30話 私はスピカ
私の名前はスピカ。
この国の女王をしています。
「どうしてこうなったの?」
最近やっと、この事に考えれる様になった。
私は王女といえど、後継者争いにも加わって居ない程度の、立ち位置でしかなかったはず。
将来国の利益の為に有力な貴族の元に嫁ぐと、
ずっと思っていたし、そう育てられた。
それなのに、ある日、父であるミネゴルド国王が第一継承者の兄と、
自分の側近と、勇者達と共に何処かへ消えた。
竜族に対して、戦争を仕掛けて負けた結果、逃亡した形だ。
このまま竜族が人間の国を支配し、私は処刑されるのだと思いましたが、違いました。
よく考えれば、竜族は人族や魔族と比べ、圧倒的に数が少ないので、人間国まで手が回らないのでしょう。
そして、私は竜王アース様により、女王に任命された。
とても驚きました。
私にはとても優秀な姉、ヴァイオレット御姉様がいらっしゃるのです。
そんな御姉様を差し置いて私が女王とは。
ヴァイオレット様は、それはもうご立腹でした。
野心の強い方ですので、自分が女王になりたかったのでしょう。
私と違って、父の後継者を小さい頃から、狙っていたみたいですので。
竜王様に掴みかかろうとして、竜族の方に取り押さえられて、
そのまま何処かに。
竜王様に飛びかかるなんて、なんて命知らずなのでしょう。
フブキ様によると、竜族の竜の谷で収監されるそうです。
少し可愛そうではありますが、私としては小さな頃から、苛められていたので、少々ほっとしております。
気がつけば、あれよ、あれよ、という間に女王就任の儀を終えていました。本当に目まぐるしく現実味がありません。
しかし、そんな事を言ってられません。
これから国営に取りかかります。
―私は必要でしょうか?
父、ミネゴルド王には付かずに、ここに残られた勇者が5名。
勇者の方々が一人で10人、いえ、100人分の働きをしていませんか?
【農業】の勇者の方、凄いです。
そして、ありがとうございますございます。
ご飯美味しいです。
超美味しいです。
特に一条様。
流石は竜王様に認められた方です。
ネットショッピングが何か存じませんが、
それはもう素晴らしい商品を世に出し、
天才だと思います。
特にシャンプーとリンスは素晴らしいです。
髪が艶々で一気に女性らしさに、磨きがかかった気がします。
残念ながら、それを見てくれる、殿方が居ませんが。
一条様、良ければ
私の……
いえ、ここまでにしておきましょう。
焦りは禁物です。
もう一つわからないのが【オタク】?
の勇者様です。
正直全くわかりません。
ただ、オタクの勇者様とお話になっている皆さん。
とても、熱心に話していらっしゃいます。
何を話しているのでしょうか?
私もはしたないと思いつつも、耳を傾けましたが……
全くわかりませんでした。
そして一条様と、一緒にいる機会が多い気がします。
まさかオタクの勇者様は、一条様の事を?
焦りは禁物というのは、撤回すべきでしょうか?
今日も慣れない、女王の仕事ですが、
頑張ります。




