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第45話:未来への贈り物-翡翠ナノ粒子アンプル

実体を伴う1万年の時空位相を実現する為には、翡翠ナノ粒子の体内への投与と脳内の視床下部及び脊髄への1万ガウスの強磁場の照射を受けることで、体現できることがMRI検査から前回判明した。


ただし、これを体現できるのは、今のところ十夜族のみである。


十三夜(つきみ)は、実体を往復できたが、俺は意識のみだった。ゼノ核酸反応率が低いのだ。


俺が時空位相を体現するには1万ガウス以上の超強磁場が必要か、もしくは三年前の巨大地震による岩盤破壊時に発生する特殊な磁気エネルギーを浴びないとだめだろう。


 早々、そのような巨大地震は発生せず磁気エネルギーの強度データの蓄積はない。



 1万ガウスの強磁場装置と翡翠ナノ粒子を含むアンプルを早々に九条慎太郎博士に作製してもらうことにした。


 それを、十六夜(いざよい)のいる1万年後に送り込むのである。


 動力源は、俺のスマートフォンのモバイルバッテリーを十六夜(いざよい)は知っているから、彼女自身が記憶実体魔法でバッテリーを錬成できるから問題ないはずだ。



 簡単なことだ、機器を1万年後にも確実に存在するであろう場所に設置することだ。


 それと装置の劣化を防げれば良い。



 設置場所の選定作業の特定会議が始まった。久しぶりに会社のメンバー全員での会議である。


 テーブル上に2層に敷かれた色違いのクリスタルガラスプレートに、AIアルフ・ライラが未来世で記憶した俺の位置情報と映像情報を、下層の透明の淡いオレンジプレートにプロットし、現在のマップ情報を上層の無色透明のプレートにプロットした。


 3つの密度の濃いところが浮き上がっている。これらが候補である。


 リージョン1、初めて時空位相して十六夜(いざよい)に出会ったところ。


 十六夜(いざよい)がちょこんと座っていた翡翠のベンチ。


 リージョン2、黄金の甲虫スカラベが居た場所でもあり、先代令位守護者の早神心に出会った場所である水度集落跡地の地下神殿。


 リージョン3、唐條葵が千夜一夜(アルフ・ライラ)に憑依され、最終的に黄金の甲虫スカラベを倒し、時空位相の連環を絶ち帰還した場所の山城の地下七階のコンクリートサーバ室。


 以上の3つである。


「私はリージョン3を選ぶわ」葵が言った。


「ワタシもリージョン3ダナ」十三夜(つきみ)が言った。


「僕もリージョン3でいいかなと思います。地下七階のコンクリートなので、強固で環境もずっと同じに維持されているはずです」設楽信士が言った。


「そうだよな、誰が考えても環境維持が期待できるリージョン3だよな。いや、一つだけでなく全リージョンに一セットずつ設置しよう」


 リージョン2、3には人類の宿敵のいる黄金の甲虫スカラベが存在する。昆虫といってもこの時代では体長10m級で、異物の察知能力ある。不審なものとして察知され破壊される恐れがある。


 リージョン1は翡翠のベンチである、そんなものはここ烏丸四条周辺にはまだ存在しない。後世のものだ。


「AIアルフ・ライラ、リージョン1の中心を拡大してくれ、現在の詳細位置を知りたい」


 2層のクリスタルガラスプレートは、一瞬黒くなり、透明になった。


 別に黒くなる必要はないのだが、AIアルフ・ライラの演出である。最近は人間のレスポンスを


 楽しんでいるらしいのだ。いやそれでAIアルフ・ライラ自身で認知能力を上げているのかもしれない。


 透明プレート上に会社の周辺状況が3D表示され、赤い点が浮遊しているところが見えた。


「なるほど、そこなら、もしかして残るかもな。信仰心が1万年後まで残っていればの話だが」


 京都烏丸御池の交差点にある真新しい石碑。平安京以前より縄文時代後期から古墳時代まで遡れる場所である。


「葵、3つのリージョンにセットしたいので、その場所の保有者に交渉してくれ」






この時はまだ、リージョン2に宿敵の黄金の甲虫スカラベの子孫が、潜んでいることはまだ知り得なかった。

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