敵が分からない~国王陛下side~
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エピが王城へ帰ってきた翌日からカドモスと師匠が、急いで大臣の選出などを始めた。
俺の人事に文句があるのか聞いたら、
「今まで任せていたけど、陛下が居ない間の仕事ぶりから一新する必要がある」
と言われてしまった。
そしてそれと同じタイミングで、ユゲンについて調べることになった。
俺は最初アストンに任せようとしたが、師匠の知り合いの騎士に任せることになった。
「最後の捕り物だけアストンにしてもらう。それでいいだろう」
そう言われて、俺は納得していたが納得できないやつが一人……。
「ヘリオス! なんで騎士団長の俺が、不届き者の調査指揮をとらせてもらえないんだ!」
「アストン。君には王城に居て陛下や王都の民を守ってもらわないと困る」
カドモスがそう言ってもアストンは、全く引いてくれなかった。
「アストン、なんでお前はそんなに西の領地での調査にこだわるんだ?」
率直に俺が聞くと、アストンは悪びれもせずに答える。
「エリスが言っていたんだ。西の領主はヘリオスの母方の従兄なのだからそんなことをするわけがない。ヘリオスを陥れたい人間の仕業だと!」
王妃の事を呼び捨てで呼ぶその神経については、一旦目を瞑ることにした。
でも、聞き捨てならないのはなぜ王妃がこの件を知っているのかという事だ。
「エリスにこの件を話した覚えはない。お前は本当は誰から聞いたんだ?」
「エリスが昨日騎士団に差し入れのお菓子を持ってきてくれた時にこの話をしたんだ。そしたら、さっきみたいに言っていたんだよ」
この時に俺は、カドモスと師匠が俺に一切の人事をさせなかった理由の一端を感じたように思った。
なぜ、この馬鹿は……機密事項ともいえる調査について無関係の王妃に話してしまったのか……。
「アストン、調査の話は機密事項だ。なぜエリスに話した」
「えっ? だって、エリスは王妃なわけだし知らないことがあるのもよくないだろう」
「お前の頭には、脳みそがつまっているのか! 筋肉しか入っていないんだろうな」
カドモスがアストンの前まで行くと、頭一つ分高い位置にあるアストンの頭を叩く。
「いった! 叩くことないだろう」
「調査段階の事を王族であっても話していいわけないだろう! お前は本当に何も考えてないんだな」
「とりあえず、アストン。今回は王妃に秘密をお前がばらした件で、なおさらお前を調査に行かせるわけにはいかない。それに、この調査を命令したのは従弟の俺だ」
「ヘリオスが調査を依頼したのか! なんで? だって、親族なんだろう?」
「親族だからこそだな。俺は国民たちに辛い思いをさせたいわけじゃない」
さすがに俺が依頼したと聞いて、アストンは下がっていった。
このことを王妃に伝えるなと釘を刺したが……あいつのことだからな。
「三歩歩けば忘れるような奴だから、期待するだけ無駄だ。それに、もし王妃がこのことを知ってヘリオスに何かアクションを起こしたりするようなら、彼女が西の事に関わっている証拠になる」
「それもそうだな……」
そう言って、日々の業務に戻っていった。
しかし、次の日の朝から不思議なことが起こり始める。
一応結婚をしたのだからと俺と王妃は一緒に食事を摂るようにしている。
ただ、毎朝俺の顔を見ると、王妃はなぜか不思議そうな顔をするのだ。
そんな日々が数日続いたある日の事だった。
「最近は、寝起きに乾燥しているのか喉が渇いていることが多いんですけど陛下はそのようなことはありませんか?」
「そうだな。寝るときにベッドサイドに水差しがあることがこんなにありがたいと思ったことはないな」
いきなりなんだと思ったけど、確かに最近は季節外れの乾燥を感じていたから素直に答えることにした。
しかし、俺の答えを聞いた王妃の顔は青ざめていく。
結局気分がすぐれないからと早々に席を外していった。
さらにその翌日には、俺の顔を見るなり真っ青な顔をして倒れた。
侍女が言うには貧血らしいので、一日安静にしているように伝えておく。
執務の方も変化があった。
師匠やカドモスが選抜した人材は優秀で仕事が丁寧、そのおかげで仕事の進みが格段に速くなった。
今では、カドモスの部下以外にも俺の執務室で書類を整理してくれる文官が増えて助かっている。
また、各大臣たちが良くやってくれている。
ただ、気になるのは宰相の地位についているエリスの父親と財務に所属しているエリスの兄がそのままだった点だ。
カドモスは、以前から二人の事を何やら怪しんでいたからきっと別の役職に据えるものだと思っていた。
そして、王妃の謎の体調不良は彼女が懐妊したといううわさ話になっていた。
それと同じ時期に、西の領主の調査が終わった。
結果としては、真っ黒だった。
税の過少申告、領民たちの為に国から割り当てられた予算の私的流用。
その他にも行き過ぎた独自の法律を作り領民を苦しめていた。
司法の判決が出るまでユゲンを地下牢に収容することになった。
ある日、俺はユゲンの事を訪ねに行ってみた。
「ユゲン……なんでこんなことをしたんだ?」
「お前が失脚すれば、俺に王座だって巡ってきたかも知れない」
「そんなわけないだろう。お前の父親と俺の母親は確かに兄妹だ。だが、お前に王家の血は一滴も流れていないではないか」
「そうだよ……俺は産まれてくる場所を間違えたんだ! 本当ならお前が俺の地位で俺がお前の地位に居たはずなんだ!」
何を根拠にそんなことを言っているのか分からないが、ユゲンはずっとそう叫び続けていた。
「それで、誰にこんなことをするように入れ知恵を授けてもらったんだ?」
俺がそう聞くと、突然笑いだすユゲン。
一緒に来ていたカドモスが俺とユゲンの間に立つ。
「そうだな。これを聞いたらお前は、絶望に満ちた顔をするんだろうな。俺にこの作戦を教えてくれたのは……うぐっ」
ユゲンが相手の名前を叫ぼうとした瞬間だった。
急に首に手をやり自分の首を絞め始める。
本来であれば、防衛本能で途中で手が離れるはずなのに……結局その命が尽きる瞬間まで手が離れることは無かった。
「魔法なんてものは聖女しか使えない代物のはず……なぜこんなことが起きたんだ」
驚愕しているカドモスの後ろで俺は小さな少女の事を思い出していた。
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