どーも、仮説及び討伐です
前回のあらすじ
主人公 直感が冴えわたる
どーも、逃げ回っているオッサンです。
前方には帝国軍、後方にはドラゴンゾンビ、その中間の空白地帯に俺とユリさん。帝国軍がどうなろうと一向に構わないが、ドラゴンゾンビだけは相手にしたらダメだ。ミノスよりレベルは低いが、俺ではまだ倒すのは不可能。
ガァアァアア
ああ、なんて残酷なんだ。
この世界に来てから何回死にかけるんだ?
俺は、普通に生活したいだけなんだ。
なのにこの仕打ちはなんだ?
ガァアァアア
冥砂屍鬼竜によるブレス攻撃。帝国軍はブレスによって数千人が腐って朽ちていく。
ああ、哀れな帝国軍よ。
ざまぁみろ!!
帝国軍が損害受けているのを見ると、胸がスカッとする。元々の原因は帝国なんだろ?断片的にしか情報がないから確実な事は言えないけど。
「ユリさん、帝国軍は完全にドラゴンゾンビに向かって特攻しているからこのまま走って逃げ切ろう!」
「はい!ブレス攻撃を回避しながらですね!」
冥砂屍鬼竜のブレス攻撃は厄介。近づく事も難しいし...アイツ周囲のアンデットからエネルギーをチャージしていたのか?だから動かなかった。そもそもアンデットのエネルギーってなんだ?死んでいるものが動く動力って...まさか...
「ユリさん、アンデットって死んでいるよな?どうやって動いているか知っている?」
「私は、鎮魂されていない魂のエネルギーと教わりました」
「それってMPの事じゃないか?アンデットに体力は存在しない。でも動くことが出来る。一般教養では、鎮魂されていない魂って言っているけど、この世界に魂の存在を知るやつなんていないと思う。魂なんて不可視な存在だしね」
「言われてみればそうですね…魂の存在意義なんて誰も証明出来ませんし。ケンさんの言う通りMP=魔力という説が合っているように思います」
生者には必ず魔力を宿すのであれば仮説が立てられる。冥砂屍鬼竜のエネルギー源は、MP=魔力。この仮説が正しければ、ブレス攻撃を何度もしてもらいMP切れを起こしてもらうのが得策かもしれない。
ユリさんも俺の話で同じ結論に達したのか、
「つまり、ケンさんの考えでは冥砂屍鬼竜には活動限界が存在すると?」
「活動限界、それはMPが切れた時だと思われる。アイツが召喚された時は冥砂竜だった。この場合は進化する過程で大量のMPが必要だったのであれば元々保有していたMPと死霊使い《ネクロマンサー》のMPを消費して冥砂屍鬼竜に至った。しかし、進化はしたもののMPがなかったため動くことが出来ず、周囲のアンデットのMPを吸収した...」
「それが正しければ、冥砂屍鬼竜のMPを消費させ、MP...アンデットからMPを補充させなければいずれ止まると言うわけですね」
「あくまでも仮説だけどね。幸い、冥砂屍鬼竜によるアンデット化は出来ていない。死霊使い《ネクロマンサー》の能力を全て受け継いだ訳ではなかったと考えると、このまま帝国軍には絶えず特攻してもらいMPを切らしてほしいな」
「冥砂屍鬼竜を倒されてしまうと、倒した者に経験値が蓄積され強者が生まれる...帝王はこのことを知っていて魔人族と手を組んだのでしょうか?」
「その可能性が最も高いね。なんせ動かなくなったドラゴンを倒すだけでレベルアップするのだから」
「ケンさん、その経験値おいしいですね」
「そうだね、ユリさん」
顔を見合わせて頷き、俺たちは帝国側ではなく冥砂屍鬼竜の方向へ走り出す。
経験値が楽に手に入るなら、これに勝るものはない。この世界のレベルアップはモンスターを倒すことによって上がると思われる。攻撃を当てた者にも適応される。同じモンスターをユリさんと倒した事が何度かあるが、その時はレベルアップの数値は一緒だった。まるでゲームのシステムみたいな感じだな。モンスターだけでなく人間を殺すことによってレベルアップをするなら、魔人族が昔から他種族を殺して力を得ていたことになる。ただ、レベルアップだけでは体力やMPの上昇のみ。スキルは、戦闘や訓練によって習得するものだと検証済み。
ガァアァアア
冥砂屍鬼竜がいると思われる方からブレスが飛んでくるが、俺たちは範囲外にいるためダメージを負わない。帝国軍を見る限り、まだ冥砂屍鬼竜まで辿りついていないみたいだ。帝国軍とドラゴンゾンビの中間地点にいたことにより、俺たちは冥砂屍鬼竜に帝国軍より早く着きそう。
「ユリさん、回り込んで弓による攻撃をお願い!もちろん魔力付与をした矢で。俺は、ブレス攻撃が止んだ瞬間、もしくはブレス攻撃する前の溜めの瞬間にコッケンで攻撃をする」
「分かりました。ドラゴンということもあって的が大きいですから確実に当てるのに造作もないです!」
ユリさんも同じく魔力付与をしている間、無防備にはなるが今回は問題ないだろう。スマホで確認した帝国軍の平均レベルは25〜30程度。強くてもレベル35辺りだ。
「見えた!まだ、帝国軍は辿り着いていないみたいだし、冥砂屍鬼竜は俺たちに気づいていない!ユリさん!このチャンスをモノにするよ!」
「はい!私たちがこのドラゴンを倒して強くなりましょう!!」
「仮説がダメだった場合は、すぐに撤退するから。それじゃ、俺は隠密スキルで近づいてコッケンをぶち込んでくるよ」
「ケンさんに当てないようにしますが、どの辺りに矢を放てばいいですか?」
「胴に一発キツいのよろしく。俺は顎を狙ってみるよ」
「分かりました。ケンさん、いってらっしゃいです!」
おう、さっさと冥砂屍鬼竜に一撃お見舞いしてトンズラするぜ!
俺は隠密スキルを発動させ、更に身体能力向上・魔法強化でドラゴンゾンビのブレス後の顎辺りまで、現状の最高速度で到達する。
「魔力解放!!魔力一点集中!!ハァァァアッ」
ドォオンッ
ユリさんの矢が胴に突き刺さり、冥砂屍鬼竜が仰反り、矢が飛んできた方へ顔を向ける。
「喰らいなっ!!魔力暴走!!」
ドス黒い魔力が剣に集約され、その剣が顎下から貫通し顔からドス黒い魔力が放出している。
ガァアァアアヴァァァアア
「ラァッ!!」
突き刺さった剣を斬り裂くように顎から引き抜く。
ドォオンッ
ユリさんが冥砂屍鬼竜の額に矢を放ち深く突き刺さる。
帝国軍にかなりブレス攻撃をしていた為なのか、最後、動きが鈍かったように感じる。ユリさんの矢がトドメだったようだな。冥砂屍鬼竜が朽ちていく。俺は、スキルの効果が切れていないのを確認した後その場を後にする。
「ユリさん!撤退だ!姫さまたちの方角に向かって全力ダッシュ!!」
レベルの確認は後回しで俺たちは全力で逃げる。
次回 警告




