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うちの夫はハーフです。しかも、重婚して子供もいたってよ。

うちの夫は異世界人と地球人のハーフです。


結婚してから判明。聞いた時は、やばいヤツと結婚してしまったのかと思いましたが、事実でした・・・。

なんでわかったかって?

旦那の実家、二階の義母の寝室の襖を開けると、そこには異世界へ繋がるゲートが存在したからね、おっどろきー!

私も夫に連れて行かれて向こうの世界に行ったけど、何もかも違うからびっくりしたよ。


異世界人は魔法が使えるんだって!幼女の夢だよね~。

お義父さんは凄腕の魔法使いさんらしく、向こうの世界で魔法を発展させる部署でバリバリ働いているそうです。そんなお義父さんがたまたま見つけた異次元ゲート魔法で、この家の襖とお義父さんの部屋をリンクさせてしまった事で義両親は出会い、恋をして夫が産まれたそうです。凄くロマンティックな運命的な出会い・・・憧がれる!!


異世界人の見た目は一見、海外の人かなぁて思う程度で地球人とほぼ変わりはありません。お義父さんも日本に観光に来た旅行客の様でとてもハンサムです。


ちなみに、こちらの世界では魔法は使えないそうです。どんな仕組みか聞いたけど、私には理解不能!

唯一、ゲートで繋がっている義実家の建物の中でのみ簡単な魔法は使えるそうです。あと、地球人が向こうに行ったからと言って魔法は使えないとお義母さんが言っていました!残念!!


夫の名前は下田春翔

ハルト・シュワンコフ


私はハルちゃんと呼んでいます。

見た目はお義母さんの遺伝を色濃く受け継いだのか、そこまでハーフっぽくは無いけど、目の色は陽にあたると少しだけ青みが入ってとても綺麗で長身でとてもイケメンです。


私とハルちゃんとの出会いは大学の写真サークル。

3つ歳上のハルちゃんは、明るくて頼りになる先輩。

ハルちゃんの撮る写真は見たことない様な幻想的で不思議な風景写真。それに私は魅せられました。

その頃から、彼は色んな賞にエントリーしては受賞していました。凄いよね~。

今思えば、ハルちゃんの風景写真は向こうの世界だったのです。


私はバイトして貯めたお金で一眼レフ買うと、ハルちゃんが色々とアドバイスしてくれる様になり、シダの刺繍入りのレンズクリーナーをプレゼントしてくれました。

「いつも持っていてね♡」と。

それから気付けばお付き合いが始まっていました。かっこいいなぁ・・・とは思っていたけれど、いつから好きになったのかははっきりと覚えていません。

気づけば好きで!好きで!仕方なくて・・・、いつの間にか一緒に住んでいました。

ちょっと不思議。


ハルちゃんは卒業後、フリーのカメラマンをしています。プロのカメラマンで華々しい受賞歴、ハーフでかっこよくて、ハルちゃんはとてもモテます。

モテますが、私の事が大好きなハルちゃんは浮気の心配もなく安心しています。

ただ、独占欲はそれなりに強いのか私が大学卒業と同時に結婚して、そろそろ2年目。新婚気分はまだまだ続いています。


暫くは新婚生活を楽しみたいと言うハルちゃんの希望で、子供はまだ予定にありません。

私はと言うと、ハルちゃんの希望で就活はしませんでした。その代わり、バイトしていたケーキ屋さんでそのままパートとして働いています。ここのケーキ美味しいから、みんな買いにきてね〜。


ハルちゃんは異世界でも写真家です。向こうでも、地球の風景写真でそれなりに売れている様で、向こうとこっちを行ったり来たりしています。

ハルちゃんは忙しいと撮影のために海外へ行ったり、異世界の方に泊まり込むこともあり、数週間会えない事もざらにあって寂しいです。

特に、向こうにいる時はスマホで連絡取れないから、声も聞けない!本当にそこは腹立たしい。

地球の発明本当に神!


ちなみに、今日で7日ほどハルちゃんと会っていないので寂しいです。今は異世界に居るのでお義母さんの許可を得て、向こうへ突撃だ!


