135話 無力
頭を抱える俺達はその後、いい案が浮かばなかった。
助けに行きたいが、その方法がない。
グランマリア様は無事だろうか?
あれから何度もフブキ様に頼んだが、良い返事は貰えなかった。
シャルティア様の「おかーさまとはもうぜっこー」も竜王様と違い、全くもって効かなかった。
俺は一人、部屋のベッドに寝転びながら考える。
情報が欲しい。まず、グランマリア様の現状。そして魔王国の現状。
俺達が魔王国に行っても、ぶっちゃけ何が出来るのだろうか?
何も出来ないんじゃないかな?勇者なのに、無力なのが嘆かわしい。
大人しく竜王様達に任せるか?
……なんだか落ち着かない。
何か俺たちに出来ることは、無いだろうか?
ブブブッッッ!スマホのバイブが震える。
誰からだ?
スピカ王女だ。
あれ?スピカ王女にスマホって渡していたっけ?
俺がスマホを渡していたのは、相楽さん、岩清水さん、向井さん、稲葉さん、シャルティア様、グランマリア様……グランマリア様!?
そうだ、電話すれば良いんじゃね?
スピカ様の着信を切り……あっ、一応王女様だけど……まぁ、良いか。
心の中で軽く謝罪し、俺はグランマリア様に電話をかける。
出てくれ。
暫くすると「もしもしなのじゃ」
とても弱い声が聴こえる。
グランマリア様だ。
「もしもし、一条です。……グランマリア様ご無事でしたか。
とても心配しました。シャルティア様も心配してます」
返事がない。聴こえてないのだろうかと思ったが違ったみたいだ。
鼻が啜る音が聴こえ、そして息を吸う音が聴こえた後に、
「大丈夫なのじゃ。ノープログレム?なのじゃ。一条、わらわは魔王の娘、いや、魔王グランマリアじゃぞ、……大丈夫なのじゃ。
シャルティアにもそう伝えてほしいのじゃ。それじゃあ忙しいのでこれでなのじゃ」
「ちょっと待って下さい。俺達に出来ることがあったら何でも言って下さい」
「……ありがとうなのじゃ。でも、『俺達は勇者ですよ。あと次期竜王も居ますしね』
少し間が空いた後に、「そうじゃの。何かあったら電話するぞよ……一条、また会えたら良いね」
そう言い、電話が切れた。
俺には何かを諦めた声に聴こえた。