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第88話:地下迷宮、最下層へ向かう者

この地下迷宮はもう人の管理はされておらずずっと放棄された状態である。


地上部は崩落しているが、地下部分へは太陽光からの電源供給と思念波のエネルギーが供給されていた。地下七階の最深部のAI量子コンピュータがすべて制御しているのであった。このAI量子コンピュータは我々がかつて構築したAI量子コンピュータAI幻影(AIファントム)とAIアルフ・ライラに酷似していた。


地下七階まで行くには、各階の認証ゲートを通らないといけない。葵の認証カードは前回、最新部の部屋から出ずそのまま元の世界に戻った為、退出記録がされていないが、カードに記録されているデータは改ざん済みである。その証拠に入口のドアは問題なく解錠できた。


先頭を行く3匹の蛍胞子は各階への扉への最短コースを我々を誘導している。この生き物は全く意思疎通はできなかった。そのはずである菌類の一種なのだから神経細胞のようなものは無く思考とは無縁の生物なのだ。


それなのに十三夜(つきみ)はやつらに指示できるのだ。その応答する十三夜(つきみ)は理解できているのかもしれない。


いまや3匹の蛍胞子の使命は、レアフルの命の支配から、最終ゲートまでの道筋を示すことである。


「やつらは、昆虫界ではやっかいものだ。体に侵入して神経毒を吐き出す。十三夜(つきみ)嬢はどうやって操ってるのか。私にも教えて欲しいものだ」レアフルは身震いしながら言った。


六階行く扉へいく中央の宙づりの橋にやってきた。3匹の蛍胞子は一瞬躊躇したかのように振動しながらも、前進に扉に付着した。


橋の上には、十センチメートル程に蛍胞子の死骸が降り積もった所に、前回歩いた跡が残っていた。既にその跡にもほんのわずかに蛍胞子の死骸が降り積もっていた。


この地下6階は地下4階からの吹き抜けである。上層階で黄色に発光しているのが生きている蛍胞子で、白く粉雪のようにゆっくりと舞い降りてきているのが死んだ蛍胞子である。それがこの橋桁に集中して溜っているのである。


施設はAI量子コンピュータがすべて制御しているのだが、湿度のコントロールが効いていない階がある。それが今いる階である。


橋に一歩踏み出す毎に、蛍胞子の死骸の白い粉雪が舞い上がりやがて下層へと舞い降りて行く。薄暗い照明の中、幻想的な風景であった。


「レイジ、ぼうっとしてないで」


「ああ。吸い込まれそうだ」


「あの扉を抜けたら、後一回だけなんですよね。もう自慢の翅が傷だらけに」レアフルは鏡面加工された扉に写った自分の姿を見て言った。


葵が認証カードを受信装置にかざす。承認許可の特殊記号の文字が浮かび上がり、きしむような音をたてながら開く……


風が中から吹き出し、上昇気流が発生し、下層へと流れていた白い粉雪は筋となって上へと登っていった。


3匹の蛍胞子は流れに逆らいながら扉の向こうにすべりこんで行った。


扉の開くきしみ音はさらに大きくなり、半開きで止まってしまった。これではレアフルの巨体は通ることができない。


承認許可の特殊記号は、赤文字に変わり明らかにエラーの記号を表していた。


どこから、金属音の足音がだんだんと近づいて来ている。


「ちょおと、おいてかないでよ」レアフルは、手足を扉にかけなんとか押し広げようともがいている。


レアフルは置いていけない。思念波統一には必須だ。それにあの足音も気になる。以前にはそのような動く監視者はいなかった。


ここで未知の者の遭遇はすごくまずい。


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