130話 五歳負ける勇者。
武道大会が始まった。
会場の熱気が凄い。
俺とプラズマ君の戦闘はどうなったって?
……聞かないで欲しい。つまりそういう事だ。
何時になったら俺は活躍出来るのだろうか?このままだとヘイトがたまるだけでまた怒られてしまう。
それよりも大問題なのが、シャルティア様の怒りが頂点に達している事だ。
なんと、あんなに楽しみにしていた武道大会に参加出来なかったのだ。
参加資格は成人らしい。
俺はそれで良かったと思っている。
子供というか、五歳の幼女に負けると結構キツイからな。
さっき五歳児に負けた俺が言うのだから間違いない。
「おとーさまなんて、だいっっきらい!!もう、いっしょー口きかないから」
この言葉に竜王様もダウンした。
代わりに絶好調なのが、筋肉お兄さんのビルダー先生だ。
俺がプレゼントしたプロテインのお陰だそうだ。そんなにすぐ効くわけないと思うが、筋肉の人は単純なのか?
ビルダー先生の好調の秘訣を聞き出した、竜族の人達からプロテインの注文が殺到している。
ここでも儲けれそうだ。
武道大会も進み、決勝戦まで来た。
勝ち残ったのは、絶不調の竜王様と絶好調のビルダー先生。
会場の熱気が最高潮に達し、今か今かと決勝戦が始まるのを待っている。
舞台の上には竜王様とビルダー先生。
「竜王様、今私は絶好調なのです☆それも全て、あのボーイのおかげです☆」
「……そうか」
未だに、シャルティア様に嫌われた事を引きずる竜王様。
「シャルティア様、竜王様を応援してあげたらどうですか?」
「やだ!」
まだ怒っているみたいだ。
そのシャルティア様に相楽さんがなにやら耳元で、ゴニョゴニョ言っていると思ったら、「おとーさま、もしゆーしょーしたら、ぜっこーやめてあげる」
その言葉に竜王が反応し、ぐわっと目を見開く。
「本当だな。わかった。必ず優勝するから観てなさい」
相楽さんはシャルティア様になんて言ったんだ?
審判が試合を開始しようとしたその時、一人が上空から会場に降り立つ。
ミモザさんだ。
会場がざわつくのを気にせず、竜王様に対して報告する。
「魔王ガルガン・ドレアムが死亡しました」