90話 嫌な報告。
私はフブキ。
竜族の王、アースの妻です。
人間の王ミネゴルドが勇者を召喚をしてから、忙しくなりました。
ずっと恵まれなかった子供。
遂に恵まれました。それからまだ五年。
もっとゆっくりと、シャルティアと毎日を過ごしていたかったのですが、なんとも間が悪い。
機会があれば、私も一発ぐらいはぶん殴ってやろうと思います。
シャルティアが師匠と慕う人間、相楽。
私には何故師匠と慕うのかわかりませんが、シャルティアが楽しそうなので
相楽には感謝です。
あと不思議な人間、一条。
どれだけ自分が有益な人間か、本人はわかっていないのかもしれません。
まあ、それは周りのせいですね。
シャルティアが誘拐されそうになったと聞いた時は、心臓が止まるかと思いました。
一条が助けてくれた。
しかし相楽が身代わりに捕まってしまったみたいです。
現在都合が悪い事に、魔王国でも問題が起こっています。
私が魔王国に向かってすぐの事のようです。
アース、竜族の誇りにかけて、必ず相楽を助けて下さい。
魔王国から急いで帰ると、シャルティアが帰って来ました。
相楽も無事みたいです。
シャルティアも怪我が無さそうで一安心です。
アースはまだ戦闘中みたいです。
しかし心配はしていません。
強いですもん。
ちょっと惚気てしまいましたね。
しかし、その惚気も竜の谷から来た竜兵からの報告でぶっ飛びました。
「現在、竜の谷ではミネゴルド王国の第一王子アームジャック率いる軍に攻め込まれています。フブキ様、ご指示を」
竜の谷が攻め込まれている?
王都で夫のアースと交戦中のはず。
そんな戦力が何処に?
「それで、被害は?」
「現在、被害はほとんどございません。
竜兵達が応戦し、優勢です。
しかし、以前ユニケルでシャルティア様を襲撃した勇者楢崎が脱獄しました」
勇者の脱獄、嫌な予感が。
「それで、その勇者の行方は?」
「申し訳ございません。まだ行方は掴めておりません」
「わかりました。すぐに戻り私が指揮します」
「はっ!」
アームジャック王子を捕獲し、情報を聞き出さなくては。
「シャルティア、すぐに竜の谷に帰ります」
「おかーさま。シャルは
『いまは、貴女に選択権はありません!』
「……あい」
「グランマリア。貴女を魔王国に送り届けます」
「わかりました」
「スピカはここコンビニで匿って貰いなさい」
「はい。宜しくお願いします」
急いで竜の谷に戻ります。




