20話 竜王アースその3
竜王アースである。
昨日のもてなしは、満足した。
どれもこれも見たことの無い物ばかりだった。
それでいて、全て最高であった。
あの中の、数点を魔王に土産に持って行けば、機嫌も治るだろう。
はあ~、しかし気が重い。
これらも全て人間の王、ミネゴルドのせいである。
今日の会談で、ガツンの言ってやらねば。
「シャルティア、そろそろ行くぞ」
「シャルはのこって、このにんげんといっしょにいる~」
シャルティアがあの弱男の足を掴んで離さない。
まさか、これが親離れか?
シャルティアが我が手から、離れて行くのか。
まだ、たったの五年だぞ。
「お父様今までお世話になりました」
幻聴が聞こえる。
頭が真っ白である。
ん?
フブキがクスクス笑っている。
そうか、今のはフブキか。
フブキよ。そういう悪ふざけは止めるのだ。
私の首根っこを掴んで引っ張っているのは誰だ?
シェンロン。そんなに怖い顔をするな。
「馬鹿な事考えてないで、行きますよ」
シェンロンよ。
私は竜王なのだぞ。威厳が……
結局シャルティアは、置いていくことになった。
会談には流石に参加させれないので、元々こうするつもりだった。
だったが…
初対面の男に預けるなんて。
不安だが、仕方ない。
護衛には精鋭を連れていた。
大丈夫であろう。
人間の国の王都に着いた。
ふむ、立派だ。
人間は非力だが、物作りをさせたら一番だな。
王宮に案内される。
綺麗な女が多いが、これはもてなしの一環なのか?
妻のフブキの笑顔が怖い。
竜は浮気はしない種族なので、そんな心配は無用だ!
え?鼻の下が伸びていた?
き、気のせいだろう。
暫くすると、王の間にたどり着く。
部屋の中には、ミネゴルド王と側近と思われる者達。
そして大人と子供の間ぐらいの、少年少女達が数人。
竜族は人間族の年齢には疎いからな、髭とか生えてくれていれば分かりやすいのに。
おそらくこの少年、少女が勇者なのだろう。
一切の魔力は感じないが、それが不気味だ。
まあ、竜王である俺の前では、無力だがな。
フブキよ。何があっても、俺が守ってやるから怖がらなくても…怖がってないか。
流石、我が妻。
「良く来られた、竜の王よ」
もう、嫌な予感しかしないのである。
普通なら、「歓迎する」等、友好の言葉を発するはずだからな。
それに、あのいかにも悪い事を考えている笑顔が気持ちが悪い。
細胞の一つも残らない様に、燃やしたい。
隣の妻は…
あの魔力の扱いが上手い妻から、魔力が漏れている。
同じ気持ちの様だ。
…とっとと終わらせて帰ろう。




