132話 夜中の作戦会議
竜王様達が出陣したその夜。
俺達はまだ竜王宅に泊まっている。明日ソプラノード領に戻る予定だ。
元の世界に戻る為に世界樹に行く予定だったが仕方ない。
俺が一人で寝ていると、「いちじょー、起きて」シャルティア様の声が聞こえる。
『こんな夜中にどうしたんですか?』
幼女が起きてて良い時間じゃない。
ちなみにシャルティア様はいつも、相楽さん達と仲良く同じ部屋で寝ている。
ここに来た当初は、友達が家に泊まる事が初めてだったみたいで、興奮してなかなか寝なく、フブキ様に怒られていたな。
俺の部屋に来るのは、枕投げこと、俺を的にしようをする時だけだったな……
ちなみに、布団は最高級品質のアイダーダックダウンを献上した。
特にフブキ様にとても喜ばれ、相楽さんが「良かったねシャルちゃん。これで弟か妹が出来るわよ」と言うとフブキ様に怒られていた。
当のシャルティア様は「なんでお布団で?」と言っていたが、弟や妹を欲しがり、俺にもっと布団をフブキ様にプレゼントしろとねだられた。
「あのね、いちじょー……シャルはやっぱり、マリーちゃんをおたすけに行くの。でも、おかーさまはダメって言うから……こっそりいくの」
『駄目ですよ、竜王様も言ってたじゃないですか』
「ううう……でも、いちじょーはマリーちゃんの事、しんぱいじゃないの?」
『もちろん心配ですよ』
「じゃあ、行こう。だいじょーぶ、シャルお空とぶのはやいから、すぐにかえってこれるよ」
いや、絶対にバレる。
それに絶対に俺が怒られる。
『シャルティア様、今回は竜王様を信じて待ちましょう。ね。
それに二人で行ったら、みんなを心配させるよ。シャルティア様も相楽さん達を心配させたくないでしょ?ねっ』
「だいじょーぶ。ししょーもマリーちゃんをおたすけするのてつだってくれるってー!ねっ、ししょー。」
はっ???
扉の方を見ると、相楽さん達が立っていた。
バッチリ出かける服装で。
「一条君、マリーちゃんを助けに行こう。だって私達にとっては妹みたいなもんじゃない。ほってはおけないよ」
いや、妹じゃないよ。
魔王の娘だよ。
……くそっ、ほっとけないじゃいかよ。
『わかった。取りあえずフブキ様に相談しよう』
「駄目よ。絶対に反対される」
『でも、俺達だけだと絶対に死ぬよ。魔族に勝てる訳ないし、魔物の餌になるのが見えてるよね』
「大丈夫。一条君が犠牲になってるうちに逃げるから」
冗談だよね?
全く冗談に聞こえないのが、相楽さんの凄いところだ。
「大丈夫、一条君。一応作戦を考えたから」
岩清水さんが作戦を説明してくれた。