因みに一人で向こうに行くのは初めてです。1人では来ては駄目だよ・・・と言われていたけど、たまには良いよね?寂しいんだもん。

色々と教わってハルちゃんとは何度も向こうに行っているから1人でも大丈夫でしょう。


お義母さんのお部屋にお邪魔して、襖をオープン。

そのままゲートを潜ると先程までの日本家屋とは打って変わり、内装は洋館の様な木製のレトロでアンティーク調の素敵な家具達。いつ来ても女心を擽る。


お義父さんの家はシーンとしていて誰も居ないようです。

さて、ハルちゃんはどこにいるだろうか?撮影に行っていればここで帰りを待っている方がいいだろう。しかし、少しだけ好奇心が顔を覗かせる・・・。

この家から少し離れた場所に、ハルちゃんの借りているスタジオがあります。そこは完全な仕事用の家らしく、私も入った事がない。現像する時しか居ないと言われたから、行く事はないと思っていたけれど、ちょっと散歩がてら行ってみようかな。


そこに行くついでに色々と見て回るのも楽しいだろうな。こっちのお金は持っていないから、買い物は出来ないけど見るだけは無料だ。


クローゼットから、こっち用に買ってある服を取り出して手早く着替える。

ハンガリーの民族衣装の様な可愛らしい刺繍の施されたワンピース。向こうの世界で純日本人顔の私が着ていたら、笑われてしまうかもしれないけどこっちの世界だと全く違和感がないから不思議。

この服の刺繍には言語を理解する魔法と、喋れる魔法、読み書きできる魔法が練られているらしい。だから、この可愛い服は私仕様。


住宅街を抜けて、露店の並ぶ道を闊歩する。美味しそうな匂いにお腹が減ってくる。

時々、お姉さん美味しいよ、と声を掛けられるが今待ち合わせが無いの〜と断れば、串に刺した試食品を振る舞ってくれて、うれしくて心が豊かになる。


こちらの世界に居ると、自分が御伽噺の世界に迷い込んだ様な気分なれる。


私は浮かれ、スキップしそうな勢いでハルちゃんのスタジオに到着した。


「うーん、どうしよう?居るのかな?」


中の様子は全く分からない。入口の前でしばらく1人悩んでいると、子連れの女性に声をかけられた。


「うちに何かご用ですか?」

「(うち?)あ~・・・えっとー」


ブロンドの綺麗な髪の美しい女性。同い年くらいだろうか。お子さんも男の子だと思う・・・可愛い。髪が黒髪で少しハルちゃんに似ているなぁ・・・、ハルちゃんに会えてないから、ハルちゃんに会いたくて仕方ないのかも!!


「こちらハルトさんのスタジオではないですか?」

「主人に何かご用でしょうか?」


(主人!!?)


「ママ~、パパのお友達?」


(パ、パパ!!!???」


「アキト、パパを呼んで来て」

「はーい」


黒髪のどこかハルちゃんの面影のある、男の子・・・しかもパパと・・・。

胸がドクドクして、汗が滲み出てくる。気持ち悪くて、背筋が震えてくる。

嫌な事しか、最悪の事しか思い浮かばない。


「アキトちゃん、は・・・おいくつなのですか?」

「3歳です」


(3歳、3歳、3歳・・・)


え?3年以上って事?


しかも、名前もアキト・・・


え?私浮気されている?え?え?私が浮気相手?でも、2人で婚姻届・・・だしたよ?


