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第8話:再起、紅のドラゴン

一万年先の未来世で、四種の実態魔法を扱えて、(くれない)のドラゴンにも変幻はできたが、今世では全く発現できなかった。


変幻して初めて空を飛んだ感覚は、子供の頃に初めて玉つきのない自転車に乗れた感覚と同じだった。


自由にどこにでも行けた。それが今世ではできないのである。


できない理由は、最上級グレード翡翠の鉱石から放出される時空間の振動エネルギーが満ちていないせいであると俺は推測していた。


このの小さい空間に上級グレード翡翠を限定配置された時空無線機は、一般物理学を逸脱して差異空間の『迷いの森』と情報交換を出来たのである。


十分な最上級グレード翡翠があれば、もっと大きな空間で実態魔法を扱えるに違いない。


「十三夜は未来世では半人前で人型に変幻できなかったよな。『迷いの森』でどうやって変幻できるようになった?」


「イメージダヨ、イメージ」


「それだけかよ」


「れんしゅうしたんダヨ、なんども。十六夜が言ってたことをおもいダシテ」


「そうだな、俺も最初は十六夜からイメージの修練させられたからな」


「投影裸眼ネックレスを貸してくれるか」


投影裸眼ネックレスは俺が未来世で生成した翡翠宝石の粒をふんだんに使ったネックレスである。


この部屋いっぱいぐらいは時空間の振動エネルギーが満ちていることは、AI幻影で空間に淡い光で満たされていた。


「マスター、この部屋で紅のドラゴンに変幻したら大変ですよ。体長十五メートルはあるんだから」


「大丈夫だ。以前この場と同じ状況があった」


「上鳥羽集落の鎮守の杜内のことですね。思念波が遮られ護符で局所的に結界を張った時と同じ振動エネルギーの量ですね。


AI幻影が表現する淡い光と共感覚で見た時と同じです」 信士が言った。


翡翠宝石の投影裸眼ネックレスを十三夜から受け手首にかけた。部屋中の淡い光が俺の手首の周りから体全体に包み込むように


回り出した。十三夜は人型から蜂妖精女王に戻っているのが見える……


十六夜の話を思い出しながら自分自身にイメージを掛けた。未来世でいうところの思念波だ。


--


目の前に蜂妖精女王の十三夜がいる。しかも等身大だ。


会社の身だしなみチェック用の姿見の大鏡に、体長二十センチメートルのミニ紅のドラゴンと蜂妖精女王が映っていた」


「ヤッター。レイジ! 変幻したヨ。これでいっしょに飛べるよ!」


うれしさのあまり、十三夜と部屋中を並走飛行した。


「マスター、絶対火を吐いてはだめですよ。ミニとはいえどもこんなビル吹っ飛びますからね」


「ああ、わかってる。そろそろ元に戻るよ。」


危なねー。神炎のブレスを吐くところだったよ。


こんなところで神炎放ったら、火炎とレールガンが混ざったような放射が対面のビルに向かうところだ。


ここは今世の日本、京都だ。変幻しても気をしっかりと持たないといけない。未来世では変幻してもそんなこと考えなくても良かったけどな。


投影裸眼ネックレスを十三夜に返した。


また一から修練すれば四種の実態魔法も再取得できる。その時は記憶実体魔法で投影裸眼ネックレスをまず複製しよう。


「レイジは、あの最強の紅のドラゴンに変幻デキナイノか?」


「今はな。今はミニだ」


「ソウカ、その方がイイ。いっしょに飛べるカラナ」


十三夜はうれしそうに俺の顔を覗き込んでいた。俺の方が照れるぐらいに。


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