第6話 廃倉庫での戦い
第6話です!
「アンタ何やってんの!?」
音夢がサイコに怒鳴った。
「今悪魔を殺していたところだ。邪魔をするんじゃない!」
サイコは平然とした態度で答えた。
「大人しくしてって言ったよね?なんで暴れてるの!?」
「別に暴れてないぞ」
「じゃあなんでこんなことになってんのよ!」
サイコは周囲を見回し、玄関が荒れていることに気づいた。
「ああ、これはコイツがやった!」
サイコは倒れている女の方を指さした。しかし、そこに女の姿はなかった。
「フッ、今日はこのくらいで見逃してやるとしようかの」
女は立ち上がり、サイコに捨てゼリフを吐くと走り去っていった。
「逃さねぇよ!行くぞ!」
サイコは音夢を引きずって、走り出す。
「なんで私が連れて行かれなきゃいけないのよ!」
「おそらく奴には仲間がいる。あの程度の強さで単独で私に挑むはずがない。だから、仲間と合流したところを一網打尽にしてやる!」
「ひとりで行きなさいよ!」
「敵は何人いるか分からん。一匹も逃さないように手伝ってもらう」
「なんでよ!」
「このまま逃がしたら、また家を爆破されるかもしれないぞ」
「………………えぇ!?」
音夢は渋々サイコに協力することにした。
しばらく走ると、住宅街から少し離れた工場団地の廃倉庫に女が入っていくのが見えた。サイコは廃倉庫の入口の前で立ち止まり、音夢を放した。
「私は今からこの中に突撃する。万が一敵が逃げて来たら、コレを使って殺してくれ」
サイコは音夢に拳銃を渡した。
「私銃なんて持ったこともないよ!」
「万が一の場合だ。わたしがそう簡単に敵を逃がすわけ無いだろう。それに、この銃は6発撃つことができる。少し外すくらい問題ない!」
そう言うと、サイコは手榴弾を廃倉庫内に投げ込んだ。
カチッ……ドーン!
爆発音が鳴り響いてから、サイコは廃倉庫に入っていった。
廃倉庫の中には、逃げた女を含めて、4人の悪魔がいた。
「タマモ、よくやった。後はここまでおびき寄せられてきたサイコエルを殺すだけだな」
和服を着ている男がそう言うと、長い髪を束ねたスーツの男、シュテンと無精ヒゲを生やしたサングラスの男、オオタケがサイコに襲いかかる。
『アイスフィスト』
オオタケが冷気を纏った拳で攻撃した。サイコはこれを躱し、男を蹴りとばした。
『逆月』
シュテンの刃が背後からサイコに迫る。
「刀か?私もだ!」
キィン!
刀同士がぶつかり合い、火花が散った。シュテンはサイコの力に押されて飛び退く。
(すさまじいパワー!……だが、獲物のリーチならこっちに分がある)
シュテンは再び攻撃をしかけようと走り出す。サイコは敵が間合いに入るより先に強く刀を振った。
『疾風スラッシュ』
サイコの刃は届かなかった。シュテンはこの隙を逃すまいと素早く、力強く、サイコに斬りかかった。しかし、シュテンが強く握っていたはずの刀は宙を舞い、地面に突き刺さる。
(何だ!?何が起きた!?いや、早く刀を拾わなければ……!)
シュテンは急いで刀へと手を伸ばす。その時、シュテンは自身の右手が刀を握っていることに気がついた。刀を握った右手ごと斬り飛ばされていたのである。
(……は?)
動揺によって、シュテンの動きが止まった。
強者同士の戦いでは一瞬の隙が命取りになる。
瞬く間もなく眼の前に現れたサイコが、刀を振り下ろす。
『空亡』
刀がシュテンを斬る直前、凄まじい風圧によって、サイコが吹き飛ばされた。その風圧は和服の男、サンモトの拳から放たれたものだった。
「流石は大天使サイコエル。上級悪魔二人がかりでも敵わないか。ワシが直接相手をするとしよう」
「お前、魔王だな?面白くなってきた!」
かくして、大天使と魔王の戦いの火蓋が切られた。
『疾風スラッシュ』!!!