39話 とある警備兵。その2
誘われるがままに入った木造建物。
ここは……店屋か?
約十畳程の広さに、見たことの無い物が並んでいる。
何の店なんだ?
透明な水筒の様な物に入った液体。
色が黒や、黄色等……飲めるのか?
これはパンか?
袋に入っている。一個一個袋に入れて金がかかるだろうに。
これは…弁当か?
旨そうだな。
ただ、温かい飯が食いたい。
俺がキョロキョロし過ぎたのか、声を掛けられた。
若い女だ。
領主の妻か?それとも、メイドか?
失礼の無い様にしよう。
商品を色々説明してくれた。
半分ぐらいは分からなかった。
色々珍しい物がある。
王都にいる、メリーのお土産に良いかも知れない。
取りあえず、幕の内弁当とやらを購入する。
購入しようと手に取った時に気付いた。
いくらするんだ?
冷や汗が流れる。
貴族の食べ物だ。
下手したら、馬鹿げた値段だろう、
しかし、商品を触ってしまった、もう購入しないという選択肢は無い。
……へ?
銅貨四枚?安い。
下手したら、普通の食事処より安い。
「温めはどうされますか」
「お願いします」
ん?良くわからず答えたが、どういう事だ?
冷えた弁当を温める?
すると女が、弁当を箱の様な物に入れ、スイッチを押す。
「少々お待ち下さい」
わからないけど、わかりました。
数十秒すると、箱から弁当を取り出し、袋に入れ渡される。
「ありがとうございました。
またお越し下さい」
女に見送られ店を出る。
店の外に置かれた、椅子に座り弁当を食おうとすると、
弁当が温かい。
弁当が温かい?
さっきの箱は弁当を温める魔道具だったのか。
しまった、弁当を買ったのは良いが、食べる物が無い。
そう思っていると箸も入っていた、ありがたい。
味はどうだ?
……旨い。なんだこれは!!!
これが銅貨4枚だと?
あっという間に食べてしまった。
必ずまた買おう。
いい店が出来たな、残りの任期はここに通おう。
残りの任期の間、何も起こらないといいな。
この仕事が終わったら、メリーと結婚しよう。
空を見上げると、巨大なドラゴンが三匹。
……ああ、これは最後の晩餐だったのか。




