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死ねない怪物の私は、もう祈らない~私の心はもう死にました。なのにどうしてあなたは私を探しているのですか?~  作者: 紫乃てふ


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不思議なこと~国王陛下side~

「ネトコン14」エントリー作品です。

面白いと思っていただけたら、ブックマーク、評価いただけたら嬉しいです(^▽^)/

 ルルに夢の中で会った翌日。

 俺の執務室にはいつものようにカドモスと師匠である賢者プロメ様。

 そして、その弟子のエピがいた。

 黒魔法の事を俺に教えてくれたのは、エピだった。

 彼は、古代語で書かれた書物が少しだけなら読めるらしく、その中に黒魔法の記載があったらしい。

 プロメ様も読むことができない書物をその弟子であるエピが読めるという事に驚いた。

 プロメ様に聞いたところエピはたまたま王都の路地裏で、凍えているところを拾ったらしい。

 エピにはプロメ様に拾われる前の記憶がないらしい。

 古代語を読める理由は、分からずじまいだった。


「むしろ僕は師匠たちが読めないことに驚いてます。みんな、読めるから置いてあるんだと思っていたので……」

 プロメ様の住まいで、黒魔法について書かれているという本を手にしながらエピは、驚いた表情で言った。

 なぜ読めるかの手掛かりがないのなら仕方ないと、エピのいう事を信じた……。

 けれど、女神の使いであるルルが知らないことだ。

 エピが本当の事を言っている確証もない。

 それに、最近になって急に思い出した教会の少女。

 同時期に現れたティア様の使いであるルル。


 なにか思い出せそうで、思い出せないでいる。

 それが気持ち悪くて仕方がない。

 そして、ルルに言われたことを思い出す。


『他のほうほうを使って探さないのであれば、陛下はその人にそんなに会いたくないんですよ』

 そう俺に言った時のルルの表情が気になっていた。

 彼女はそれまで、表情が豊かだと感じていたのにこの話題の時だけ無表情だった。

 感情が抜け落ちていて、痛みも何も感じていないような……。

 俺が、ルルならきっと応援してくれると勝手に思っていただけかも知れないけれど。

 それでも、あの瞬間の彼女に俺は、強烈な違和感があった。


「陛下! 陛下!」

 カドモスに呼ばれているのに気が付いて、ハッとする。

「どうした?」

「どうした? じゃない。お前が教会に行きたいと朝言ったんだろう」

 そう言われて思い出す。

 どうしてももう一度教会に行って、確かめたいことがあった。

 そして、その為にカドモスにも一緒に来てほしいとお願いしていたのだ。


 ゆっくりと部屋の中を見るとプロメ様もエピも居なくなっていた。

「あれ? 師匠とエピは?」

「本当にしっかりしてくれ……。お前が朝、教会に行く間は自由にしてもらっていいと伝えたんだろう」

「あっ……ああ! そうだったな」

「そういえば、どこから聞きつけたのか知らないが、王妃殿下も一緒に行きたいらしいぞ」

「エリスが一緒だと動きにくいな」

「何がしたいのか分からないし、警戒はしておけ……」


 カドモスと一緒に執務室を出て、玄関に向かうとそこにはエリスが待っていた。


「ヘリオス様! 教会に行くなら私に言ってくださればいいのに! ひどい人ですわ」

「今日は、教会の図書館に行きたかっただけだからな。わざわざ言うのもと思ったんだ。君は、ご婦人たちとのお茶会に忙しそうだし」

「嫌ですわ。夫を支えるのは妻の役目。国王陛下を支えるのが聖女の役目です」

「そうか……」

 最近、わがままが鳴りを潜めたと思っていた。

 しかし、カドモスに言わせればわがままを言う場所が変わっただけだと言われてしまった。


 ほぼ毎日のように色んな貴族のご婦人やご令嬢を呼んでお茶会を開いているらしい。

 基盤が心許ない夫を支える良き妻を周囲にアピールしているらしい。

 そして、彼女のお茶会に出されるものは、全てが一級品で揃えられていて、同じ食器は二度使わないらしい。

 そんなに食器なんて買ってどうするんだと思ったりもしている。

 なぜかエリスにわざわざ抗議しようと思わないのでそのまま好きにさせている。


 カドモスと三人で馬車に揺られて王都の教会に着く。

 エリスは、教会の神殿で祈りを捧げてくると言って早々に離れていった。

 俺とカドモスは出迎えてくれた聖騎士に連れられて教会の中を歩く。


「国王陛下の案内役を仰せつかりましたミケと申します。どうぞ、よろしくお願いします」

 国王を前にしても物怖じしない、教会には珍しいハキハキとした青年だった。

 まだ聖騎士になったばかりだそうだ。

「国王陛下は、教会の図書館に何かお探しの物があるんですか? 俺、よくわからないですけど、教会よりも王城の方が本がありそうだなって思うんですけど」

「そうだな……。探す種類による。女神に関連することやそういう歴史の書物は、基本教会にあるんだ」

「へぇ! 知らなかったです! でも、国王陛下は幸せ者ですよね。歴代最高と謳われる『聖女エリス様』と結婚されたんですから」

「君は、そう思うのかい?」

「はい。俺、『聖女様』のこと尊敬してるんですよ。だって国の為に力を使ってくださって、国の幸せを願ってくださってるじゃないですか」

「そうか……。君から見て『聖女エリス』はそう見えているんだな」

「何言ってるんですか! この国のすべての国民が『聖女エリス様』を尊敬してるんですよ!」

 図書館に着くまでの間、彼はしゃべり続けていた。


 図書館まであと少しというところで俺が足を止める。

「国王陛下……。どうされました?」

 図書館まであと少しというところで、俺の視線が中庭に釘付けになった

 ぼろぼろの真っ白なワンピースを着た女性が立っていた。

 とても綺麗なハニーブロンドの髪に、澄んだアクアマリンのようなブルーの瞳。

 それは俺が探していた彼女その人だった。

 彼女の方に駆け寄ろうとした時、案内してくれていた聖騎士が俺の手を掴む。


「あっぶない。国王陛下あと少しで穴に落ちるところでしたよ」

 そう言われて、足元を見ると大きな穴が開いていた。

「昨夜急にできた穴らしくて、結構大きいので少しずつ埋めることになってるんです」

「わ、悪い……助かったよ」

「それにしても、何もないところに向かって走っていくなんて……陛下しっかりしてください」

 呆れたようにカドモスにも言われて、顔を上げる。

 さっきまでそこにいた彼女は、跡形もなく消えていた。

最後までお読みいただきありがとうございます!

本作は「ネトコン14」エントリー作品です。

少しでも「気になる」と思っていただけたら、ページ下の評価やブクマ登録をしていただけると、執筆の励みになります!

明日も更新しますので、またお会いしましょう!

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