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第42話:京都のオフィスにて(クマゼミ)

 久々にオフィスに戻って来た。街路樹のクマゼミの鳴き声がうるさい。


 相変わらず夏の京都は暑苦しくて、空気はまとわりつく感じだ。


 北京とは大違いである。外気温はここ数年、最高気温が41℃を越える日も珍しくなくなった。


 夏の最高温度が40℃を越え出したのは2025年からである。四条界隈のビルの空調システムは、この年から一斉にリプレイスされている、40℃未満で設計されていた冷房は40℃を越えると、部屋が効率よく冷えずとんでもない温度になってしまうのである。


「おかしいな、こんな日中にセミが鳴いてる」


「バカゼミですね。昨日から夜にもずっと鳴いてたって信士さんが言っていました」と葵がいった。


 バカゼミとは普段は鳴かない時間帯に必死に鳴いているセミのことを言うが、信士に聞くと昨日からおかしなセミが事務所の前の1本の街路樹にいるらしい。



「信士、第4世代の仮ボスの飛蝗はどうなった?」


「別室の倉庫で飼育しています」


「分析して貰いたいことがあるので、九条殿に渡してくれ」


「九条殿、至急その飛蝗のDNAを分析して欲しい。DNAで構成されていない器官があるかもしれない」


「ああ、弟子の李神美(リ・シェンメイ)から聞いてるよ。君から頭頂眼(とうちょうがん)を調べるように言われてると。京都先端科学大学の分子生物学研究所で調べてもらうてはずになっている。それと君たちは医学研究科で血液検査を受けて欲しい。ゼノ核酸遺伝子XNAを保有しているかどうか調べたい」


「我々もか。時空位相の経験者の李神美も、もしかしてゼノ核酸遺伝子を保有しているのか?」


「さあ、それは教えてくれなかったが、君たちがもし保有しているのなら彼女も保有していると考えた方が良いな」



やけに、耳障りなクマゼミだった、ヒグラシのようにすずやかな声だったらいいのにと思っていると、十三夜(つきみ)も気になったのか、四条烏丸通に面する1本の楓の木の見える窓に向かって歩いていくのが見えた。


 楓の木の中から小さな何かが一直線に、こちらに向かってきているのがブラインド越しにちらついて見えていた。


 十三夜(つきみ)がブラインドの羽を水平にし、向かい側のホテルが見えたと思ったと同時に、クマゼミが十三夜(つきみ)の眼前でガラスにあたった。


「信士! 今、激突したクマゼミを捕獲してきてくれ!」


「レイジ、また昆虫採集ダナ!」眼前まで来たクマゼミに驚いて、十三夜(つきみ)は猫のようにひるがえって傍の机の上で唸っていた。



 クマゼミは、十三夜(つきみ)に向かっていたのではなくて、別室の倉庫で飼育している第4世代の仮ボスの飛蝗へ向かおうとしたのだ。


 通常状態で飼育しているので疑似思念波は漏れたままである。



「ご苦労さん」


「これです」信士は息を切らして戻ってきた。テーブルに置いたクマゼミは既に絶命している。


「外見は普通のクマゼミだな」


「いや、ちょっと違うかな。これも貰っていくよ」九条が眼鏡越しに覗きながら言った。


「死んジャッタノカ。確かにナニカ違うな、このクマゼミっていうの」十三夜(つきみ)は、ボールペンでつつきながら言った。


 クマゼミも同様に分子生物学研究所行きとなる。


 我々も明日、医学研究科で血液検査だ。

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