血の気の失せクラクラしてきた。顔色も最悪だろう・・・初対面の相手だ、何も気づかれませんように。


「ハ、ハルトさんにそっくりですね~」

「よく言われます」

「ハルトさん、ご結婚されていたのですね。写真のことを昔色々と教えていただいたんですよ」

「お恥ずかしながら、出会ってすぐあの子ができたんです」


幸せそうに微笑む。私との子供はまだ良いて言われたのに、ちゃっかりもう居るんじゃ無いかよ。


すると、ガチャリとドアが開き男の子を抱きかかえた春ちゃんが堂々と登場。


バッチリ目があった。2日ぶりに見る好きな人の顔はやっぱりカッコいい。


「え?・・・な、何で居るの?」


ハルちゃんの顔も見る見るうちに青ざめてくる。わー、今は何を考えているんだろー。


「オコサンイラシタンデスネ。トテモオドロキマシタ。イロイロオセワニナッタノデ、ゴアイサツダケシトコウカト、タチヨリマシタ。イママデ、アリガトウゴザイマシタ」


完全片言。心も込めない、無だよ?無。この場で泣き叫ぶのも悔しくて、そのまま全速力で走りだす。え?私こんなに足早かったかな?と言うスピードで屋敷まで帰り、直ぐに着替える。ポケットにしまっていた、初めてプレゼントされたレンズクリーナー。「いつも持っていてね♡」って言われたから、なるべくは肌身離さず持っていたけど、こんな物もう要らない!

力強く投げ捨てるがふわりと床に落ちた。そのままゲートを潜る。


出会って直ぐに子供が出来たと言う事は実質付き合い始めて4年くらいかな?私とは6年だ!6年!

フツフツと怒りが湧いてくる。


凄く早く帰って来たからか、お義母さんはちょっと驚いていた。義両親も知っていたのかな?


「ハルちゃん、向こうに奥さんとお子さんいたんですね!びっくりしました」

「え?え?」


お義母さんも知らなかったのか、驚いた表情をしている。向こうに行かなきゃわかんないよなぁ。


「お義母さん、とりあえず私ハルちゃんとは別居します!今日はお邪魔しました~」


早口で捲し立て、お義母さんが何か言う前に義実家から撤退だ!

帰る道中に今後の事を考える。取り敢えずは別居だ。帰って家を出る準備をして、実家へ帰ろう。もう、向こうに子供が居るのだから、こちらで結婚生活を続ける必要もないだろう。なら、最終的に離婚一択だ。

数十分前まで、大好きだったハルちゃんへの気持ちは面白いほど、どうでも良くなっている。勿論、腹は立つけど。

ただ、向こうでの不倫?重婚?・・・まぁ不貞。――向こうからしたら、私が不貞だろうけどね――本当であれば、きちんと証拠さえあればハルちゃん有責で慰謝料が貰えるのに・・・、異世界だと証拠出せませんよね!それだけはとても悔しい!!


家について、荷物を纏める。同棲の時から過ごして来たからそれなりに思い入れもあるが、今は本当にどうでもいい。荷物の量もそれなりにあるが、今は必要な物だけを持って行く。

ハルちゃんも追いかけくる気配は無いし、マナーモードにしているスマホにお義母さんから何件か着信が入っているくらいだ。


でも、両親には何と言おう・・・。ハルちゃんの家の事情は何も知らず、両親が事実婚な事しか話していない。離婚するにしても理由はいるよなぁ。まぁ、最初は喧嘩したでいっかぁ。


何故か今まではハルちゃんが好きで、好きでしかたなくて・・・ハルちゃんしか見えていなかった。少しずつその好きフィルターが薄くなってきて、頭もはっきりすっきりしてきたようだ。


今働いているケーキ屋さんも凄く好きだけど、離婚したら就活でもしようかな。なんで、卒業するとき今のままで``まぁ、いいか``で済ませたかな・・・。とても後悔。


実家へ着くと、母が温かく出迎えてくれて、実家サイコー!そう言えば結婚してからは一度も泊まったりはしてないよな、としみじみ思う。もっと遊びに帰ってくれば良かった。


それから、次の日に憔悴した様子のハルちゃんは私を訪ねて来た。金髪の嫁が居るだろうに、何をそんなに憔悴する必要があるのだろう。


流石に実家で話すわけにも行かず、近くのカラオケボックスで話し合う事に。


私の開口一番


「離婚してください」


すると、驚くくらい泣きながら嫌だとごねられた。ごめんと何度も頭を下げられたけど子供いたらもう無理じゃない?挙句に投げ捨てて来たレンズクリーナーをきちんと畳んでいい香り付きで差し出してくる。

