表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死ねない怪物の私は、もう祈らない~私の心はもう死にました。なのにどうしてあなたは私を探しているのですか?~  作者: 紫乃てふ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/31

私が繰り返す理由

【ネトコン14参加中です!】

いつもお読みいただきありがとうございます!

リアクション・ブックマークをいただき本当にありがとうございます。

いつもいつも本当に励みになっています。


 私が目を開けるとそこには綺麗な庭が広がっていた。

 季節の花々が一面に咲いていて、透き通った水の湖がある。

 もし天国があるのならばこういう場所なのかもしれないと周囲を見ながら思ってしまった。


「その考えは、あながち間違いではないわね」

 透き通った声に驚いてそちらを見る。

「あ……なたは」

「はじめまして! レウシア」

 目の前の女性は、透き通った肌にハニーブロンズの髪にスカイブルーの瞳。

 教会のステンドグラスで見た……。


「女神……ティア……様?」

「はじめまして。私の力を受け継いだ娘」

 私はティア様を見つめて固まってしまう。

 私を見つめるティア様は、とても悲しそうな、でも優しい表情をされていた。

 そんな私の頬を撫で、ティア様がぎゅっと抱きしめてくれる。


「あなたにはとてもとても辛い思いを……ごめんなさい」

「ティア……さま……うわぁぁぁん」

「本当にごめんなさい……ごめんなさいね」

 ティア様の優しい言葉に、抱きしめてくれる力強さに涙が出てくる。

 正直、ティア様を恨んだこともあった。

 なんで、私が生まれ変わりなんだろうと嘆いたこともあった。

 急に私の中に感情が戻ってきたように感じた。

 私が泣き止むまでティア様はずっと頭を撫でてくれた……。


 私が泣き止むとティア様は、私の手を引いて大きな樹の下に座らせる。

 そして、私の方を見てまた謝る。

「レウシア……本当にごめんなさい」

「あの……ティア様なぜそんなに私に謝られるのですか?」

「あなたにとてもつらい運命を負わせてしまったから……」

「聖女とはこういう運命なのではないですか?」


 それからティア様は、私に『聖女』とは本当はどういう意味なのかを教えてくださった。


 本来の『聖女』は、生まれ変わりという事ではなく、ティア様の聖力に適応する人間が、その聖力を授かる事らしい。

 ただ、聖力は『聖女』しか扱えないから特別扱いをされる。

 それでも、国を豊かにする程度で、ちゃんと人として一生を終えられるらしい。

 では、なぜ私は人では無くなってしまったのか……?


「あなたの魂は私の聖力と相性が良すぎたの」

「魂と聖力の相性?」

「レウシアは、ある日突然大きな柱を出すくらい一気に聖力を放出したわよね」

「はい。家が壊れてなくて驚いたのを覚えています」

「聖力は、産まれた時から『聖女』達は持っているの。でも、魂との相性が合って今までの『聖女』はあなたの半分も力を扱うことができなかったわ」

「そうなのですか?」

「えぇ……そして、そのせいであなたは狙われてしまったの」

「狙われた?」


 私がそう言うとティア様は、視線を彷徨わせて私の手を握った。


「これは、私が悪いの……」

「なぜティア様が悪いのですか?」 

「そうね。まず聞きたいのだけれど、あなたは教会で創世史は習った?」

「創世史ですか? ティア様とアウラス様の恋の物語ですよね?」

「……そう、そんなデマを聞かされていたのね」

「デマなのですか?」


 私が教会で習った創世史はこうだ。

 創世の女神ティア様は、溢れんばかりの聖力で、この世界を作られた。

 そして、この世界の生きとし生けるすべての生物に愛を注がれていた。

 その愛が聖力の源だった。

 そして、ティア様の傍には常にティア様の恋人のアウラム様がいらっしゃった。

 お二人は、それはそれは愛し合っていた。

 けれど、この世界が崩壊してしまうほどの災害が起きた。

 そして、世界を守るために聖力を使い果たしたティア様は亡くなり、アウラム様が一人でこの世界を守ることになった。

 しかし、一人ぼっちに耐えられなくなったアウラム様は、ティア様を探してどこかへ行ってしまう。

 そして、数百年に一度ティア様の生まれ変わりとして聖女が誕生する。

 聖女は、世界の秩序を守るために国王一人の為に祈って一生涯を終える。


 ざっくり話すとこんな話だった。

 私は、教会で習ったことをそのままティア様にお伝えする。

 そうすると、頭を抱えて何かをぶつぶつと呟かれるティア様。

 ちょっと怖くて、震えていると今度は立ち上がって叫ぶ。


「あのバカヤロー! 捏造も甚だしいわ!」

 絶世の美女というか女神でもこんなことを叫びたくなる瞬間があるんだ。

 私は、ティア様をポカーンとした表情で見てしまう。

「まず、聖女の祈りについて話すわね。聖女の祈り……それは祈った対象がその時望んでいる幸せを実現させることなの」

「その対象がその時望んでいる幸せ?」

「そうよ。だから、誰か一人の為に祈ることは、禁忌なの。強い祈りが一人に注がれることで、『こうあってほしくない』という事柄に対して、認知を歪めてしまう。前向きなときには幸運が続く。だけど、少しでも人生を諦めてしまうとその願いを叶えてしまう……」

「認知を歪める? 人生を諦めてしまうと……その願いを叶える」


 そうだ。

 どの繰り返しの時間でも陛下は、王妃エリス様を疑った瞬間はあった。

 でも、瞬きをする間にその疑問はないものにされていた。

 それは、アストン様の時も他の陛下を裏切ってきた人たちの時もそうだった。

 そして、陛下が亡くなるときはいつも……絶望的な状況の時だった。

 では、彼が亡くなったのは、私が彼の幸せを祈っていたから?

 私が、彼を不幸にしていたの?

 私の祈り(あい)は、本当に彼を殺していたのね。


「あはははは……あはははははっ。私が彼を不幸にしていた。私が、彼を殺していた。……ああ、そうだったのね」

 過去の自分があまりにも滑稽で笑いが出てくるのに、目からは涙が止まらなかった。

 過去の私は、子どもの頃から陛下が大好きだった。

 教皇猊下に将来彼の為に祈りを捧げるのだと言われて、嬉しかった。

 だって、大好きな彼の為に私にしかできないことがあるんだって……。

 なのに、それが彼を不幸にした。

そんなの過去の私が可哀想じゃない……。


「レウシア。あなたは、教会で嘘を教えられていたの。だから、自分を責めないで」

「なんで! なんで! ティア様はこのことを早く教えてくださらなかったのですか!」

 私は、ティア様に掴みかかる。

 だって、もしティア様が早く教えてくれていれば……。

 陛下はあんなにひどい目に何度も遭わなくて済んだのに……。

 私の身勝手な祈り(あい)さえなければ、陛下をひどい目に遭わせずに済んだのに……。


「ごめんなさい。レウシア。私が臆病だった。アウラムに見つかるのが怖くてあなたを助けられなかった。それに、聖女として聖力が正しく使われないとあの魔法陣で、あなたと繋がることができなかったの」

 本来なら女神さまに掴みかかるなんて神罰が下っても仕方ないのに……。

 ティア様は、優しく諭すように私を見つめるだけだった。

 そして、私の気が済むまで待ってくださっていた。

最後までお読みいただきありがとうございます!

本作は「ネトコン14」エントリー予定です。

少しでも「気になる」と思っていただけたら、ページ下の評価やブクマ登録をしていただけると、執筆の励みになります!

明日も更新しますので、またお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