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第6話:十三夜の探索 その3 (時空位相帰還)

 小さな鳥居のある祠に俺と葵は突っ立っていた。地主のじいさんはもうここには居らず、新たに立ち入り禁止の黄色のテープが、竹林の入口に張ってあった。


 十三夜は、葵の肩に座っていた。


「見えるよ、蜂妖精女王の十三夜(つきみ)お帰り!」


「十三夜ちゃん、お帰り!」


挿絵(By みてみん)


「とりあえず、この里山を出て車で会社に向かうぞ、信士もやきもきしてるだろうし」


「コノ、牛車は牛ドラゴンの十五夜(かぐや)もイナイのにジブンでウゴクノカ?」


「そうだよ、自走自車だ。行先を指定すれば自動で目的地まで行く」


「ホー、ベンリな実態魔法ダナ」


 俺は、自走ランドクルーザーに平安絵巻からインスパイアした絵でフルラッピングしている。


 会社の宣伝も兼ねているのだが、十三夜には飾られた牛車に見えたようだ。


 十三夜はめずらしい物を見るように車内中を飛び回っていた。


 十三夜は1万年後の未来世から今世に帰還したのであるが、三次元世界において神の不文律がある、

未来に行けても過去には行けないのである。十三夜からしたら、過去に来たのである。


 この神の不文律を破る方法が一つある、過去の令位守護者が未来世のものを呼び出す時である。


 俺も、西暦六七六五年の第二十代令位守護者の早神心(はやがみこころ)が、西暦一万九四六の第二十一代令位守護者の時の俺を呼び出したのと同じである。


 過去への時空位相は他力本願ってやつだな。


「ソウダ、『迷いの森』でひまダッタから人型に変幻できるように修練シタヨ」


「そういえば、十夜族で変幻できなかったのは、十三夜だけだったな。でも今世でもその能力は発揮できるのか? 俺なんか今世では紅のドラゴンに変幻できないし」


 蛍のような光がルームミラーに映ったのが見えて振り返るとそこには、十六夜(いざよい)がいた。いや十六夜よりもさらに大人びた少女がにっこりと座っていた。


 シートを回転させた。十三夜は地下迷宮の最奥で別れた姉の十六夜と瓜二つだった。


 白いワンピースに首には俺が錬成した不細工な投影裸眼のネックレスを掛けていた。今から思えばもっとおしゃれなデザインで錬成しておけばと思った。


「ソンナニ、見つめられても、テレルヨ」


「どうやって変幻できるのか後でゆっくり考察することにしよう」


「ハダカニなるのか?」」


「いや、そうじゃなくて変幻の方法をだな……」


--


ピー。


「統括マネージャ、信士です。こちらに向かわれてますか? GPS位置補足はもちろん出来ていますが、時空無線機の位置も補足できます。ただ時空無線機の位置は停止したままですが」


「しまった。時空無線機を忘れてきた」


「マスター、またやっちゃいましたね。でも十三夜ちゃんが居た世界を解析し続けることができますわね」


「それだ! 忘れてきたのではなくて、置いてきたのを忘れたのだよ。葵君」


「あらま。まあいいですわどっちでも。解析できるんでしたら」


 時空無線機はあいかわらず自機の位置を虚構の空間に向けて発信続けていた。


 動力原は青系の散乱光と生物それも視床下部を有する脊椎動物からの思念波である。


『迷いの森』の空は、おとぎの国のようなパステル調の青い空だったが、あれは空気中の分子による散乱による『レイリー散乱』と


 水滴やエアゾールによる『ミー散乱』の絶妙なバランスでなりたっている。


 今世と通信できたのも何か関連しているな。


「マスター、さっきから十三夜ちゃん見つめたまま何かにやつかれてますが?」


「あ、ごほん。ちょっと考察してたところだ」


「ハダカはナシダカラナ」


「さあ、事務所に急ごう、信士がお待ちかねだ」


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