いや、いりませんから。

丁寧にお断りすると「これだけは持っていて」と何度もしつこく懇願してくる。

何か怪しい。


泣きじゃくるハルちゃんをよしよしして、どうにか宥め話を聞き出す。

本当はお前なんかを触りたくないんだよ!と、心の中では悪態をついて毒々しい気持ちを満たして、どうにか自我を保つ。

暫くすれば甘えたように、ある証言をしてきた。


『プレゼントしてくれたレンズクリーナーのシダの刺繍に、魅了の魔法を練るっている』


だから、これを受け取れば僕の事をまた好きになれるんだと・・・。


うげぇ・・・、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い!

結局、私のハルちゃんへの気持ちって操作されていたってこと?あんたにはがっかりだよ!!!


それからは、ひどかった。縋りつかれ、離そうとしない。個室のため身の危険も感じて、悪いとは思いつつおもいっきりハルちゃんの急所を蹴って、もがき苦しんでいる時に女子トイレに駆け込み、お義母さんに連絡して引き取りに来てもらった。お義母さんもハルちゃんがしてきたことを聞いて何度も何度も頭を下げて来たけど、なんかどうでも良い。


早く離婚して欲しい事、ハルちゃんとは2人きりでは会わない事を伝えて、その日は解散した。


次の日、16時までのシフトが終わり実家へと帰ると、家の外で義両親に待ち伏せされていた。お義母さんは、昨日から体調不良で仕事を休んでいるらしい。

2人には何度も、何度も謝られた。最後に念願の記入・捺印済の離婚届と慰謝料代わりの通帳と印鑑を手渡してくれた。慰謝料ぶん取れないと思っていたからラッキー。

いや、でもやっぱり離婚届けの方が数倍うれしい。


そのまま義両親とは別れ、すぐさま離婚届の記入するべき所を書き込み印鑑も押して、役所へ猛スピードで駆け込む。1秒でも早く離婚したいからね!

無事に提出して、これで赤の他人だ!!やっほ~。


実家へ帰り、離婚したことを事後報告。

少し怒られたけど理由(海外で他の女と子供作ってた☆)を話したら、怒ってごめん辛かったね・・・と抱きしめられた。

お母さんに抱きしめられてその温もりに少しだけ、泣きそうになった。

あ!浮気されていたのが辛いんじゃなくて、母親の温もりに感動しただけです。魅了の呪いが完全に解けたのか、ハルちゃんの事は辛くも悲しくも無い。完全なる無である。

ただ、もろもろの手続きが煩わしくて、本当にだるい。なんであんなのと結婚しちまったんだ・・・。あ、魔法のせいか☆


そして、この後私は今まで以上にバイタリティが溢れでて、疎遠になっていた友達と出かけたり、合コンに参加したり、就活したり・・・。この6年間ほんとなんだったの!!?と思うくらい楽しい日々を送っている。

就活も無事に有名企業の受付の採用を貰った。やればできるじゃん、私。


たのしい日々を過ごせば、あの異世界は夢だったのでは無いかと思うレベルで霞んでゆく。縁も切れもう、向こうに行く事も無いし、行きたいとも思わない。だって、奴と関わりたくないからね。


さて、今日が初出勤!私の人生まだまだこれからだよ。


「今日からお世話になります」


夫側視点が無いので補足です。

ハルちゃんの本命は主人公(超美人)でした。そのために、魅了の刺繍を使って、ハルちゃんラブにしていたのですが、プレゼントが洗濯などで少し古くなっていたため魔法弱まって、1人で向こうの世界に突撃。事実を知って、弱まっていた魔法が更に弱まります。挙句に、手から離れたために完全に魅了の魔法は解けて、ハルちゃんの事がどうでも良くなりました。最初から、主人公はハルちゃんの事そこまで・・・ですね。それが唯一のざまぁかな・・・。主人公はこれ以降は職場で素敵な人と出会うでしょう。

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