学園生活初日
オリビア学園。
オリビア王国の中の学園。
ここに入学しただけでも大きなアドバンテージを得ることができる世界最大の学園。
そこに雰囲気の合わないような気怠げな少年がいた。
金髪で白いメッシュの入った髪。
白いアホ毛がピョコピョコと。
腰には二振りの無骨な剣。
低い背でクラス表を見ようとピョコピョコとジャンプしていた。
「見えないの?名前は?」
「え、あ、カティアズ。カティアズ・シュライデン。」
「わかったわ。私はライラ。ライラーラ・ハワート。炎帝ラウラ姉さまの妹よ。」
「おお!」
「えっと…あった。あら、私と同じS組ね。一緒に行きましょ?カティアズ君。」
「あ、ありがと。カティでいいよ。」
「ライラって呼んで。」
「わかった!ライラ。」
「じゃあ行きましょう。」
炎帝ラウラ。
ラウラ・ハワート。
一年前邪神ウロボロスを倒した『神殺し』パーティーの炎の魔剣の剣士。
炎の魔剣、レーヴァテインの持ち主。
まぁそのレーヴァテインの本来の持ち主は違うんだが。
教室に入るとドッと噂話が聞こえた。
「見ろ、彼女が炎帝の妹、ライラーラ様だ。」
「う、美しい!」
「誰だあの隣のアホ面。」
「アホ面wつーかあんな弱そうなガキがS組?なんかの間違いじゃね?」
「何でライラーラ様と一緒にいるんだよ。」
「何あのボロ剣。あんなボロいので入学したの?どんな馬鹿力だよw。」
「裏口入学とかじゃねーの?」
「髪の毛ボッサボサw何あのアホ毛w。」
「よくあんなやる気のなさでここに入れるよね。」
とまぁ陰口のオンパレードだ。
まぁ俺には小さな声でも聞こえちゃってるんだよな。
「人の陰口だなんて…ここは本当にS組なの?」
ライラの一声で静まる教室。
「ライラ?」
「ほら、席は隣ね。行きましょ?」
「うん。」
何で俺に気にしてくれるんだろう?
数人が来て全員が揃ったな…と思うとバン!と扉が勢いよく空いたと思うと…
「「「「こ、国王様!?」」」」
「ハッハッハ!今日から我がこの学園の学園長であり!一年S組の担任だ!!よろしく頼むぞみんな!」
国王、アーサー・オリビア。
クラスの皆が驚いて言ったようにこのオリビア王国の国王。
『神殺し』パーティーの聖剣使い。
聖剣エクスカリバーの持ち主。
まぁエクスカリバーも本来の持ち主は違うんだが。
「さて!じゃあグラウンド1に集合!みんなの強さを見せてもらうぞ!」
なんて豪快。
ライラに引っ張られるように俺は連れて行かれた。
グラウンド1。
オリビア学園の最大のグラウンド。
そこには鎧を身に着けたアーサー国王が。
「あ、今日から我のことはアーサー先生と呼ぶように!」
言うわけ無いと思う。
「一対一の模擬訓練!もちろん相手はこの我!我こそは!という生徒たちよ!かかってくるがよい!」
仕事はどうしたんですかと聞きたい。
多くの生徒が突っ込んでいって吹き飛ばされてを繰り返してあと戦っていないのは俺とライラだけになった。
「お先にどーぞ。」
「ええ。ありがとう。」
ライラは腰にあった赤い剣フランベルジュか、それを構える。
「おお、フランベルジュか!良い剣だ!さぁ来い!」
「ライラーラ・ハワート。行きます!」
「お。」
いい線行ってる。
皆は吹き飛ばされていたがライラは受け流している。
まぁギリギリ受け流せている程度だが。
まあ暫く保って吹き飛ばされていたが。
「さーて、最後はカティアズだな!来い来い来い!」
気合い入れすぎ。
「はぁ…。」
腰の剣の片方を握る。
流石に負けとくか。
軽く突撃して数回打ち合ってわざと吹き飛ばされた。
その瞬間アーサーはつまらなそうな顔をしていたがヤメロ。
…アーサー国王と知り合いか?って聞かれたら知り合いになりたくなかったと答えたいな。
「よし!今日はこれまで!明日は魔法がどのくらい出来るか見せてもらうぞー!教室に戻って仲良くなってくれよ!」
といってアーサーはサッサと帰っていった。
やっぱ仕事は多いんだろうな。
それぞれ教室に戻って行く。
教室に戻るといつの間に置いていったのか配布物がドドン!と机に乗っていた。
それも一番上に俺たちの名前が書いており一言メッセージがあるようだ。
