126話 プラズマ君
三日間行われる竜誕祭初日の今日。
武道大会が行われる。
すでに熱気で包まれた会場。
舞台の上では竜王様の長い、長い開幕の演説が行われている。
俺達は屋台で仕事中。
尚、シャルティア様は竜王様の長い演説をあっという間に飽きて、こちらに合流している、
ここでも『いらっしゃいませ~』をしている。
楽しそうだ。
その光景を見ている大人達も微笑ましく見ている。
そのお陰で大繁盛だ。
俺達も竜王様の長い演説の最初の方で紹介されたので、みんな友好的だ。
みんな人間形態で接してくれる。
ありがたい。
竜形態だと圧力が凄いからな。
俺が焼きそばを焼いていると、一人の男の子がやって来た。
シャルティア様と同じぐらいかな?
じーっと俺の事を見ている。
見ているというよりも、睨み付けているのか?
『う~ん。僕、どうかしたのかな?俺に何か用?』
思いきって声をかけてみた。
「おいっ!お前シャルティアとどういう関係だ!」
シャルティア様の友達みたいだ。
男の子は俺を見上げながら腕を組み、俺にシャルティア様との関係を聞いてくる。
俺とシャルティア様の関係?
なんだろう?友達?
言われてみれば、答えるのに難しい。
「おいっ!黙ってないでなんとか言え」
俺が答えるのに困っていると、シャルティア様がやって来た。
「ねぇ~いちじょー。やきそば三人前ついかだよー。あれ?プラズマ何してるの~?」
男の子はプラズマと言うらしい。
「お、おう。シャルティア、ひ、久しぶりだな」
さっきと態度が変わった。
はっ、は~ん。成る程。
「成る程、一条君。ライバルの出現だね」
『なんでやねん』
遂、関西弁が出た。
相楽さんが面白がっている。
プラズマ君は、シャルティア様の事が好きなんだな。
回りの大人達もプラズマ君を微笑ましく見ている。
この年頃の男の子は好きな女の子にちょっかいを出して、いじめちゃう時があるからな。嫌われない様にフォローしてあげるか。
「プラズマ~、ごめんね~。今シャル達、いそがしいの~。いちじょー早く~」
シャルティア様が俺の手を引いて、焼きそばを作らそうとする。
それを見ていたプラズマ君。
「お、おい。お前達、恋人でも無いのに手をつなぐなんて」
周りの大人達から笑いの声が少し漏れる。
お母さん世代の人達が楽しそうだ。
「おいっ!いちじょー。シャルティアをかけて、俺と決闘しろ!」