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生贄の少女 マノン

雨が降り続いている……


ブラック「増水してんだろうな……」


また、水害を人間共が俺のせいにしやがるんだと思うと、うんざりする。


ブラック「俺じゃねぇってのに聞きやしねぇ。」


そして、上の穴から生贄の子を落としやがるんだ。人間なんて食わねー。他の里に連れてく身にもなれ。


ブラック「最近じゃ、国が違うとか言いやがるし。」


俺に人間の道理を説明するな。興味ね〜んだから。命があるだけありがたく思え。


ぽふっ


ブラック「そうそう、こんな感じによー。」


ん?


裸の幼女「……」


うわ、噂をすればだ……


ブラック「おい、ちっこいの、俺はベッドじゃねぇぞ?どきやがれ。」


シーン


?気絶してんのか?


ブラック「この前のやつは服がねぇって騒いでたな。」


めんどくせー。


俺はそっとその子を舌に乗せて、口に咥える。


ブラック『のみこまないようにしないとな!』


ぺっ


ベチョ


裸の幼女「うーん。」


そこで大人しくしとけよ~


のっし、のっし……


俺は久しぶりに外に出た。雨は上がってフライト日和だ。夜露が月や星の光で煌めいている。少し、雲はあるがそれも風情があっていい。


ブラック「きれいなもんだ。」


バッサバッサ……!


俺は近くの村まで来た。


ミニョーン


いつものドラゴンの体から人間モードに姿を変える。

昔使ってた人の姿、やや長い黒髪に神官服に。


“ドラゴンアイ!”


家を透視する。


ブラック「あー、ここはダメだ、ギシギシア○アン中だ。」


次は?

ここは空き家だ。


解錠クルクルクリューチ


カチッ


ブラック『久しぶりの民家だなぁ。見ない間にだいぶ家の中にあるもんが変わってる。』


人間の文明サイクルは目まぐるしい。せわしなく感じる。


ブラック『スプーンとかは今は鉄製なのか……』


あーっと、そうだ。服、服。


寝室に入り子供服を物色する。ちょうどいいサイズであろう赤のワンピースを見つける。


ブラック『ここには年頃の女物がねーな?父子家庭か?まぁいいか。』


人では来れない断崖絶壁の出入り口、発着場に降り立つ。


ミニョーン


のっし、のっし……


ブラック&裸の幼女「あ。」


俺を見て裸の幼女は震えだした、が口の中に今さっきの服とかが入っているので、うまくしゃべれない。


べっ


ブラック「ほれ、着ろ。」


裸の幼女「……ベチョベチョだよ。」


乾かさないとダメか?めんどくせー。


ベチョベチョの服を爪で押さえながら魔法の熱風を吹き付ける。

その様子を幼女は黙ってみていた。緊張はさっきより、だいぶほぐれてきたか?


ブラック「……よし、こんなもんだろ。」


裸の幼女「ありがとう!龍神様!」


ブラック「ここに落ちてくるやつはみんな俺のことを、そう言うな?

ま、神様だけどな!言っとくが、水害とはかんけーねーぞ?あんなもん俺のせいにするな。迷惑だぞ。」


一応聞いてみる。


ブラック「ちっこいのは元の村には戻りたいか?」


幼女「いやだよ。生贄にされたんだもん。」


だよなー。


ブラック「なら、他のとこに連れて行ってやる。」


しかし、幼女はそれにもためらっていた。


ブラック「なんだよ、ここには住まわしてやんねーぞ?」


幼女「連れて行かれたお父さんを助けてあげなくちゃ。」


何だそれ?


ブラック「とりあえず、今日は寝ろ。話はまた明日だ。」


幼女「うん。」


イソイソ


ベッドにすんな。ったく。


何百年ぶりに人を乗せるなぁ……。ムフー!

羽を掛け布団につかう。全く世話の焼ける。


その日は昔の夢を見た。あまりいい夢ではないが。





ぐぅぅぅ


ブラック『こんなちっこいのが自分でエサなんて取ってこれねーよな。』「待ってろ、エサを取ってきてやる。」


下の森にいるスズメバチは肉だんごにしてたよな……あんなでいいのか?

あ、火通さないとダメかな?


