133話 他国だから
俺達は深夜の作戦会議を行った後、こっそりと抜け出した。
「駄目よ」
無理だった。
簡単に捕まった。流石フブキ様。
「はぁ~。一条、貴方が付いていながら何しているの」
『……すみません』
やっぱり、俺が怒られた。
「おねがい、おかーさま。シャルはどうしてもマリーちゃんをおたすけしたいの」
「シャルがグランマリアを心配するのは良くわかるわ。でもね、今の魔王国はとっても危険なのよ」
「だいじょーぶ。いちじょーといっしょだから」
「一条なら盾にもならずに死んじゃうわよ」
「……だいじょーぶだもん?」
何が大丈夫なのか教えて欲しい。
悔しいが、133話たった今でも戦闘能力ゼロだよ。チクショウ。
「一条、本当に今は魔王国は危険なの。今回の魔王国訪問は、魔王ガルガンを殺した犯人を特定するだけであの人もそれ以上はしない筈よ」
『犯人を捕獲したりはしないのですか?』
「しないわね。ミネゴルド王国の一件で勘違いしてるかもしれないけれど、私達は他国の者よ」
他国の問題は!その国々のルールがあるから介入しづらい。
ミネゴルド王国は勇者召喚の苦情を入れたら、そのままミネゴルド王国に攻撃されただけだし、最終的にはスピカ王女に任せているからな。
しかし、それだとなおさらグランマリア様が心配だ。
竜王様は保護してくれるのだろうか?
「その離反の犯人の思想次第で、世界がまた危険になるわね」
『世界がまた危険……』
「魔神教の貴族なら、魔神の復活を望んでるはずよ」
嫌な胸騒ぎが止まらない。
「おかーさま、マリーちゃんをたすけて」
シャルティア様が泣きながら、フブキ様にグランマリア様の救出を頼んでいる。しかし、その願いは叶えれそうにない。
『フブキ様、他国の問題ですので俺達は関係ないですよね?』
「ええ、明日送ってあげるから、今夜はもう寝なさい」
俺は覚悟を決めた。
『いえ、送迎は結構です。俺は魔王国に行きます』
「一条、貴方話を聞いていたの?」
『聞いてました。俺は竜王国と他国の人間なので、竜王国に迷惑はかけませんので安心してください』
フブキ様が何か言おうとする前に、「俺はじゃなくて、俺達だけどね」
頼もしい仲間達だ。