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第11話:上賀茂サバイバルフィールド その2(観察者)

 葵から連絡が入っていた。このフィールドには我ら十夜族(TEN NIGHTS CLAN)を外部から観察しているものがいるらしい。


 あの里山のオーナーの一件から、京都市内に張り巡らされたガイドマーカー、そのネットワークから発生する2箇所の原始思念波の高密度のスポットの一つであるこの地に誘導されたかのようにいる我ら。何者で目的は?


「葵、あの里山のオーナーの名前を調べてくれ」


「マスター、それなら調査済みです。九条慎太郎という名で、名家の分家になるようです。


それとガイドマーカーの考案者と設置者は同一人物で九条の姓を名乗っています」


 九条か、まさかな。未来世の伏見集落の九条殿につながるのか。九条家はある程度、思念波を読み取ることができたし、九条家に代々伝わる時空の神宝の組図を所持していたのだから、今世から何か研究していたのかもしれない。


 京都御所、京都御苑の南西部に旧九条邸はあり、そこは今はもう一つの原始思念波の高密度のスポットであるから、九条家が絡んでいるのは、間違いないな。


「十三夜、蜂妖精女王に変幻してこの時空の神宝の十二欠片の中心コアも持って、フィールド上空から周囲を展望してくれ」


「ワカッタ。レイジは飛ばナイノカ?」


「ドラゴンの姿影は見られたらまずいだろう。葵、十三夜がフィールド上空に飛翔するから中心コアに引き寄せられる原始思念波の流れを分析してくれ、観察者のソースがわかるかもしれない」


 十三夜の投影裸眼ネックレスからの飛翔の3Dの思念映像が頭の中に飛び込んできた。


 地上から一気に上を向いた視点で上昇する風景で、見えないはずの空気の渦の感覚が映像に埋め込まれていた。


 自分も紅のドラゴンになって飛びたいという欲求でうずうずしてきた。


「レイジ、このアタリでイイかな?」


「十分だ」


 地上300mのホバリングポジションで、見通し距離65km。これならこちらからも相手を補足できるはず。


東は天台宗総本山 比叡山延暦寺のある比叡山、西に愛宕神社の総本社がある愛宕山、北は鞍馬寺がある鞍馬山。


 山で遮られているが、南部はうっすらと見えなくなるまで平野が続いて一望できる。


 ここに古来に都を築いた平安時代の人がこの映像を見ることができたらどんなことを思うだろうか。


 もっと拡張しようと思っただろうか。


--


「マスター、原始思念波の残影の筋の始点が分かりました! AIアルフ・ライラからのリアルタイム解析です。3Dグラスにオーバーライド映像送ります。


それと、残影の筋を辿って始点からこちらに向かってくる物体があります。時速にすると150km/hで、そちら到達するのは10分後です」


「向こうからやって来たか。始点は宇治の平等院あたりか」


 原始思念波の残影の筋が山城方面に伸びていたから、実家のある里山のオーナーあたりかと思ったけど違ったようだな。


 宇治から時速150km/hか、車でも電車でもない。ヘリコプターあたりか。


「十三夜、南方から何か飛んでくるはずだ。望遠モードで映像を送ってくれ。何してる!


 そこから離れてはだめだ。ホバリングを保て!」


 十三夜からの映像には、遠くに飛翔する点に向かって自ら飛んでいるようだ。


 鳥のように見えるが羽ばたいてはおらず、赤く揺らめいていた。どこかで見た光景だった。


「アレハ、十七夜のカナキだよ。カナキ兄さんダよ。復活シタンダ!」


 飛翔する点は、やはり鳥に見えた。


 十三夜が接触した3D映像が来た。


 まぎれもなく不死鳥のフェニックスの十七夜(かなき)だ。


 十七夜は、十夜族の中では唯一男性であり、未来世では九条天二郎に使えていた。

 その不死鳥のフェニックスが接触した十三夜と共に、こちらに向かってきているのである。


 かつてと言っていいのか未来世では十七夜が裏切ったため、俺が神炎皇のブレスで一撃で灰にしたことがある相手だ。


 今世では、果たしてどうなのか。


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