俺はいろいろ考えて森の中のイノシシを取った。


ブラック「ふー、すばしっこかったな。おかげでいい運動になったぜ。」


子供でも食べれるようにワタは取るか……。苦いだろうしな。


ボキボキ

グッチャグッチャ


イノシシを丸ごと口に放り込んで、咀嚼して肉だんごにする。


ガサ


ブラック「ん?」


何だ、狩人か。


ブラック「これは俺んだ!やらねーぞ?」


狩人「ひ、ひぃぃ!とんずらー!」


人の顔見て逃げるな、失礼なやつ。あ、俺、人じゃねーわ。


口の周りがイノシシの血でベタベタする。


アングッ


肉だんごにしたイノシシを巣まで持って帰る。


のっし、のっし……


べっ


グチャ……


幼女「うわー。なにこれ。」


ブラック「肉だんご。」


魔法のファイヤブレスでこんがり肉にする。


幼女「なんか臭い……」


ブラック「上手に焼けてるはずだ、食えねーのか?」


幼女「んー、調味料が欲しい!」


んなもんない。


ブラック「俺は神様だからものは食べない。だから調味料なんて持ってないぞ。」


幼女「わたしのおうちにあった、それを取ってこよう。」


ペタペタ……


ブラック「わー、待て待て!一人じゃいけないぞ!」




幼女が指定したのは昨日入った家だ。


幼女「みんな、私が見えないの?」


ブラック「俺たちの視覚情報は差し替えてる。見知らぬ親子連れくらいにしか思ってないだろうよ。」


村民「おや?知らない子だねぇ。あんたら、ここに用かね?」


知らねーのはこっちも一緒だ。BBA。


ブラック「ここに越してきたんです。」


幼女「よ、よろしく。」


色々聞かれる前に家の中に入る。


ブラック「ったく、お節介BBAはいつの時代も居やがる。」


幼女「これこれ。」


慣れた手つきでどこからか編み編みのバックを取ってきて調味料を詰める。


ブラック「んー。もう、ここに住んだら?」


幼女「いいの?!ここ、私のおうちなの!」


ブラック「コッチは人の身体でもドラゴンでいても変わらねーのよ。」


しばらく、人世にいるのも悪くはないだろうし。


ブラック「とりあえず、巣にちょっと、戻るから。」


幼女「うん!いってらっしゃーい。」


幼女はキッチンの戸棚から大きなパンを取り出し、食べる分だけ切り分けている。


ブラック『しっかりした子だなぁ。一人暮らしが長いのか?』




のっし、のっし……


ブラック「えーと、声筆ボイスライト。“少しの間(?)、下の人里で暮らします。ーブラックー”これでよし、キュウビのヤツが来ても大丈夫だろう。」


少しの間、下の人里で暮らします

           ブラック


言った通りの文字が洞窟の壁にデッカく刻まれる。


あ、来るときは人の姿でお願いします、と。

加筆しておこう。念の為に。




巣の下にある村に戻る。


ブラック「ただいま~。」


幼女「あ、龍神様!おかえりー!」


ムー?


ブラック「おい、ちっこいの。俺にはブラックていう名前があるぞ?そっちで呼べ。」


幼女「そうなの?じゃあ、ブラック。よろしくね!」


ーブラック、早く来いよ!ー


俺は首を振った。奴はもういない。


あー、昔はこっちを神様扱いしてた奴らばっかりで、堅っ苦しい言葉遣いしか聞かなかったけど、こういう対等なのも悪くはないな。


ブラック「ちっこいのはなんて言うんだ?名前。」


マノン「私はマノン!」




昼メシの前にどうしてマノンの父親が連れて行かれたのかを聞く。


ブラック「ふーん、殺人の濡れ衣かぁ。」


それじゃ、とっとと物理的に助け出しに行こうとしたが、マノンにそれはだめだと言われる。


マノン「真犯人を捕まえなきゃ。ココの村や他のところでもいっぱい、いなくなった人が出てるの。」


何やら、めんどくさいことに巻き込まれる予感。まあ、暇つぶしに解決してやるかな。


ーやってくれるのか!やった!ー


ブラック「しゃーねから、犯人探しにつきあってやるよ。」


マノン「協力してくれるの!?やった!」


飛び跳ねるマノンを落ち着かせる。奴と同じ喜び方しやがるな?遠い親戚か?




とりあえず、長居しそうなので。視覚情報云々をやめて、マノンの髪の色だけ変えることにする。


ブラック「黒髪を変えるのか……何色がいい?」


マノン「私、金髪がいい!憧れてたの!」


ブラック「金髪か。それじゃ、ちちんぷいぷい!」


俺の手から魔法の粉が出てマノンにそれを振りかけるとマノンのボブカットの黒髪が金髪になる。


ブラック「これにメガネでもかければバレないだろ。」


マノン「メガネか、それならお母さんのがある。」


マノンが寝室からリビングに戻ってくると手には古めかしいメガネを持っていた。

まぁ、父子家庭にはそれなりの理由があるのだろう。詮索しないでおこう。


スチャ


ブラック「なんか一気に雰囲気変わったな。」


マノン「私、綺麗?」


調子に乗ってんなー。何歳だ?10にもなってなさそうなんだが……?


ブラック「マノンは可愛い系だな。綺麗は成人してから使うもんだ。」




こうして、ドラゴン幼女マノンの物語が始まった。



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