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第2話:天青色のガラス玉

 子供の頃に集めていたビー玉の中にひとつだけ大玉のビー玉があった。


 それは直径3cmぐらいでパステル調の水色をしており球の中心に光が集中して金色に輝いていた。


 ちょっと謎めいたビー玉であったので、友達とビー玉遊びをする時には決してフィールドには投入せず大事にしていた物である。


 妹がどうしてもそれが欲しいとせがむので、無くさないようにいつもポシェットに入れておくように言ってあげた。


 妹は嬉しそうに何度も空に向けては、そのビー玉を覗き込んでいたのを思い出す。


「令時だけど、ユキ?」


「お兄さん、久しぶり。わざわざ電話で何? LINEでいいのに」


「ちょっと、直接聞いた方が早いと思って。子供の頃さ水色の大きなビー玉あげたの覚えてる?」


「水色のビー玉?そんなの貰ったかなあ~?」


「はら、裏山の竹やぶでころんだ時にポシェットに入れたビー玉を一度失くしたことあったよね」


「あぁ~、青色と金色の針が入り混じった白水晶玉のことね?」


「あれってガラスじゃなかったのか、白水晶玉? まあいいやそれ今どこにある?」


「私の手元にはないわ、実家にあるんんじゃないかな。多分おじいちゃんの形見の品とかいろいろ入っている鉢にあると思う」


「わかった、ありがとう。今度探しに実家に行くよ。それと白水晶玉は僕に返してもらっていいかな?」


「ええ、いいわよ。宝石とかの価値はないし」


 あれは、ガラス玉じゃなかったんだ。青色と金色の混合針の針水晶だと珍しいな。そんな記憶はないし、どこで手に入れたものなんだろうか。


 今週末に実家に行って屋根裏のロフトを漁ってみるか。


「マスターどうでした。例のガラス玉はどこにあるか分かりました?」


 葵は未来世で、一時的にしろ千夜一夜(アルフ・ライラ)に憑依されてから何か雰囲気が変わったような気がする。


 実家はお寺だが、何か巫女のような雰囲気を漂わせていた。


「実家の宝箱に入っているらしい。明日にでも実家に探しに行ってみるよ」


「まあ、宝箱の探索って、面白そうですね。信士さんをお連れされたらいいのでは?」


「そうだな、あいつの特殊な知覚現象である共感覚を頼るか」


「信士、そういうことだ頼めるか?」


「いいですよ、統括マネージャ」


 信士はあいかわらず俺の事、統括マネージャって呼ぶけどこれでもこの会社のCEOなんだけどな。


さてこれで準備は完了と探しだせるだろうか?実家には何度も行くけどそんなの今まで見当たらなかったし、まあ、ビー玉なんて意識して探したことがなかったからな。


--


「信士、ここが俺の実家だ。初めてだったかな?」


「ええ、初めてです。でもこの旧奈良街道は未来世で経験した街道に何か趣が似てますね」


「そうだな」


 さて、一、二階は飛ばして屋根裏のロフトを探索だ。


「まず、木製の鉢を探してくれ」


「木製の鉢ですか……」


「その鉢は、じいさんが第二次世界大戦でインドネシアに寄港した時の土産らしい。高価な物と聞いてる」


 本、賞状、着物、古びた電化製品、黒電話もあった。


「ないな~。信士、何か共感覚で分かるか?」


「北の隅の方で何か渦巻いてますけど見えます?」


「どれ、何も見えないな」


信士が指さす方向をLEDライトで照らしたが何もなかった、ただその部分の断熱シートが膨れ上がっていた。


 断熱シートの下に何かあるようだった。断熱シートをめくってみると、木製の鉢が埃も被らず今さっき磨いたかの状態で存在していた。


「これだ! えっとこの中身を全部出してみるか」


 勲章箱、権利書、手紙、財布……、紫の布に包まれた何かを手に取ってみた。


「この手触りはシルクだな。中身は球のようだからこれだな! 紐解くぞ。」


「統括マネージャ、CEO! この玉は!」


「ああ、そうだ。これは紛れもなく時空の神宝の十二欠片の一つであるコアナンバーXIIだ!」


 崩れ落ちた、なぜここに未来世で遭遇した神宝の中心コアがある。天青色のガラス玉とは神宝の中心コアだったとは。


挿絵(By みてみん)


 この紫のシルクは伏見集落領主の九条殿がコアを包んでくれた物だ。


「信士、とりあえずこの木製の鉢に入ってたもの全部事務所に持って帰って精査する」


「わかりました! 中心コアがあるということは残りも何処かにあるはずですね」


紫のシルクの布には濃淡があり、さらにシミのような物が付いていた。


「葵、紫のシルクの布の表面画像を送るから先に画像解析しておいてくれ」(LINE)


「承知致しました」(LINE)




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