で、俺のメッセージには…
『カティ!これ見たら学園長室へカモン!友達百人作れよ!ヨ・ロ・シ・ク!』
俺はこれを見た瞬間ビリビリに破いた。
「カティ?だ、大丈夫?」
「大丈夫。ね、学園長室ってどこかな?」
「確か職員棟の一番奥だったはずだよ?送ろうか?」
「よろしく!」
ライラと共に行くことになった。
「こ、ここか…?」
「扉が大きいわね…。」
なんか隣にも大きな扉があるが無視しておこう。
「ライラありがとう!じゃ行ってくるよ。」
「ええ。今日はありがとうね。また明日。」
「おう!」
コンコンと扉を一応叩いて入る。
「失礼しまぁす。」
「気怠げだな!ハッハッハ!」
「うるさいアーサー。で?何で呼んだ?」
「いやー久しぶりにカティアズと話したくてな!な!カティ!」
「何で学園長になってて俺らの担任になるんだよ。職権乱用するな。」
「いーじゃんリーダー!」
「煩い。俺はもうリーダーじゃねーよ。なんでこの学園に入れたんだよ。」
「だってリーダー友達居ないじゃん。まぁ俺達が無理いったからかもしれないけどな。」
「友達なんていらねーよ。」
「『神殺し』。」
「…。」
「なんて大層な名前つけられて畏怖されて。幸せか?」
「は?」
「お前は幸せなんていらないって言うけどな。あのときはお前、つらそうな顔してたぜ。」
「なわけ…。」
「俺はお前に楽しいってことを教えたい。お前に神殺し以外のこともさせてやりたい。青春を歩ませたい!俺達は皆そう思ってるんだぜ?」
「俺達?」
「ええ。勿論でしょ?一番年下で生意気に私に勝ちやがった神殺し君?」
後ろから来たのはラウラ・ハワート。
てか他にもいた!
「ラウラ。」
「今日から剣術担当のラウラ・ハワートよ!ヨロシク。」
長い赤髪で灼熱の瞳。
赤いドレスを着た長身の女性。
白い肌に金のネックレスは映える。
「今日から魔法担当のレーヴァ・ガラハッド!久しぶりだなーリーダー!」
青髪の短髪で海のような瞳。
活気的な笑顔だが騎士の鎧。
少し日焼けしているようだった。
賢帝レーヴァ。
レーヴァ・ガラハッド。
『神殺し』パーティーの賢者。
回復と魔法のエキスパート。
聖杖ケーリュケイオンの持ち主。
まぁケーリュケイオンも本来の持ち主は違うんだが。
「クー・ヤイカル。槍術担当。会いたかったぞ。」
青髪で一本長く髪を纏めた赤い瞳。
ニッと笑うと鋭い犬歯が見える。
ビッタリした青と金の服。
無口だが一番活発。
槍帝クー。
クー・ヤイカル。
『神殺し』パーティーの槍使い。
死槍ゲイ・ボルクの持ち主。
まぁゲイ・ボルクも本来の持ち主は違うんだが。
「ア、アリス・ローラ!ざ、座学担当です!会いたかったです!カティ君!」
金髪で巻髪、緑の瞳。
臆病だがやるときはやる女。
緑のドレスを着ている。
補帝アリス。
『神殺し』パーティーのサポーター。
世界の杖ユグドラシルの杖の持ち主。
まぁユグドラシルの杖も本来の持ち主は違うんだが。
「って、何で全員ここの教師なんだよ!つーかバラすなよ。」
「勿論でしょ。私達は貴方の喜んでいるところを見たいのだからね!」
「楽しみだなぁ!」
「カティ。稽古つけて!」
「皆さんカティ君の事す、好きなんですよ!」
「ったく…。」
頭をかきながら笑う。
「つまらない授業はするなよ?」
「勿論でしょ。」
「おう!」
「ああ。」
「は、はい!」
「当然当然!ハッハッハ!」
そーいやアーサーって何担当なんだろ。
「あ、カティの寮は2つあるぞ。」
「は?」
「メインは俺の部屋の右!つまり隣だ!」
なんか豪華な扉があると思ったが…それなのか!?
「その隣や向かいには私達の部屋があるわ。」
「まって、職権乱用しすぎじゃないか!?つーかなんで俺教師棟に寮あるの?」
「で、2つ目は生徒と同じ場所の寮。カモフラージュだな!ついでに一人部屋だ!」
「カモフラージュ!?なんで俺こんなに贅沢なんだよ!」
「カティ。贅沢しないから。」
「いーじゃん!」
「神殺しの悪い噂なんて俺達が吹き飛ばきてやるさ!ハッハッハ!」
ったく、これだからおまえたちは好きなんだよ。
そんなことは絶対言ってやらねー。