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第30話:接触、黒い群体のボス その3

 十三夜(つきみ)に指令された、数十匹のはぐれサバクトビバッタは元の群体へと戻っていく様子が十三夜(つきみ)の投影裸眼のネックレスから脳内映像化されてくる。


 統率がとれているかのように、一匹を先頭に飛翔している。その一匹は他の個体の体色とは異なり明るい紫色をしている。全て暗い緑色だったはずで、体色が変化したようだ。


 はぐれサバクトビバッタの一群を左前方に見ながら、方向転換して『五花海』はエメラルドグリーンが見え、さらに紅の龍の頭部が見えた、自分のいる場所だ。ドローンの補助カメラ部分を回収した十三夜(つきみ)が戻ってくる。


挿絵(By みてみん)


 ドローンのカメラ映像で紅の龍を見たときよりも、十三夜(つきみ)の投影裸眼のネックレスから直接脳内で映像化された景色は自分が見ているかのようで、体が震えた。


 十三夜(つきみ)視点での映像で、視点が輝いているものに多くの時間が割かれていた。後、帰還先の紅の龍の頭部の様子が気になっているのが見て取れた。


 多分、どこかに不安感があるのだろう。


「タダイマ」


 十三夜(つきみ)は、インターン生の美少女に戻り、ドローンの補助カメラを俺に渡した。


 補助カメラの映像データも、統合AIアルフ・ライラに送り、これまでのメインカメラ映像データとも合わせて、画像解析依頼を葵に指示した。


「嬢ちゃん、ご苦労さんだった」九条慎太郎からすれば、孫ぐらいの年代でかわいくて仕方がないようだ。


 しかも、これが体長20cmの蜂妖精に変幻するから昆虫生態学者からしたら、目の前で見ても信じられないようで、十三夜(つきみ)を注視していた。


 俺のドラゴンへの変幻なんてなんの興味も示さないのに、大変な落差である。


十三夜(つきみ)、追いかけてきた、はぐれサバクトビバッタの一群だが」


「アア、あれはね、蜂特有の階級維持フェロモンと集合フェロモンを撒いたのヨ」


「そうなのか。よくそんなワードを知ってるな。でも相手は蜂ではなくてバッタだよ。どうしてそれが効くのか?」


「レイジも知らないことがアルンダネ。慎太郎爺に教えてモラッタ」


 九条慎太郎の説明によると、蜂は有翅昆虫類・新翅類・完全変態類に属する。


 バッタは、有翅昆虫類・新翅類・多新翅類で階級維持フェロモンには反応しないが、群体化するような個体は、新翅類に共通する上位のフェロモンに強く反応する。


 十三夜(つきみ)はそのフェロモンを浴びせる時に、思念波で胡麻化したのだった。


 数十匹のはぐれサバクトビバッタは、一群となり一匹の個体を上位として分蜂と同じ結果を誘導したのである。



「マスター、統合AIアルフ・ライラが解析完了したようです。ここに投影します。


 まず、はぐれサバクトビバッタ群体の統率者の姿」葵はテーブルに画像投影するように、車内の制御装置前に陣取っている郭君に指示した。



 翅は全長15cm、ガラスのように透き通った翅に白色の翅脈が走っている。


 体色は暗い紫色で、赤い斑点模様がついていた。まぎれもなく他の個体と違っていた。


 懸念すべきは、その個体は十三夜(つきみ)が誘導した一群の一匹の上位個体と同じということだ


「アノ、バッタと姿は一緒だね」


我々は三代目の上位個体を追っていたが、四代目を既に生み出してしまったのではなかろうか。


 全員、十三夜(つきみ)に視線が集まった。


「ダイジョウブ。あのバッタはワタシの命令には絶対服従だから」


 十三夜(つきみ)の自信はどこから来ているのか分からなかったが、昆虫種で意思が通じるものがあるのだろうといつも思う。


 そういえば、九条慎太郎の説明には、ハチ目とカブトムシ目は同じ有翅昆虫類・新翅類・完全変態類と言っていた。


 未来世で戦った体長10mの巨大(カブト)なんか完全に下手に見てたのは同じ類だったからか。


「さて、皆さん実際に捕獲に行きますか。この黒紫の|飛蝗《バッタ》を」


 第一声をあげたのは、早神令時ではなくて九条慎太郎だった。






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