125話 竜誕祭開幕
良く晴れた竜誕祭当日。
俺達はフブキ様に連れられてやって来たのは、山脈の頂上。
「凄い見晴らしだね」
雲の更に上空で視界を遮る物は一つもない。
「もっと風が強いと思ったけど」
確かにそうだ。
あと気温もこれだけ上空だと寒いと思ったが大丈夫だ。
「ちゃんと結界が張ってあるわよ」
「そーだよー」
成る程。
あと、シャルティア様は絶対に知らなかったな。
「ここが竜誕祭のメインステージで、武道大会が行われる会場よ」
天空で戦っている感じがして、神聖な気がする。
フブキ様に教えてもらった竜誕祭だが、祭りは3日間行われるらしい。
思っていたより短期間だ。
その間、竜の谷はお祭り一色になるらしい。
ちなみに、この武道大会は初日に行われ、優勝者がこの祭りの主役となり、
今後10年間、竜族最強を名乗れるそうだ。
「シャルがゆーしょーするんだー」
やる気満々のシャルティア様をフブキ様が優しく頭を撫でる。
この様子を見ると流石に優勝は無理の様だ。
「お義父様もこの大会に観戦にいらっしゃるわよ」
俺達が竜の谷に来た最大の理由は、ポルンガ様に世界樹の行き方を教えて貰うつもりだ。
教えて貰えれば良いが……
確か人間が嫌いとか……
「貴方達はここで出店をお願いね」
「おねがいねー」
フブキ様に頼まれたのは、この武道大会の会場での飲食の販売だ。
対戦の間の時間埋め要員だな。
販売するものは、ビールと何が良いだろう?
焼きそばとかで良いかな?
相楽さん達には売り子をやってもらおう。
俺ばっかり苦労するつもりはない。
道連れだ。
みんなに売り子をやってくれる様に言うと、渋々だがやってくれるそうだ。
約一名は最後の最後までやらないって言ってだけど。
準備を進める。準備と言ってもテントを張ってそこを拠点に売り子が販売するだけなので、たいした準備は必要なかった。
そうしている内に、続々と竜族がやって来た。
竜形態なのでかなりの迫力だ。
こうして竜誕祭が始まった。