表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

ドラゴン初めての映画鑑賞

次の日


俺とキュウビはそれぞれの用事のため街に来た。


キュウビ「それじゃ、私は騎士団詰所に行ってブルメリオ警部に狛狐を付けてくるから、ブラックは換金お願いね?」


ブラック「りょーかい。」


バス停で分かれて違う方向へ行く。昨日ダイヤモンドを大量に作った。そして、マノンから質屋の場所も教えてもらってあるから道には迷わないはず。


ブラック「結構、早く着いた。バス停の近くとはきいてたが……。」


縦に細長い店の中に入るとこじんまりとした個室のような作りでカウンターテーブルに品の良さそうな店員が座っていた。

彼は挨拶もそこそこに対面の席にかけるよう促すのだった。


質屋「今日は何をお売りになられますか?神官様。」


俺は持っていた、袋いっぱいのダイヤモンドを出した。


ブラック「これを。」


ドジャッ……!


質屋「え?!これ全部ですか?」『もう、この量はうちで取り扱う量じゃない!王国に持っていくレベルだ!』


ブラック「…………なら、1/3でいいぞ?他をあたる。」


質屋 ホッ『つか、心を読まれた?さすが神官様だ。くわばら、くわばら。』


ブラック『クワバラ?』


キュウビに人間の脳の解錠の仕方は教わったから、これからはどんな人間だろうと心の声を聞き取れる。


質屋「査定しますので少々お時間をください。」


ブラック「原石だからざっとでいいよ?」


ブラック『残りは宝石の卸にでも持っていくかなぁ。今度、どこにあるかとか、相場とか調べるか。キュウビ達に聞いてみよう。』


質屋「ありがとうございました!」


大金を手にした俺は店を出た。


ブラック『まだ、待ち合わせまで時間があるな。』


どうしようかと、あたりを見渡すと映画館が目にとまった。


ブラック「怪獣映画……俺の親戚が出てるのか?」


俺の足は自然と映画館に向かっていた。好奇心は止められない。


受付「何になさいますか?」


ブラック「あ、いっぱいあるのか。」


どれにする?


上映中  酔拳

10:45〜 座頭市

11:00〜 ゴジラ&ミニラ

09:45〜 小さな恋のメロディ◀


ぴっ

ブラック「もうすぐ始まるのはこれか……これを1枚。」


受付「お一人様、席は……すみませんもう後ろ側の右端しかなくて。」


ブラック「かまわないよ。」『怪獣映画って多分ゴジラ云々の事だろうな。あー、けど、待ち合わせに間に合わなくなるな、また今度だ』


受付「A-3シアターになります。一番奥の部屋です。」


ブラック「ありがとう。」




上映中


スクリーンで少年少女が結婚式を挙げている……


ブラック『俺のこれ、恋って言うのか……?』


神代の時代から生きてきたが、ずっと気が付かなかったな……

俺達ドラゴンには生殖の概念がなかったし。男の姿もアルトとの旅で作ったもんだしな。


世界樹が切り倒されて、世界が人中心に回り出して、俺も少しづつ変容していってたのか……


ブラック『キュウビがアルトとの冒険についてこなかったのって、何か理由があったのかな?』


今思えば、アルトは色んな街に仲のいい女性がいたなぁ。ギシギシア○アンする。最後は、年若くして死んじまいやがったけど。


ふわ~


あれ?なんか眠い。部屋が暗いからだな……


グゥ……





ブラック「あれ?どこだここ?」


ムクリ


変な工場の中?のような倉庫のようなトタンでできた壁にむき出しの鉄の骨組みをした建物の中で俺は横たわっていた。


夢魔「はぁ!?気が付きやがったぞ!」


サキュバス「何してんだい!さっさと片付けるんだよ!」


傍らには小鬼と不細工なおばさんが花魁衣装を着ていた。


夢魔「死にさらせー!」


刀を持って小鬼が飛びかかってくる。それを華麗に避けてカウンターを顔面めがけて食らわす。


ゴッ!


夢魔「アベシッ!」


キラーン


小鬼はトタンを突き破ってどこかへ飛んでいった。


ブラック「ドラゴン、パンチ!」


サキュバス「う!ただの神じゃないって聞いてたけど夢ン中でここまで自由に動けるなんてっ!何者なんだい!」


ブラック「え?ドラゴン。」


サキュバス「うえ?!なんでドラゴンがあんな小娘に肩入れしてんのさ!」


サキュバスの手から勢いよくエネルギー波が繰り出されたが、


バチーン!


俺はそれを片手で弾いた。エネルギー波は天井に突き破って、どこかへ消えた。


サキュバス「アタイらの親分のやることにケチつけるんじゃないさね!ドラゴンは引きこもっとけ!現し世のことに首を突っ込むのはおよしよ!」


エネルギー波が何発も繰り出されるが、


ベシシシシシシ!


それをことごとく弾き返した。


ブラック「やだよ。お前らのやることは気に入らない。」


サキュバス「くっそー!かびくせードラゴンがよー!」


ブラック「(プチッ)ヌクレイア!」


ファイアブレス、プラズマキャノンを超える火属性最上位互魔法。


その威力は1都市を軽く吹き飛ばす。


夢の中で使ったらどうなるのか?実験も兼ねて使ってみた。


どごおおおぉぉぉぉ……!


