31話 頑張れ竜王
竜王アースである。
人間の王が馬鹿な事をしてくれたお陰で、
大変忙しい。
まず魔王、物凄く怒っておった。
人間の国を滅ぼすと、言い張って宥めるのが大変だった。
本当に頑張った。
誰か誉めて欲しい。
あの、いちじょーとか言う弱男のお土産でなんとか宥めた。
奴の出す物は、どれも珍しく旨い。
俺も次会ったら色々出させよう。
魔王にもシャルティアと同じ年ぐらいの娘がいる。
実はシャルティアと仲が良く、シャルティアも一緒に連れて行った。
娘達の姿を観て、魔王の戦意をちょっとでも削れればと思ったりは、
していない。
本当だぞ……
娘達は仲良く遊び出した。
決闘ごっこ?
止めなさい。
もっと子供らしい遊びにしなさい。
そうしていると、シャルティアがいちじょーから貰った乗り物を、
魔王の娘に見せた。
乗せて欲しい?
シャルティア、ちゃんと貸してあげなさい。
喧嘩しない、ほら、二人ともしゅわしゅわを飲んだらどうだ?
案の定、魔王の娘も欲しがった。
それを作った職人を連れてこい?
いや、それはな……
「いちじょーって、いうんだよ」
シャルティア……
どこにいる?
「にんげんのくに~。
おーと、ってところにいるよ~」
「マリーも行く~」
やっぱりそうなるよな。
魔王よ、どうするのだ?
こっちを見て、どうしようって顔をするのは
止めて欲しいのである。
「いいよー。
あとねー、ししょーもしょうかいするー」
師匠?
ああ、あの女の勇者か。
何故師匠なんだ?
何度シャルティアに聞いても、
理解出来ん。
魔王よ、早めに止めないと、手遅れになるぞ。
もう、手遅れ?
でも、お前が人間の国なんて行ったら不味い事になるぞ。
間違いなく戦争に……
わかっている?
良かった。
じゃあ娘を説得するんだな。
えっ?
宜しく頼む?
いくら、俺とお前の仲といえ、無理なものは無理だぞ。
娘に嫌われたくない?
痛い程わかるぞ。
しかしそ…『グランマリア、竜王のおじさんが連れて行ってくれるそうだぞ」
「本当に!竜王のおじさんありがとう!」
「おとーさん。ありがとう!」
おい!魔王!




