92話 参上。
拮抗していた戦闘が一気に傾く。
脱獄してきた【結界の勇者】が結界を張り、魔法が使えなくなった。
王宮騎士達も使えないが、勇者の祝福には影響ない。
勇者の中でも強力な祝福の【剣神】近藤憲伸を筆頭に竜族を支配する。
「アース様!我々が時間を稼ぎます。撤退して下さい!」
「馬鹿を言うな。私一人で逃げるなど出来るか!」
「危ない!アース様」
シェンロンが私を庇って、勇者に斬られた。
人間形態のシェンロンは左肩から右脇腹に向け、刀という武器で切りつけられる。
これは……致命傷だ。
いくら、回復力に優れている竜族でもこれだけの損傷の回復は望めない。
「シェンロン!」
なんて事だ。
駄目だ。
死ぬな!
「アース坊っちゃん……泣き虫は治ってないですな。
今は一刻も早くここを離れなさい」
アース坊っちゃん、懐かしい呼び名だ。
最近ではちゃんと竜王として振る舞っていたぞ、シェンロン。
まだお前が必要だ。死ぬな。
ミモザも既に翼と尻尾が切り落とされ、
その他の竜族も限界だ。
俺の首を差し出せば、助けてくれないかな?
ミネゴルド王が出てきた。
今さら出て来やがったか。
いつみても、あのガマガエルの笑い顔は好きになれん。
ここまでか……
ミネゴルド王の笑いが止まる。
どうしたんだ?
何を驚いた顔で見ている?
勇者達も同じ所に視線を送っている。
なんだ?
モーター音が聞こえる。
振り向くと、空には小さな飛行物体が。
あれは確か……ドローン。
一条がドワーフにくれてやった物だったな。
しかし、なんて数だ。
50、いや100機はあるか?
それが飛んで来ている。
そのドローンが勇者に向かって何かを落とした。
衝撃が。
爆弾か。
次々落としていく。
中にはレーザーを撃ったり、マシンガンを放つドローンもいる。
完全に戦場が混乱している。
ミネゴルド王も避難した。
これは。
「竜王様、ご無事ですか?」
振り向くと、そこには一条がいた。
「私は大丈夫だが、私を庇って皆が……」
そう、戦況が変わっても負傷者達が。
一条が何かをシャンロンに振りかける。
ポーションか?
しかし、ポーション程度では気休めにしかならないぞ。
シャンロンの体が光に包まれる。
なんだ?
そんなの見たことがないぞ。
みるみる内に傷が塞がっていく。
「竜王様、この方をお願いします。
俺は他の竜族の方達の所へ」
「……ああ!頼む」
シャンロンの顔に血色が戻っている。
助かるのか!?
ブクマ剥がし。辛い。
俺の心のダメージが……誰か俺にもポーションを
「シャルのポーションのんで~」
「うむ、マリーのポーションも飲ませてやるのじゃ」
「……ラランのも」
お腹いっぱいです。
稲葉「一条君は幼い女の子がそんなに好きなんだね」
向井「まあ、一条君だし」
岩清水「ちょっと引くかな」
相楽「成金ロリコン野郎」
フブキ「うふふ、一条はとっても人気者ね」
天野「……一条、俺はブクマとポイント入れといてやるからな。だから死ぬなよ」




