2話 ネットショッピング(ゴールド会員)の検証
ファンタジーな森の中で一人…では無い。
数歩後ろに女の子が居る。
クラスメイトの……相楽さんだっけ?
大人しそうな女の子だ。
彼女も俺と同じで祝福を貰えなかった様子だ。
彼女はどうして良いのか判らず、俺に付いて来ている。
俺もどうして良いか解らんが、
取り敢えずほっておくという選択肢はない。
流石にそこまで鬼ではない。
「ねえ、相楽さん」
声をかけるとビクッ!っと反応する。
「相楽さんは、みんなの所に居なくていいの?」
「あっえ、あの…」
かなりキョドっている。
こっちが何か申し訳ない気持ちになる。
「俺は隣の街に行く予定だけど、相楽さんも一緒に行く?」
「…うん」
一緒に行くようだ。
これまで俺は、相楽さんと話した事が無い。
会話に困っていたが、流石に長い時間二人で歩いて沈黙が続くのは、
気まずい。
「相楽さんは、祝福だっけ?何も出なかったの?」
下を見たまま何も答えない。
う~ん、気まずい。
俺は『ネットショッピング(ゴールド会員)』だったな…
どういう祝福?なんだ?
検証してみよう…でもどうやって?
「ショッピング」
これが正解だった様だ。
口に出してショッピングと言うと、タブレットが現れた。
タブレットの第一印象は、コンビニやスーパーで店員さんが商品を発注する様な物だった。
「おお!」
思わず声がでる。
電源を入れてみる。
表示は日本語の様だ。
良かった助かる。
操作は…うん、簡単だ。
俺は食料品の欄をチェックする。
値段は…コンビニで売ってる値段と同じだな。
取り敢えず、500ミリリットルの水を一本、いや、二本購入する。
そう言えば支払いは?と思っていると、タブレットの右上に残金38658円と表示されている。
38658円?
う~ん?あっ!もしかして
制服のポケットに入れていた財布の中身を見る。
8658円。成る程。
王様から渡された支度金という名の、厄介払い金が金貨三枚。
金貨一枚が一万円か。
支度金がたったの三万って、セコ過ぎるだろ王様。
水を二本購入する。
すると目の前に500ミリリットルの水が二本現れた。
財布の中身を確認すると、
うん、しっかり二本分のお金が無くなっていた。
「飲む?」
かなりビックリしている。
それはそうだよな。
俺もビックリだ。