プロローグ
ーーー天界
天使の中でも最上位の存在である10人の大天使が集まり、会議が行われていた。
「サイコエル、お前を天界から追放する」
金髪碧眼の青年がそう宣言した。
「あぁ?なんで私を追い出すんだよ!?」
追放を言い渡された黒髪の少女が反論する。それに続き、全身が包帯に覆われた男が立ち上がり、意見する。
「天使長!私は師匠……サイコエルを追放することに反対です!」
金髪の青年は少し困ったような表情を浮かべながらも答えた。
「まさか君がサイコエルの味方をするとはな……。それでも、今回の件は見逃すわけにはいかない」
「……そうですか。……師匠、お力になれず申し訳ないです」
包帯の男は悔しそうに黒髪の少女に謝り、席に着いた。しかし、サイコエル追放反対派はもう一人いた。
「なんでサイコちゃんを追放するの?おかしいよね?おかしいよねぇ!?」
桜色の長髪の少女はそう言い放った。それに対して、金髪の青年の横にいた丸メガネをかけた女性はやれやれと言わんばかりに言い返す。
「サイコエルはに危険人物ですよ。そんな奴、このまま放っておける訳ないでしょ!」
「今、サイコちゃんのことそんな奴って言った?」
長髪の少女が丸メガネの女性に殴りかかり、乱闘が始まった。
「会議中よ!大人しく席に着きなさい!あんまり勝手なことしたら、アンタも追放になるわよ!」
「サイコちゃんと一緒なら追放されたって構わない!」
全員会議中の乱闘には慣れているようで、誰一人焦る様子などはなかった。
「うぇーい!らんとーだー!」
「おいおい、また喧嘩かよ」
「混ぜて欲しいな」
「………………」
「早く終わってくれないとアニメ見れないんだけど」
それぞれが傍観する中、乱闘が続き、遂に金髪の青年が口を開いた。
「今は会議中だ。無駄な争いはするな。」
戦っていた2人の動きがピタリと止まる。
「サイコエルの追放を取り消すことはできないが、反対する者がいるのも事実。それなら、追放後、条件を満たすことができれば天界に戻ることを許すというのはどうだ?」
金髪の青年の提案に対して、包帯の男が疑問を投げかけた。
「その条件とは?」
「魔王を倒すことだ」
「そんな簡単なことでいいのか?それならすぐに戻れそうだな!」
サイコはすぐさまその条件を承諾した。
「サイコエルの条件付き追放に異議のあるものはいるか?…………………………いないようだな。それでは、サイコエルを追放する!」
「サイコちゃん……本当に大丈夫なの?」
「師匠……」
「心配しなくていいさ。すぐに戻るからな!」
そう言い残すと、サイコエルは天界から去って行った。
よろしくお願いします!