33話 男爵
まさかの貴族になってしまった。
お断りしたのに。
そもそも、王命は断れないだと?
う~ん。【ミツル=イチジョー男爵】
しっくり来ない。
貴族になったらどうなるんだ?
領地を与えるから、そこで頑張れ?
えっ?お払い箱ですか。
違う?
王都は軌道に乗ったから、他の土地も頼む?
俺の事、便利屋と思ってないか。
違うのかだって?
勇者だよ。
あんた達が勝手に召還したんだろ。
こら、どこ向いている。
こっち向け。
「イチジョー男爵、貴殿にはソプラノードの領地を与える。
そこで領主として手腕を発揮して欲しい」
こいつら要望ばっかり言いやがって。
「ねぇ、一条君。私ね、あれから少し考えたんだけど、
もし、もしだよ。帰れないなら、
こっちの世界で落ち着いて生活出来る基盤があった方が良いと思うの。
毎回毎回、周りに振り回されるのはちょっと辛い」
確かに俺もそう思う。
「そういう意味では今回の話は結構良いと思うの」
確かに、王都に居ると、これからもガンガン振り回されるだろう。
領主になれば、責任は付きまとうが、
自分の思うような暮らしが出来るんじゃ?
「わかりました。
精一杯頑張ります」
こうして俺達は新しい土地で、頑張る事にした。
甘い考えだと思うが、
そんな事を気にしていたら、こんな理不尽な世界で生きていけないな。
自分に言い聞かせて頑張ろう。
「それで、ソプラノードの領地は何処にあるのですか?」
「ここから、馬車で10日程行った所です」
遠いのか?近いのか?
微妙な距離だな。
「イックン達にはアースが無茶言ったから、
お詫びに私が背中に乗せて連れて行ってあげるわ」
フブキ様からは、最近何故かイックンと呼ばれている。
「いえ、馬車でゆっくり行きますよ」
「遠慮しなくても良いわよ」
「いえ。本当に大丈夫ですよ」
「私に恥をかかせるの?」
笑顔がとっても怖いです。
「「「「「宜しくお願いします」」」」」
とってもきれいに、ハモりました。




