65話 帰れ。
妖精のチョークでソプラノードに帰って来た。
帰って来たのはいいが、なんだこれ?
煙が上がっている。
火事か?
急いで駆け寄ると竜が倒れている。
あれは…シャルティア様か?
!?あれは確か釜元と飯島。
帰って来てたのか。
それにしても何で此処に?
狙いは、魔王の娘のグランマリア様と、竜王の娘のシャルティア様を捕らえる為に来たのか?
ユニケルの町でもそうだったしな。
「で?結局、一条の奴は何処だ?」
「奥に逃げたあの女に聞けば良いんじゃね?」
狙いは俺?
どうして?
奥に誰か居るのか?
どうしたら良いんだ。
フブキ様は居ないのか?
不味いな、シャルティア様とグランマリア様を、倒す祝福の勇者となると俺じゃどうしようもないぞ。
…くそ!でも、ほっとけないじゃねぇか!
「おい!グランマリア様から足を退けろ」
二人がコンビニに向かう足を止める。
「おお!一条じゃねぇか。探したぞ」
「俺になんか用か?」
「なんか用かってお前。めっちゃ便利な祝福だったんだな。
無能かと思ってたぜ」
「いやー、王都に帰って来ると元の世界の物が溢れてたから、他の皆も、すげぇ喜んでたぜ」
そういう事か。
「お前、こんな所にコンビニってすげぇな。
で?お前の祝福ってなんだったんだ?」
言うべきか?
どうする?
「まあ、取りあえず王都に帰ろうぜ。
聞いて驚くなよ、元の世界に帰る方法がわかったんだぜ」
!?
「嘘だろ」
「いや、マジだって。
あのガマガエル、ミネゴルド王問い詰めたらゲロったよ」
本当か?
いや、嘘だろ。
あのガマガエルが言うわけない。
というか、帰る方法が本当にあるのか?
「取りあえず、グランマリア様とシャルティア様を治療させて貰うぞ?」
「は?何言ってるんだ?
コイツらも連れて行くんだよ。
元の世界に帰る為にコイツらも必要なんだよ」
「……治療させろよ」
「やだよ。また暴れたらめんどくさいし」
「子供だぞ!」
「うるせーな」
もう、仕方ない。
俺は拳銃を釜元に向ける。
「本物だ。大人しくしろ」
二人は拳銃に驚いている様だ。
「止めとけって」
地面に1発撃つ。
「…本気だ。帰れ」