辺りが閃光で包まれる。




パチリ


現実世界に戻る。


あれ?


気がつくと俺の席だけを残して映画館が吹き飛んでいた。あたりは瓦礫で覆われている。

幸い、壊れたのは映画館だけで済んだようだ。


ブラック「やっば!」


何事かと騎兵達が集まってくる。

俺は急いでその場を離れた。その中で顔が真っ青のキュウビと合流する。


キュウビ「ブラック!アナタ何したの?!」


ブラック「いや~、夢の中でヌクレイアを少々。」


キュウビ「バカー!」


すみません……


俺達は逃げるように街をあとにした。いや、実際逃げてた。




マノンの家


ビャッコ「当分、街にはいけないなぁ。」


テーブル席のビャッコとキュウビは村の奴らが納めたワイン樽から酒を飲んでいる。

俺は床に正座させられていた……。


マノンはガルムと一緒に先に寝てしまった。ガルムは遠慮して床(絨毯は敷いてはある)に寝ている。


ブラック「反省してます……すみませんでした。」


キュウビ「夢攻撃食らったから仕方がなくなんだろうけど、気をつけなさいよね。」


けどまぁ


ブラック「俺の夢に出てきたのはサキュバスと夢魔だった。ソイツらは、親分のやることにケチつけるな。とか言ってた。」


ビャッコ「リーダーがいるってことだな。」


キュウビ「夢魔やサキュバスを従えられる奴がこの事件の犯人ってわけね?」


ビャッコ「しかもグループによる組織的犯罪、のようだ。」


キュウビ「根が深そうだわ。」


ワインをグビッと飲む、赤くなったキュウビにドキドキする。


ビャッコ「俺はちょっと王立の図書館に行ってくる。」


なして?


ビャッコ「この地域の歴史をな。」


グビーっとビャッコは茶碗のワインを飲み干して、床に向かった。


キュウビ「私は領主の屋敷に狛狐をつけに行ってくるわ?」


キュウビもテーブル席から立ち上がる。


ブラック「俺は?」


ビャッコ&キュウビ「お留守番。」


……はぁい。




次の日


キュウビとビャッコはバスで村の外へと出かけていった。


ブラック「ガルムは何時、槍の練習してるん?」


キュウビからもらったであろう顔の記憶を曖昧にさせるペンダントが光る。


ガルム「毎朝、皆さんがまだ寝てる時間、早朝にやってます!」


マノン「ガルムー、お外じゃないから顔のやつ取りなよ~。私もガルム顔がわからなくなるんだから。」


ガルム「あぁ、すみませんお嬢様!」


マノンはお嬢様か。


黒髪も今は金髪だし、メガネもピンクの天然石、魔封のネックレスもして、金銭的にも余裕だ。


確かに最初会った時の状況から考えたら見違えるほど環境が変わっただろう。


ブラック「もうちょっと伸ばして髪型をドリルにしたらいい。」


マノン「…………」


しかし、彼女はまだ足りないものがあって、それを追い求めている。ここにいる皆がそれを知っている。


マノン『お父さん。早く、帰ってきて。』


心の声が漏れている。俺達、神だけでなく古い作りの狼型亜人のリカントにも伝わっているだろう。


ガルム「……そうだ!お昼の分の買い物に行きましょう!ブラック様も一緒に!」


ブラック「よーし!この前、手に入れた紙幣の出番だ!」


マノン「フフ!そんなにいらないよー!」




村の市場


広場の中央掲示板に昨日の事が書かれている。


ー号外ー

昨日、起きた映画館爆発事件は、行方不明者1名だけで、後の観客は大小ケガを負ったものの、今のところ命に別条はない。不幸中の幸いである。

当局は行方不明になったものが今回の爆破テロ容疑者とみて捜査を進めている。


ブラック『と、とりあえず、人は殺してないようだ。』(滝汗)


マノン「なんて書いてあるの?パパぁ!」


ブラック『え?あ、まだ読めない字があるのかな?』「映画館爆発テロ発生するも、幸い、死亡者なしだってさ。」


マノン&ガルム「へぇ~。」


マノン「じゃぁ、そっちのやつは?」


ブラック「ん?……罪を認めたジャックス氏の処刑日のお知らせ!?」


マノン「え!?」


ブラック「うう!今日から3日後に街の中央広場だって!?」


マノンは気を失って倒れそうになるのをガルムが抱き支えた。


ガルム「少し、休ませましょう!」


俺達は市場の片隅のベンチでマノンを介抱してやった。


やはり、俺がやるしかない。

これは願ってもない好機だ。


俺は人食いドラゴンとして認知されてる。それを逆手に取る。


処刑日当日、広場からオヤジさんを連れ去る。父親ジャックスは俺に食われたと思われる。


そして、マノンみたいに髪の色を変えて、第二の人生を送ってもらえばいい。どこか遠くで二人で。


そして俺も騎士団詰所を襲撃しないから、討伐対象にはならない。


マノン「うぅ、ブラック。」


ブラック「大丈夫。俺がなんとかしてやるから。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