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第5話:十三夜の探索 その2 (迷いの森)

 小さな祠で出会った地主の不安そうな顔を見届けながら、俺と葵は竹林の中へと


ダッシュした。目指すはAIアルフ・ライラが解を出した竹林トンネルの出口付近。100m足らずの距離だ。


 子供のころは長く感じられ、更に日が差し込まなかったので余計に長く感じたが、今は大人だ。


パキ! ドサ!


「マスター~ 待って~」


「え、まさか」 俺は振り返った。


 倒れたと思われえた葵は傍に立っており。竹林トンネルは抜けていた。


 風の音に誘われた草原の匂い、天青色であるパステル調の非現実的な水色の空。


 小学生のころ体験した記憶が完全に蘇ってきた。違うのは傍にいるのが妹ではなくて今回は葵だ。


「ここは『迷いの森』だ!」


「ここが、マスターがその昔、神隠しにあったという場所ですか?」


「いや、誰も俺が居なくなったことを把握していないので、神隠しとは違うな。まあ現象的には同じなのか」


ピー。


「統括マネージャ! 信士です。GPSが途絶えました。大丈夫ですか?」


 信士からの時空無線機を通しての連絡だ。時空無線機の位置と音声情報はリンク出来ているようだ、成功したようだな。


「信士か。聞こえているよ。こちらは大丈夫だ。時空位相したようだ。年代を解析しておいてくれ」


「了解です。ただリンク状態が安定してません。AIアルフ・ライラのリアルタイム解析が追い付かないようで遅延が発生しています」


「承知した。第六ノードの音声情報は切断して、位置・時間情報だけリアルタイム解析してくれ」


「了解です。今居られる場所に上部前方から何かが接近中です。お気を付けて! これより音声チャンネルはクローズします。」


 時空無線機を持っている俺以外に認識できるとしたら最上級グレードの翡翠を持ってるものだな。


 あっちから迎えに来てくれたか。


「葵、単眼望遠鏡で上部前方を見てくれ! 十三夜が居るはずだ」


「居ました! 十三夜ちゃんだ! ここだよ~。 あれま上昇して降下しだした」


 遊んでるようだ、得意技の回転しながらの急降下を披露しているようだな。かわいいもんだ。


「オソカッタナ、紅のドラゴンこと第二十一代令位守護者のレイジとアルフ・ライラ様」


「あら、私はアルフ・ライラじゃなくて葵だよ」


「ソウカ、あの少女と少年は今じゃ歳をトッタナ」


「十三夜、今度は見えるよ。ちゃんと見える!」


 俺は再会でいつの間にか涙が頬をつたっていた。十三夜はそのせいで二重に見えていた。


 相変わらず茶目っ気たっぷりじゃないか。


「とりあえず、詳しい話はこの『迷いの森』を抜けて戻ってから聞こうか」


「ワカッタ」


 たしかに十三夜であるいつものなつかしい返答だ。そのそっけない返答にほっとした。


「マスター、どうやってこの『迷いの森』を脱出するのですか?」


「簡単さ、天青色のガラス玉を皆で見つめればいいのさ」


「十三夜、最上級グレードの翡翠を持ってるな。それと葵はポシェットに入れてる時空の神宝の中心コアはあるな」


「モッテルヨ」


「はい、これですね」葵はポシェットから青色の中心コアを取り出した。


 最上級グレードの翡翠を持ってる十三夜も今回は迷子にならず同調して一緒に戻れるはずだ。


 信士が上手く補助遠隔追跡してくれるだろう。


「では、皆! この天青色のガラス玉に映っている自分を見て!」


 皆、一斉に覗き込んだ。


『薄い赤い色の綿毛に誘われて、草原の大木で見つけた天青色のガラス玉、ガラスの中に三人が映ってる、帰れるかな元のところに、帰れるよね皆のところへ』


 パキ! ドサ!


「葵! 立てあのトンネルの先まで走るぞ」


「はい」


「十三夜! 葵と並走飛行しろ」


「ワカッタ」


ピー。


「統括マネージャ! 信士です。GPSを再補足しました!」

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