79話 相楽様。
暇だ。
スマホだけで良いので返してくれないかな?
ご飯も環那ちゃんのご飯に慣れすぎたので不味い。
スピカ王女も話が合わない…う~ん。
よし、脱獄しよう。
窓は無い。
床を掘ってるか?
絶対に無理。
鉄格子は…外れる訳無い。
はい。
脱獄計画終了。
結局、一条君待ちか~。
カツカツカツと誰かが階段を下りる音。
また、誰かが嫌がらせに来たか。
ふん。
無の心を手に入れた私には効かないし。
俺は天野翼。
プロのゲーマーだ。
(自称)だけど…
そんな俺は現在異世界に居る。
最悪だ。
ゲームが無い。
俺の存在意義が…
そんな俺に唯一の救いが【遊戯世界】という祝福だ。
初めは意味がわからなかった。
そんな中やって来た、相楽…下の名前なんだけ?
いじめられっ子だったな。
だが、俺は知っている。
この子は神だ。
みんな知らないかもしれないが、格闘ゲーの神だ。
世界大会で優勝している。
まだ日本ではポピュラーでは無いが、国が違えば凄いちやほやされているだろうな。
俺の目標でもある。
そんな彼女が目の前に。
彼女に話かけるが何の反応も無い。
この過酷な状況に心を壊してしまったのか?
俺は【遊戯世界】を発動させる。
【遊戯世界】
半径50メートルをゲームの世界、バーチャル世界にする祝福だ。
発動させた瞬間はただただ何も無い真っ白な空間。
俺が、格闘ゲーム『遊戯ファイター』をインプットすると、
そこは路地裏に変わる。
今回は路地裏が舞台か。
俺の得意なフィールドだ。
相楽さんも流石に反応する。
俺が説明すると目が輝く。
さて、【遊戯世界】にはひとつのルールがある。
チップをかける事だ。
つまり、負けた方が対価を支払うということだが、これまで俺は勿論無敗。
今回のチップは『負けた方が配下に付く』だ。
このチップは俺が決めれる。
親だからな。
俺の考えは、相楽さんを配下にして、一条からゲームを貰う。
そして相楽さんと特訓して、元の世界に戻ったら世界一になることだ。
お互いにキャラを選択する。
そしてそのキャラに憑依する。
バトル方法は頭の中でコントローラーを操作する。
ただの喧嘩好きでは、キャラの指一つ動かせない。
戦闘が開始される。
俺はまだ慣れない相楽さんにラッシュを撃ち込もうとするが、
カウンターを食らう。
初めての筈だよね?
それから数分後、俺は見事に相楽さん…いや、相楽様の配下になりました。




