに対してとても嫌悪感を抱くが……婚姻前はエリスの傍にいるのは心地よかった気がする。
それでも、彼女の性格から好きになることはなかった。
「アストンから見て、俺は結婚式の後から変わったように見えるのか?」
「あぁ……すぐではないけど結婚式後からエリスに対して興味を失ったように思うぞ。人並みにはエリスの動向に気を配っていたじゃないか」
「いや……それは、今でも気を配っているぞ?」
「そうじゃなくて、どこかに出かけるなら俺を護衛につけたりしてたじゃないか。でも今は、どこにいるかと誰といるかの確認だけだろう?」
「エリスも王族になったんだから、別に俺がわざわざ言わなくても護衛なんて手配できるだろう?」
「そうだけど……そうじゃなくて! なんて言ったらいいんだ!」
「アストンは、結婚してから王妃殿下に対して国王陛下が冷たいといいたいんじゃないですか? お茶会なども今はしていませんし」
俺とアストンがあーでもない、こーでもないと言い争っていたら、カドモスが口を挟んできた。
「カドモス! やっぱりお前もそう思うよな」
「そうだな。でも、アストンお前も知っての通り国王陛下は忙しい。急な交代で業務を一気に引き継いだんだ」
「それは、分かってるけど……エリスが寂しがっているんだよ。ここ最近は、ヘリオスの名前しか口にしないんだ。それにお茶会を開くと他のご令嬢たちから夫婦仲を聞かれて困ってもいるんだ」
「はぁぁ……わかった。今日の午後なら仕事を詰めれば、お茶くらいならできるだろう」
俺がそういうとアストンは、エリスに報告してくると軽快に去っていった。
なんなんだ、あいつは。
「少しくらいは夫婦のふりをしておけ。国王夫妻が仲が良いのは、国の為になるぞ」
「それは分かっているんだが……」
最近、エリスの近くにいるとぞわぞわっと嫌悪感というか、違和感があるんだよな。
一緒にいるのはなるべく避けたい。
にしても、誰か……ついて来てくれないだろうか。
そう思って並んで歩くカドモスを見るとあからさまに嫌な顔をされた。
「俺は、お前がいない間に書類仕事を進めるから行かないからな」
こういう時に産まれた時から一緒にいるのが嫌になる。
まだ俺は何も言ってないのに……なんでわかったんだこいつ。
「エピでも連れていくか……」
「ヘリオスはエピを都合よく使い過ぎだ」
ため息を吐くくらいならカドモスがついてくればいいだけなのにな……。
そんなことを言い合いながら執務室に着くとお互い真面目に仕事を始める。
今日は一段と書類が溜まっていて、お茶をすると朝言ったことを後悔してしまった。
「ヘリオス……そろそろ時間だから迎えに来たぞ!」
いつの間にそんな時間になっていたのか……アストンが俺のところに迎えに来る。
「カドモス……後は頼んだ。エピ、今から王妃とお茶に行くんだがお前会いたがっていたよな?」
「は、はい。その陛下のところへ来るように言ってくださったお礼をいつかお伝えしたいと思っていました」
「じゃあ、一緒に来るか?」
「いえ。王妃殿下も国王陛下とのお時間を大切にされたいでしょうから遠慮します」
こう言われると何とも言えなくなってしまう。
諦めて俺は、アストンに一人でついて行くことにした。
そして、案内されたのは数日前……あの聖騎士が綺麗だと言っていた東屋だった。
「遅くなった……」
「ヘリオスが時間を作ってくれて嬉しいわ!」
エリスの侍女が俺の前の空のティーカップに紅茶を注ぐ。
同じポットから注いだ紅茶を先にエリスが飲む。
エリスが飲んだのを確認して、俺も口を付ける。
何をそんなにと思わなくもないが、なぜか彼女の出すものは全て怪しく見えるのだ。
「この東屋でいつもお茶をしているのか?」
「今回が初めてなの! この前たまたまヘリオス様に会った時に見つけて素敵だなと思ってここにしたのよ」
エリスもあの聖騎士と同じようにこの東屋を『素敵』と思ったのか……。
全く別の人間なのに人の感性というものは不可解なものだな。
「ヘリオス様、そのお父様がねお世継ぎはまだかって聞いてくるの」
「そうか。申し訳ないがまだ交代したばかりで俺も余裕がないからな数年は待ってもらうことになるかもしれんな」
「えっ! でもそれでは国民も不安になってしまうわ」
「そうならないようにしっかりと夫婦仲を見せていればいいのではないか?」
エリスの父親は、外戚としての権力が欲しいだけだろう。
それに急かしたところで授かりものなのだから、言ったらできるものでもないだろう。
二口目の紅茶を口にして東屋から中庭を見る。
視界の端に映るなにかが気になって良く見るとそこにはエピが立っていた。
俺に何か伝言でも頼まれたのだろうかと思ったがこっちに来る様子はない。
ちょうどいいので、あいつを理由にこの場を離れようと立ち上がる。
「ヘリオス様どうしたんですの? もしかして、世継ぎのお話をしてしまったことで、気分を害されましたか?」
そう言って縋ってくるエリスに驚く。
エピがいる方を指さして逃げようと思ったが……。
さっきまでいたはずの場所を見てもそこにエピの姿はなかった。
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